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ファッションとメイクの切っても切れない密接な関係。そんな結びつきの強さがわかるファッションショーのバックステージをレポート。今回は、東京コレクションで開催された「ヴィヴィアーノ(VIVIANO)」2026年春夏コレクションの、メイクを手掛けたメイクアップアーティストのAsami Taguchi氏と、ヘアを手掛けたヘアスタイリストのASASHI氏にインタビュー。今回のヘアメイクの特徴や、私たちが“真似”できるポイントについて聞きました。
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メイク:Asami Taguchi氏

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■Asami Taguchi
2002年渡米。NYでStephane Marais氏に師事後独立。17年間ニューヨークをベースに活動し、2020年秋帰国。現在は、東京をベースに国内外ブランドや雑誌、広告などを手掛ける。
⎯⎯ 今回のメイクのテーマを教えてください。
デザイナーのヴィヴィアーノさんから、コレクションのテーマは「クラシック」で、黒の世界になると伺っていました。そこで、メイクでは王道の赤リップを使いたいと考えました。

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⎯⎯ ランウェイでも真っ赤なリップが印象的でした。
赤いリップが映えるように、目と口にポイントを絞りました。まつげは上下ともマスカラをたっぷりと塗って、“ぼてぼて”になるくらいボリュームを出しています。唇とまつげを強調するために、眉はコンシーラーやのりを使って消しています。
⎯⎯ このスタイルは、どのようにして決まったのでしょうか。
ヴィヴィアーノのショーでメイクを担当するのは今回で3回目ですが、ブランドの世界観やイメージを肌で感じられるようになってきました。クラシックというテーマを聞いた時に、メイクのアイデアが自然と浮かびましたね。その中で最初に提案したのが赤リップでした。

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黒の世界で際立つ、王道の赤リップ
⎯⎯ 使用したアイテムを教えてください。
リップは「M·A·C(メイクアップ アート コスメティックス)」の「リップスティック レトロマット」の「707 ルビー ウー」を使いました。昔から愛用しているカラーで、マットな質感とぱきっとした赤の発色が特徴です。その上から、同じくM·A·Cの「リップガラス クリア」を重ねています。


左から:「リップスティック レトロマット 707 ルビー ウー」、「リップガラス クリア」、「マスカラ ディオールショウ オーバーボリューム 090 オーバーブラック」、「ディオールショウ マキシマイザー 4D」
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⎯⎯ リップの塗り方にもこだわりがありますか?
はい。赤リップは、唇の輪郭よりもややオーバーめに大きく描くことで、より印象的な口元になるよう意識しました。その後、唇の真ん中にグロスを少しのせて、ツヤを加え、唇に立体感が生まれるようにしています。

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⎯⎯ 目元に使用したアイテムも教えてください。
まつげには、「ディオール(DIOR)」のマスカラ下地「ディオールショウ マキシマイザー 4D」と、マスカラ「マスカラ ディオールショウ オーバーボリューム」の「090 オーバーブラック」を塗っています。ダマになってもいいくらい、とにかくまつげにボリュームを出すことで、目元が際立つように仕上げました。

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リップを目立たせるための引き算メイク
⎯⎯ ベースメイクはいかがでしょうか。
肌はセミマットくらいの質感に仕上げています。今回は春夏コレクションなので、クラシックな中にもフレッシュさは残したくて。そばかすがあるモデルはそれを活かすなど、完全にカバーしすぎないように意識しました。

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⎯⎯ そばかすのように、モデルごとにメイクを変えている部分はありますか?
基本はみんな共通のメイクですが、その人が持っている個性は活かしたいので、一人ひとりに合わせて調整するようにしました。例えば、まゆげは基本的に消していますが、元々の眉が印象的なモデルは、あえて消さずに残しています。

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⎯⎯ 今回のルックで、日常のメイクに取り入れられるポイントがあれば教えてください。
赤いリップを塗る時は、他の部分を“引き算”することですね。例えば、チークを使わない、ベースメイクを塗りすぎないとか。どこかにポイントを絞ってあげると、全体のバランスが取れて、ヴィヴィッドな赤リップも普段のメイクに取り入れやすくなると思います。

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ヘア:ASASHI氏

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■ASASHI
1998年渡英、2008年帰国。東京をベースに5年間の活動を経て、2013年に再渡英。2015年ロンドン・ショーディッチにASASHI BARBERをオープン。2019年帰国し、2024年10月 東京・虎ノ門に「ASASHI BARBER TORANOMON」をオープン。現在は国内外の雑誌はじめ、広告・ファッションショーなど、ウィメンズ・メンズ問わず手掛ける。
⎯⎯ 今回のヘアのテーマを教えてください。
デザイナーから伝えられたテーマは「クラシック」。その言葉を聞いてまず頭に浮かんだのが、オードリー・ヘプバーンでした。彼女のクラシックかつタイムレスなイメージ、特に夜会巻きや短い前髪といった要素から着想を得ました。

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⎯⎯ それらの要素を、どのようにヴィヴィアーノの世界観に落とし込んでいったのでしょうか。
ただクラシックにするのではなく、そこにヴィヴィアーノらしいパンキッシュさやモダンな要素、今っぽいテクスチャーを混ぜていきました。具体的には、モデル全員にわざと真っ黒で短い前髪をつけて、地毛とのコントラストやシャープさを際立たせています。

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不揃いな短い前髪でつくる“違和感”
⎯⎯ランウェイでも、不揃いな前髪に目を奪われました。
めちゃくちゃ短く、わざとザクザクとした毛先、散切りような感じを残して切っています。事前に前髪を用意はしてきましたが、モデル一人ひとりに合わせて、その場で長さや幅を調整しました。

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⎯⎯ 前髪の色はすべて黒に統一されていましたね。
そうですね。あえて真っ黒な前髪をつけることで、地毛の色を際立たせています。眉の色とのコントラストもあって、ちょっとした違和感が生まれる。この「クラシックだけど、クラシックじゃない」という部分を狙いました。

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崩れているようで、まとまっているバックスタイル
⎯⎯ 後ろから見たスタイルも独特のバランスでした。
バックスタイルは夜会巻き(髪を後ろからねじり上げてまとめるスタイル)がヒントになっています。ただ、夜会巻きのようにそのまま綺麗にまとめてしまうとクラシックすぎるので、いかに崩すかがポイントでした。「まとまっているけど崩れている」「崩れているけどまとまっている」という、見る人が思わず「どうなっているんだろう?」と感じるような絶妙なバランスを意識しています。


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⎯⎯ スタイリングにはどのようなアイテムを使われましたか?
主に使用したのはヘアピンとブラシ、そしてスプレーくらいですね。今回、プロダクトはあまり多用していません。ただ、スタイルがだらしなく見えないように、生え際や襟足だけはジェルをつけてキュッと整えています。そこがヘア全体を引き締める重要なポイントになっています。

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⎯⎯ このスタイルは、いつ頃決まったのでしょうか?
クラシックというテーマを伝えられたのは、まだ洋服も何もできていない段階でした。そのため、洋服を見ずに3パターンくらい考えておいて、ヘアメイクテストの時に何着か仕上がってきた服に合わせて決めました。僕の中の第一候補が、このスタイルだったんです。
⎯⎯ 今回のヘアスタイルで、日常で真似できるポイントがあれば教えてください。
真似して面白いのはやっぱり前髪じゃないですかね。前髪だけのウィッグも売られているので、それを自分なりにザクザク切ってつけてみるのは面白いと思いますよ。不揃いな前髪にしている人はあまりいないですし、日によってつけたりつけなかったり、アレンジを楽しんでほしいです。おでこがどれくらい見えるかで人の顔の印象は大きく変わりますが、長さやおでこを出すバランスを調整すれば、誰でもチャレンジできると思います。

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(編集:上玉利茉佑)
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