Image by: FASHIONSNAP(Sumire Ozawa)

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ファッションとメイクの切っても切れない密接な関係。そんな結びつきの強さがわかるファッションショーのバックステージをレポート。今回は、東京コレクションに参加した「ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)」2026年秋冬コレクションで、ヘアメイクを手掛けた資生堂のトップヘアメイクアップアーティスト 進藤郁子氏にインタビュー。今回のヘアメイクの特徴や、私たちが“真似”できるポイント、そして現在のヘアメイクのトレンドについて聞きました。
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ヨウヘイ オオノ 2026秋冬コレクション
コレクションのタイトルは、理想宮を意味する「Ideal Palace」。フランスの宮殿「シュヴァルの理想宮」から着想を得て、自身のファッションとの出合いや創作への姿勢を重ね合わせた。デザイナーの大野陽平が敬愛するデザイナー チャールズ・ジェームズのパターンを再解釈した四つ葉のようなシェイプのドレスをはじめ、針金を用いたシャンデリアのような造形のスカートや、身頃のパターンを解体して作り上げたスカートなど、独自のフォルムを追求してきたヨウヘイ オオノらしいアイテムが多く見られた。加えて、デニムや雪柄のセーターを転写プリントしたトップスやスカート、レーザーカットで葉が生い茂るさまを表現したコートなど、新たなテキスタイル表現も散見された。

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◾️進藤郁子
2007年に資生堂が運営するヘアメイクアップアカデミー「SABFA」を卒業後、資生堂に入社。「マジョリカ マジョルカ(MAJOLICA MAJORCA)」のビューティーディレクターとして宣伝広告のヘアメイクや商品開発を担当。ファッション誌や美容誌、ニューヨーク、パリ、東京でのコレクションのヘアメイク、美容師向けのセミナーなどで活躍。2025年SABFAの9代目校長に就任した。
ひと癖あるヘアメイクが放つ、日常の中の“心地よい違和感”
⎯⎯ 今回のヘアメイクのテーマを教えてください。
デザイナーの(大野)陽平さんと打ち合わせをしたときに、キーワードとして挙がったのが「シュヴァルの理想宮」でした。これはフランスの郵便配達員が、道端でつまづいた石の形に魅了されたことをきっかけに、33年もかけて独力で築き上げた宮殿です。
陽平さんからは、自然が持つ造形の面白さをファッションとリンクさせたいというお話を伺いました。ありのままの自然でありながら、どこか違和感があって目を引いてしまう。そんな“説明しすぎない面白さ”を表現しようと考えました。

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⎯⎯ それをどのようにヘアメイクに落とし込んだのでしょうか?
ヘアもメイクも、「作り込みすぎず、どこかにひと癖あるデザイン」を意識しました。その塩梅が難しく、主張しすぎてもいけないし、埋もれてもいけない。その絶妙なラインを攻めています。

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具体的には、服と同じようにポイントで色を取り入れたく、まつげやまゆげといった1ヶ所だけにピンポイントでカラーをのせました。目元・頬・唇の全てを塗ると、今回のコレクションにはトゥーマッチなので、他は抑えることでバランスを取っています。

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ワンポイントのカラー × 素肌感を極めた“引き算”ベースメイク
⎯⎯ ポイントで入れたカラーは、服の色に合わせていますか?
はい。あえて違う色にする選択肢もありましたが、カラフルにしたいわけではないし、その外しが“頑張っている感”として見えてしまうのは避けたかったんです。ピンクや水色といった一見可愛らしい色を使いながらも、甘く見えないという服の強さを、メイクでも活かしたいと考えました。

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⎯⎯ 色のついたつけまつげはどこで入手しましたか?
これは自分たちで染めました。最初は白濁したニュアンスカラーで作りましたが、実際につけてみると肌になじんで目立たなくなってしまって。試行錯誤の結果、今の色にたどり着きました。

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⎯⎯ 眉のカラーリングには何を使用しましたか?
水溶きの顔料です。ショーは撮影と異なり着替えが頻繁にあるため、服を汚さないよう、なるべく乾きやすいものを選んでいます。片目が見えるように穴の空いた帽子が登場しましたが、穴からあえてカラー眉を覗かせることで、視覚的な面白さも演出しました。

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⎯⎯ ベースメイクについても教えてください。
目指したのは、起きたての素肌ようなロースキン。完璧に作り込んだ肌にカラーをのせるのは想像がつきますが、すっぴんっぽい肌にのせる方が新鮮に映ると思ったからです。

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⎯⎯ 使用したアイテムは?
朝起きた時の肌ということで、夜のスキンケアがひと晩経って少し残っているくらいの適度なツヤ感を出すため、乳液は塗らずに化粧水の後にマット系の下地(「SHISEIDO シンクロスキン ソフトブラーリング プライマー」)を、テカリを抑えたい部分にのみ使用しました。クマはあえて消し過ぎず、ニキビなどを少しカバーする程度にファンデーション(「SHISEIDO エッセンス スキングロウ ファンデーション」)を塗っています。最後に、マット仕上げのパウダー(「SHISEIDO エッセンス スキンセッティング パウダー 002 Smoothing MATTE」)で質感を微調整しました。

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ヘアスタイルで刻む予測不能なリズム
⎯⎯ ヘアデザインはいかがでしょうか?
こちらもひと癖あるスタイルを目指し、髪をゴムで結んでから解いてわざと癖をつけたり、寝癖で割れてしまったような変な分け目を作ったりしました。少しバサバサした質感のダウンスタイルです。イケてるのかイケてないのか、上手いのか下手なのか、という境界線上のニュアンスを狙っています。メイクのカラーが目立ち過ぎないよう、髪が顔にかかるバランスもテストしながら調整しています。

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⎯⎯ スタイリングに使用したアイテムは?
くせ毛風のドライなテクスチャーにしたいモデルには「ステージワークス パウダーシェイク」を。元の髪がストレートなモデルには「ステージワークス バウンシングプライマー」で動きをつけました。仕上げには「ステージワークス ストラクチャーホールドスプレー」を吹きかけて、スタイルをキープしています。

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⎯⎯ デザイナーからヘアメイクに対するリクエストはありましたか?
コレクションテーマの共有はありましたが、細かな指示は特にありません。デザイナーのスタイルとして、普段のルック撮影もヘアメイクを入れずに撮ることがあると聞き、それだけ日常を意識しているんだと思って。日常の中に突如現れるフォルムの違和感や、肩の力の抜けた積み重ねの中に宿る面白さが好きなのかなと感じています。
あとは、ショー全体に「流れ」を作りたくないとおっしゃっていて…。前半・後半の対比や、フィナーレに向けた盛り上がりをあえてつくらず、ラフなスタイルの次に突然ドレスが登場するような、掴みどころのない構成です。ヘアメイクでもその予測不能なリズムは意識して作り上げました。

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モデルをその世界の一員へ バックステージヘアメイクの使命
⎯⎯ 今回のヘアメイクで、私たちが日常で取り入れられるポイントはありますか?
ピンポイントでカラーを取り入れるのは、ぜひ試してほしいです。メイクというよりは、ピアスやリングを選ぶような感覚で、色を置くとぐっと取り入れやすくなりますよ。
肌なじみを意識するより、少しアイシーな色やメタリックな質感を「点」で入れるのがコツです。たくさんつけると頑張り過ぎた印象になるので、その分肌はナチュラルに仕上げてバランスを取るのがおすすめです。

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⎯⎯ 今、進藤さんが注目しているトレンドを教えてください。
質感ですね。SNSでメイク動画が普及したことで、一般の方の質感へのこだわりがプロ並みに高まっていると感じます。シェーディングやハイライトを骨格ごとに細かく使い分けるような“質感の妙”みたいなものは、しばらく続くのではないでしょうか。
一方で、作り込みすぎる分、「抜け感」を出すのが難しくなっている側面もあります。最近は高機能な下地が増えているので、あえてファンデーションを塗らずにベースを仕上げるような、ミニマルな引き算メイクも増えていくと思います。アイシーな目元にダークなリップを合わせるなど、対照的な質感やカラーを組み合わせるメイクも、新鮮でおすすめです。

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⎯⎯ 最後に、コレクションのヘアメイクにおいて最も大切にしていることを教えてください。
デザイナーが描くムードを確実に伝えることです。たくさんのモデルがさまざまな服を着て登場しますが、全体で見たときに1つの世界観として完成しているか。リップを目立たせたい、肌を綺麗につくりたいなどの細かいテクニックの披露ではなく、モデルをその世界の一員へと昇華させること。それがヘアメイクとしての私の使命だと思っています。

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