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【全網羅】イヴ・サンローラン展が開幕、全12章を写真付きでまとめて紹介

 イヴ・サンローランにフォーカスした没後初めて行われる日本での回顧展「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」が、国立新美術館で開催します。会期は明日9月20日から12月11日まで。FASHIONSNAPでは全12章で構成される同展を写真付きで各章ごとに紹介します。

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今回のイヴ・サンローラン展について

 「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」は、2017年パリにオープンした「イヴ・サンローラン美術館パリ」の全面協力のもとで開催される回顧展。同展の企画は2017年に立ち上がり、日本での回顧展は、イヴ・サンローラン没後以来初めての開催となります。会場では、ディオールや自身のブランドのファーストコレクション、日本初公開のドレスなど110体のルックを展示するほか、テキスタイル作品や、同氏が描いたグラフィック作品、写真、ジュエリー、舞台芸術などのアート作品262点を全12章構成で紹介することで、サンローランが自身のスタイルを確立するまでの過程を詳らかにしています。

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 展示風景 国立新美術館 2023年

第0章:ある才能の誕生

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 展示風景 国立新美術館 2023年

 同展の序章にあたる第0章では、イヴ・サンローランの幼少期から若き日の創作活動を写真や肖像画、ドローイングなどで辿ります。同氏が16歳の時に制作したペーパードールは紙でありながらも、服に用いられたのが刺繍なのか、プリントなのかまでを判別できるほど正確に作られていることがわかり、同氏が「紙のクチュールメゾン」を構成することで将来を夢見ていたことを伺わせます。また展示室には、クリスチャン・ディオールの死後、21歳の若さで「ディオール(DIOR)」のアーティスティックディレクターに就任した同氏が、初めて発表した1968年春夏コレクション「トラペーズ・ライン」が展示されています。

第1章:1962年 初となるオートクチュールコレクション

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 展示風景 国立新美術館 2023年

 パートナーであるピエール・ベルジュと共に立ち上げた自身の名前を冠した「イヴ・サンローラン」のデビューコレクションである1962年春夏コレクションから7体をランウェイに見立てた展示台で展示。同氏は、数週間で約100のデザインを作り上げ、一躍注目を集めました。その他、展示室には、貴重なコレクションボードなどが陳列されています。

第2章:イヴ・サンローランのスタイル アイコニックな作品

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 展示風景 国立新美術館 2023年

 高低差のある展示台に置かれているのは、同ブランドを象徴するアイコニックなアイテム。タキシード、ジャンプスーツ、トレンチコート、サファリ・ジャケット、ネイビー・ルック、タキシードスーツ、テイラード・スーツ、シースルー、クリエイティビティ、イヴニングドレスの9つのジャンルに分け、それぞれのアイテムを紹介します。同氏が生み出した作品の多くが、男性服から着想を得ており、女性服をモダンにアレンジしたものであること、実用的な面を残しつつも単純さと優雅さを融合していることが明快になるはずです。

第3章 :芸術性 刺繍とフェザー

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 展示風景 国立新美術館 2023年

 第3章ではクチュリエとしてのイヴ・サンローランにフォーカス。ブランドにとって高度な技術、贅沢、卓越性、伝統を象徴し、1945年以来フランス国内で法的に保護されている「オートクチュール」に焦点を当てた、刺繍やテキスタイル、羽細工、ジュエリーなど、質の高い素材と複雑な工程を経て制作されたアイテム7点を展示します。黒い壁紙と照明が落とされた空間で照らし出されるオートクチュールが耀うラグジュアリーな空間になっています。

第4章:想像上の旅

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 展示風景 国立新美術館 2023年

 第4章では美術作品の収集や読書によって想像上で旅行に行っていたイヴ・サンローランが独自の視点で解釈した各国の民族衣装を展示します。編み込みがあるキルティングジャケットや、トーク帽、ファーブーツ、飾り紐のベルト、身体に巻きつけるケープ、ヘッドスカーフ、ターバンなど、時代や国を超越した同ブランドのクリエイションを一堂に見ることができます。

第5章:服飾の歴史

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 展示風景 国立新美術館 2023年

 第5章では、西洋における服飾の歴史を探究したイヴ・サンローランがどのようにその服飾史を衣服としてアウトプットしたかに着目。例えば、古典古代をテーマにした衣装はドレープ使いが特徴的で、プリーツが入った筒状のシルエットや肩の左右非対称なドレープはギリシアのローマ彫刻にみられるアンティークチュニックに着想を得ています。

第6章:好奇心のキャビネット ジュエリー

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 展示風景 国立新美術館 2023年

 イヴ・サンローランにとって付属品に留まるものではなかったジュエリーに焦点を当てる第6章では、ジュエリーを博物館のように展示しています。当時、同ブランドのジュエリーは貴金属や真珠、宝石は使われておらず、代わりに木、メタル、ラインストーン、ビーズ、羽、セラミックを組み合わせて制作されています。これらは素材の組み合わせと想像力において際限がないことを意味しているのだそう。

第7章:舞台芸術ーグラフィックアート

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 展示風景 国立新美術館 2023年

 第7章では、一般的にはあまり知られていない「舞台衣装作家」としてのイヴ・サンローランにフォーカス。同章はスケッチに焦点を当て、10代、20代と2度にわたって制作に携わったジャン・コクトーの演劇「双頭の鷲」の初期スケッチや、「ジジ・ジュテーム」「フェスティバル・ポピュレール・ド・バレエ」とのコラボレーションなどを紹介します。

第8章:舞台芸術ーテキスタイル

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 展示風景 国立新美術館 2023年

 第7章に引き続き、第8章でもイヴ・サンローランの舞台芸術に着目。同章では実際の衣装とドローイングを一挙に披露。同氏は演劇やバレエだけではなく、映画にも衣装デザイナーとして参加。特に、映画「昼顔」に提供したブラックワンピースは、映画公開後に若者を中心に大ブームとなりました。

第9章:アーティストへのオマージュ

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 展示風景 国立新美術館 2023年

 ピート・モンドリアン、パブロ・ピカソ、アンリ・マティス、ジョルジュ・ブラック、フィンセント・ファン・ゴッホらの画家や、詩人であるジャン・コクトーへの敬意を表したコレクションを度々発表していたイヴ・サンローラン。第9章では、デザインの中で彼らの作品を引用(オマージュ)した作品を展示します。

第10章:花嫁たち

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 展示風景 国立新美術館 2023年

 イヴ・サンローランは、1962年から2001年までの間に80点のウェディング・ガウンをデザインしています。第10章では、その中から個性豊かな5点を展示します。一際目を引くのは1965年秋冬コレクションで発表されたウールの繭のようなドレス。彫刻のようなこのドレスは、ロシア人形であるマトリョーシカを参照しています。

第11章:イヴ・サンローランと日本

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展 展示風景 国立新美術館 2023年

 ディオール時代から、日本製の絹織物に金糸刺繍をほどこしたアイテムを製作していたイヴ・サンローランと日本の関係性にフォーカスする第11章では、金屏風の前に4点のアイテムを展示します。同氏は、自分自身のデザインと日本の間にある繋がりについて「早くから私は日本を探し求めていた。そして、歴史がありながらもモダンなこの国にすぐに魅了され、それから幾度となく影響を受けてきたのである」とその関係性について言及しています。

オリジナルアイテムの販売も

 会場では、イヴ・サンローランのドローイングをデザインしたペーパーマグネット(1300円)や、キーチェーン(2400円)のほか、トートバッグ(ラージサイズ8800円、スモールサイズ5800円、すべて税込)などを販売します。

■イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル
会期:2023年9月20日(水)〜12月11日(月)
休館日:毎週火曜日
開館時間:10:00〜18:00(※毎週金・土曜日は20:00まで。入場は閉館の30分前まで)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2

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