スタートトゥデイ代表取締役 前澤友作氏
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Business インタビュー・対談

ゾゾスーツとゾゾが創造するファッションの未来をスタートトゥデイ前澤社長が語る

服が人に合わせる時代だ

ー新たに、身体や商品データなどを研究するためのプロジェクトチームが発足しました。

 ボディサイズをここまで大掛かりに集める企業というのは、恐らく世界初なんじゃないかと思っています。我々が持つこの膨大なデータを世界中の人達のために使っていく必要があると考えていて、責任も感じています。そういった管理や活用をしていくために、社内に研究所を設けました。

ーどんな活用が考えられますか?

 例えばヘルスケアの分野ですね。まずはファッションの分野からこのデータの可能性を研究していきますが、ボディサイズをデータ化することで、将来的には社会を良くして、いずれ世界人類に貢献したいと思っています。

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ー他社にデータを提供することも視野に入れているのでしょうか。

 極めてプライベートな情報なので、簡単に売ったり提供はしません。ただすでに他の分野からお声がけを頂いていて、そういったパートナーと組んで、我々がデータを管理しつつ何かに活用していくことは考えられますね。

ー2017年には、データ解析の領域で知見を持つ九州工業大学発ベンチャーのカラクルを買収しました。

 博士号を持つ優秀な方々が在籍しているので、ビッグデータを調理して欲しいと考えて子会社化に至りました。

【詳細】スタートトゥデイ、九州工業大学発ベンチャー「カラクル」買収 (2017年12月13日ニュース)

ー同年に買収しているヴァシリー(VASILY)はAIで着こなしの解析などを行っていますが、やはりこの研究所に関わるのでしょうか。

 はい。プロジェクトリーダーはヴァシリー代表の金山裕樹君が兼任していて、研究所ではまず"カッコイイ"や"カワイイ"と言われるファッションを数値化していくことから目指していきます。

【詳細】スタートトゥデイがIQON運営のヴァシリーを買収、完全子会社化 (2017年10月19日ニュース)

ーおしゃれは感性だと思っていましたが、定量化することができると。

 例えば車だとデザインの黄金比をもとに作ったりしていますが、ファッションは人ぞれぞれ身長も体重も肌の色も違うのでパーソナルな部分に左右されてしまいます。服のシルエットが良いというだけではだめで、どういった人が着るか、つまりどういったボディサイズなのかが分からないと判断することができない。僕たちはゾゾスーツでそのチャンスを得たので、これまで不明瞭だった"ファッションそのもの"を解明していきいたいと考えています。そこには主観だけではなく、人がその服を着てどう思うかという客観評価も含みます。コーディネートデータが蓄積されている「WEAR」も展開しているので、どういった人がどういったスタイルに「いいね」を押すのかといったデータも活用できると考えています。

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ー"ファッションそのもの"について、前澤さん自身はどのように捉えていますか?

 人それぞれだと思いますが、僕の考えはゾゾのテーマでもある「be unique、be equal」がそれに近いかと。個性を尊重しながらも皆がイコールというか、ファッションを通じて人々が繋がっていくというような未来を想像しています。

ー人と人を繋ぐツールとしてのファッションが「be equal」だとしたら、「be unique」の考え方は?

 これまでのファッション業界では、ユニークについて真剣に考えてこなかったのではないかと思っていて。作り手側が良いと思うものをデザインし、販売していくというスキームが主になっていると思うんですが、僕たちは真逆の考え方です。常に着る人が基点。着ることで自信を持ったりコミュニケーションを取りたくなるような、人を軸にした服を作る。人が服に合わせるのではなく、服が人に合わせる時代。これが、僕たちの考えるユニーク=個性を尊重するということです。

ビッグデータでファッションを科学する

ー2017年には「ゾゾタウンを作り変える」と発表しました。

 サイトを快適に利用して頂くためにリニューアルをします。セール時には重くなるということもあったので、安定性などを高める予定です。

【詳細】ゾゾが1年後に変わる エンジニア100人体制でゼロからサイトの作り直し (2017年4月7日ニュース)

ー今回はゾゾスーツの発送に合わせて、ゾゾタウン内に「自分サイズ検索」を導入しています。

 膨大な数のアイテムの中から、自分のサイズに合った商品のみを検索することができる機能です。ゾゾスーツで計測して頂くことが必須にはなりますが。

ーファッションECの改善すべき点は他にもありますか?

 物流業界が逼迫している中、試着と返品を前提に何着も注文するというような買い方は良くないと思っています。返品のコストも商品に織り込まれてしまいますから、それでは顧客の満足度は高まらない。返品の必要がない商品を提供していくことが大事だと思いますし、返品しない人ほど損をするというこの状況を改善するための取り組みを、ゾゾタウンでやっていきたいですね。

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ーアマゾンも近年はファッションECやPBに力を入れているようですが。

 他社も気にはなりますが、メディアで報じられている以上は知りませんね。我々のように全身ミリ単位でアプローチできるところがあるかどうかも。

ー昨年はエンジニア、そして今年は研究者といった人材を集めています。

 全ての分野でまだまだ成長の余地があると思っているので、幅広くスペシャリストに参加して頂けたら。

ー今後のM&Aの可能性は?

 キャピタルゲインを狙った投資はないですが、事業シナジーを生み出せる相手だったら積極的に取り組んでいきたいと考えています。

ーファッション分野以外の企業も?

 あり得ますね。

ーこれからのスタートトゥデイにとって、やはりビッグデータが鍵になっていくのでしょうか。

 そう思いますね。ゾゾタウンも10年以上運営しているので、集まった商品データや購買データとゾゾスーツで集めたボディデータなどを分析し、ファッションを数値化する、ファッションを科学する、ということに真剣に取り組んでいきます。

(聞き手:小湊千恵美・芳之内史也)

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