2016年秋冬シーズンにデビューしたユニセックスブランドで、ディレクターは久﨑康晴。久﨑が前ブランドで発表してきた「大人のためのベーシックアイテム」という要素に加えて、よりトレンドを意識したツヤのあるデザインと、ユニセックスのサイズ展開でクロスカテゴリーの着こなしを提案している。
ATONのコレクション

1969年大阪府出身。国内の様々なアパレルブランドのディレクターを経て、2016年秋冬シーズンに「エイトン(ATON)」を設立。
目次
- BRAND CONCEPT -
上質なリアルクローズ、「ここにしかないもの」を提案
エイトンでは一見シンプルでスタンダードなアイテムを展開しているが、着用したときのシルエットが美しいのが特徴のひとつで、自身のスタイルを確立した人が着こなせるリアル・スタンダードなアイテムを提案している。また、徹底的な研究で素材の特質・魅力を理解した上で、デザインに落とし込んでいるほか、ストレスフリーな着心地も追求している。
ブランド名は五十音の「あ」から「ん」までを「A to N」に表現した造語に由来。「デザインから生産の全ての工程において、0から100までを丁寧に形にする」というメッセージを意味し、「原材料から仕上がりに至るまで、生産者との密なコミュニケーションを大事にしながら、目に見える生産背景できっちりとしたモノづくりをしたい」という思いが込められている。


- CHARACTERISTIC ITEM -
「エイトン」を代表するアイテムはTシャツ、スウェット、フーディー



シグネチャーアイテムとして挙げたのはTシャツ、スウェット、フーディー。いずれも素材はすべてオリジナルで、世界中の綿花からセレクト。独自の紡績方法で糸作りから編み、染色までを行い、アイテムや時期に合わせて各工程をチューニングした素材で、毎年アップデートし続けている。
スウェットやフーディーは、シーズン毎のテーマに合わせた植物や鉱物などのボタニカルによる染色を施したカラーも展開している。
- DETAIL -
エイトンを象徴する「V字」のデザイン線
エイトンでは、袖・袖口・リブの3つの縫い目が合わさる箇所を、V字のデザイン線で負担を分散させるディテールが特徴。フーディーや長袖のニットなどに採用されている。このほかフーディーのフード先端を直角にし、三角形に見せることでスタイリッシュさを演出しているのも印象的なディテールとなっている。
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- WHO TO WEAR -
こんな人に着て欲しい

ディレクターの久﨑は「性別や年齢を問わず、流行などにあまり左右されない、自分の意志を持って製品を選んでいただける方に着ていただきたいです」と語る。エイトンでは流行にとらわれないベーシックな物づくりをしているため、自分のスタイルを確立した人だからこそ着こなせる魅力がある。
- RECOMMEND SHOP -
オススメの店舗は青山の路面店


ディレクター久﨑はブランドの直営店「ATON AOYAMA」での購入を推奨。「エイトンのフルラインナップが揃う唯一の店舗です。お客様とのコミュニケーションに重点を置いた建築と商品が並び、ブランドの世界観を感じることができます。」と久﨑は解説している。
- PERSON -
ブランドと関係が深い人物は、スタイリストの山本マナ
ブランドと関係が深い人物として久﨑が挙げたのは、ファッション誌や広告、カタログなどで幅広く活動するスタイリストの山本マナ。ポジティブな雰囲気のスタイリングが人気集めている。山本について久﨑は「ブランド設立前からエイトンの商品を愛用してくださり、着心地やスタイリングのご意見を参考にさせていただいています」とコメント。
- COLLABORATION -
印象深いコラボは白漆作家の川勝英十津
エイトン青山店では白漆作家の川勝英十津の作品展を2019年10月に実施。川勝は京都の洛北花背に工房を設け、木取りから上塗りまでの全工程を自らの手で行い「軽漆塗木器」という桐を使用した軽い漆塗りの作品を手掛けている。作品展では川勝の漆器に加え、エイトンで展開したキャンバスに白漆をコーティングしたフィールドジャケットやバッグなどが並んだ。
久﨑はコラボについて「とあるギャラリーにて川勝氏の白漆の器と出会い、コットンキャンバスに施すコーティングを模索していた際に、その色や質感に見惚れ、後に京都の川勝氏の工房を訪ねた際、ものづくりに向ける想いに多くの共通点があると実感。そのシーズンのコーティング素材のフィールドジャケット誕生のきっかけとなりました。ファッションとは違う世界の先輩方からも得れる事は多かったのが、印象的でした」と振り返る。
- MAIN SHOP -
主な取扱店舗は、セレクトショップ

アイテムは青山の路面店に加えて、エイチ ビューティ&ユース(H BEAUTY&YOUTH)やユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)、トゥモローランド(TOMORROWLAND)などのセレクトショップを中心に取り扱われている。このほか、レフ(ref.)やエスティーカンパニー(st company)桐生店、ダイスアンドダイス(DICE AND DICE)、HJ ギャラリー(HJ GALLERY)、アイル(isle)といった地方個店など、幅広いショップで販売されている。
- NEW collection -
最新 2022年春夏コレクションの特徴
京都の藍染め職人が収集していた江戸時代の古布をインスピレーション源に、シーズンカラーを構成した2022年春夏コレクション。日本古来から伝わる松煙と琉球の藍で重ね染めをし、深みのあるブルーを表現した。京都西陣地区の職人による塩縮加工を施したコットンウェザーで製作したハリントンジャケットやパンツ、ウール和紙やオーガニックコットンによるニット、ウールやキュプラの強撚糸を使ったウールオックスフォードのメンズセットアップなど、素材にも拘ったアイテムを展開している。
「シルエットは今までの分量感を踏襲しながらも、抜けた感じを表現するため落ち感のある素材を使用しました。しなやかに下に落としたルーズなシルエットが特徴です」とデザイナーはコメントしている。


- FAVORITE LOOK&ITEM -
2022年春夏 デザイナー久﨑のお気に入りアイテム

ウィメンズのオススメアイテムとして挙げるのは、オリジナルのジャージ素材で作られたクチュールドレスだ。デザイナーは「艶感とコシ感があるオリジナル素材をクチュールのパターンで作った分量感のある仕立ては、着用時の素材の揺れ感が魅力的です」と話す。

メンズでは、オリジナルのローン素材によるシャツとボトムのセットアップが今季のオススメだという。最高級の肌触りの薄地のスヴィンローン素材で作られたセットアップは、ボタニカルダイによる漆黒色と、松煙染と藍染を重ねた深みのあるブルーの2色で展開している。
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主要年表
【2020年】
ディレクターの久﨑がライフスタイルブランド「エシャペ(Échapper)」を立ち上げ。アイテムは公式オンラインストアや直営店で展開。
【2019年】
「グラフペーパー(Graphpaper)」とのカプセルコレクションとしてTシャツを製作。
【2018年】
初の直営店を表参道にオープン。
【2017年】
2017年春夏コレクションを発表。
【2016年】
久﨑康晴が「エイトン」を設立。2016年秋冬シーズンにデビュー。
「エイチ ビューティ&ユース(H BEAUTY&YOUTH)」に初のポップアップストアをオープン
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