「メゾンフラネール(MAISON FLANEUR)」のデザイナーとクリエイティブディレクターを経た瀬川誠人が、2019年秋冬シーズンに立ち上げたユニセックスブランド。世界の職人技術の継承と再解釈、サブカルチャーから着想したユニバーサルな物作りを追求している。
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SEEALLのコレクション

1976年京都府出身。大学時代にアンダーグラウンドの音楽やアート、映画、デザインに傾倒し、イギリスに渡った後イタリアに移住。2015年にイタリア企業と共同で「メゾン フラネール(MAISON FLANEUR)」を設立。デザイナーとクリエイティブディレクターを兼任した。2019年秋冬シーズンより「シーオール(SEEALL)」をスタート。

- CHARACTERISTIC ITEM -
クラブキッズが着想源のマンチェスターパンツ

2025年秋冬コレクションより
シーオールでは、世界各国の職人による手作業によるアイテムを多く展開しており、その中でも日本の機屋と作るオリジナル生地を用いているのが特徴。アイテム別ではアルゼンチンのアンデス山脈の高地で紡いだ糸を職人が手編みしたニットをはじめ、無染色のヤクやカシミヤのニット、インドのハンドルームの生地を用いたアイテム、古着を再構築した商品などがブランドを代表するアイテムとなっている。「他にはない風合いや強さが特徴。環境に負荷をかけないアップサイクリングな取り組みもしている」とデザイナーは太鼓判を押す。

2025年秋冬コレクションより

2025年秋冬コレクションより
また、1980年代後半から1990年代前半にかけて流行した音楽のムーブメント「マッドチェスター(Madchester)」で、クラブキッズが大きなワークパンツをベルトで絞って履いていたスタイルがインスピレーション源のマンチェスターパンツもブランドの定番アイテムのひとつ。シーオールを語る上では外せない基本スタイルとなっている。
- BRAND CONCEPT -
「世界各国の職人による手作業とモダンデザインの融合」

Image by: FASHIONSNAP
「メゾン フラネール(MAISON FLANEUR)」のクリエイティブディレクターを経た瀬川誠人が立ち上げた「シーオール」。ブランドコンセプトには「世界各国の職人による手作業とモダンデザインの融合。さまざまな文化とのリンクをもつタイムレスなデイリーウェア」を掲げている。
デザインはシンプルでありながら独特の風合いを生み出すための徹底した素材のリサーチにより作られる職人技の自然な美しさが特徴。愛用する時間とともに、美しく変化して身体に馴染んでいき、世代を超えて受け継がれていくものづくりを目指している。ブランド名の「SEE ALL」は、川喜田煉七郎が創刊したバウハウスとモダン建築に関する雑誌「I SEE ALL」に由来。「主格の『I』を抜くことで、全てのひとが全ての価値を見る」という思いが込められている。
2025年秋冬コレクションのテーマは“STYLE COUNCILとウィーン工房”


シーズン毎に異なるインスピレーションを設け、コレクションを展開する「シーオール」が2025年秋冬のテーマとして掲げたのは“STYLE COUNCILとウィーン工房”。スタイル・カウンシル(STYLE COUNCIL)とは、1970年代後半から80年代初頭にかけて絶大な人気を集めた、イギリスのロックバンド。ソウルとジャズ、R&Bなどのテイストを織り交ぜ、多様な音楽性を追求したハイセンスなグループとして知られている。一方、ウィーン工房とは建築家のヨーゼフ・ホフマン(Josef Franz Maria Hoffmann)とコロマン・モーザー(Koloman Moser)らによって設立された工房のこと。住宅やインテリア、家具をはじめ、宝飾品からドレス、日用品、本の装幀まで生活全般に関わる様々な分野でデザインを行い、アール・デコの思想にも通じる直線的かつ幾何学的な装飾で人気を博した。
このように音楽やアートなどファッション以外の事柄から着想を得て、洋服へのアプローチを試みているのが「シーオール」の最大の特徴だ。デザイナーの瀬川は自身をデザイナーではなくディレクターと表するのも、こうした別分野からのインスピレーションを受け、それらの要素を抜き出しコレクションを構成していることに起因するのだろう。
- COLLABORATION -
"新しい作業"だったLeeとのコラボレーション




Lee×SEEALL for URBAN RESEARCH
アーバンリサーチのエクスクルーシブ企画として2021年2月に実施した「リー(Lee)」とのコラボレーション。1940年代に発売されたリーの名品「91-B」ワークジャケットと「11-W」ペインターパンツを大幅にリデザインした。ペインターパンツはシーオールの定番アイテムでもあるマンチェスターパンツのデザインを融合させたもの。当時のスタイルを再現させながら、現代的なシルエットへとリデザインさせた。コラボについて瀬川は「アーカイヴをベースにしながら再解釈する作業はブランド自体のコンセプトに沿った新しい作業でした」とデザイナーは振り返っている。
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