
中国の新興EVメーカーNIOによる高級SUV
Image by: FASHIONSNAP

中国の新興EVメーカーNIOによる高級SUV
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イタリアの高級車メーカー、フェラーリが発表した、1億円以上とも言われる同社初の完全EV(電気自動車)「ルーチェ」が話題になっている。アップルの元チーフ・デザイン・オフィサーであるジョナサン・アイブらによる流線形のミニマルなデザインに対し、SNSには「官能性が魅力のフェラーリらしくない」「まるで中国メーカーのEVのよう」といった声も上がっている。だが、その「中国メーカーのEV」が実際どんなものなのか、パッと思い浮かぶ人は日本ではまだそう多くないだろう。私自身もそうだった。しかし、先週6年ぶりの上海出張で現地の車事情を目の当たりにし、EV大国・中国を肌身で実感。街で見かけた車の写真をもとに、上海のEV事情をレポートする。
※記事中の新車価格は全て編集部調べ
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「ルーチェ」発表後、フェラーリ株の急落を伝えるブルームバーグのXから
目次
国策としてEVを振興
前提として、中国はガソリン車で欧米や日本メーカーに遅れをとってきたことから、国策としてEVを振興してきた。その結果、現在中国は世界最大のEV市場として、新車販売の半分近くがEVやPHEV(プラグインハイブリッド)、EREV(レンジエクステンダーEV)を含む“NEV(新エネルギー車)”になっているというデータがある。どの車がNEVなのかは、ナンバープレートを見れば一目瞭然。緑と青の2種類があり、緑がNEVだ。地方都市では状況も異なるのだろうが、上海では緑ナンバーが圧倒的多数だった。青ナンバーは上海ではオークションで落札する必要があり、現地駐在員いわく「落札価格が200万円近くになることもある」。一方で、緑ナンバーはオークションなしで取得でき、それがEV普及を後押ししているのだという。
中国EVがベンチマークしてきたTesla
中国EV各社がベンチマークしてきた存在として、まずは米国のテスラ(Tesla)からSUVの「モデルY」。現地での販売価格は日本円で650万〜850万円ほどだという。中国EVのバリエーションは想像以上に多様で、テスラは街中においてもはや飛び抜けて目立つ存在ではないと感じたが、テスラ的な丸っこい流線形ボディや電動格納式のドアハンドルといったEVの“トンマナ”は、中国EVの多くが踏襲しているように感じた。
バッテリー容量に限りがあるEVは、ガソリン車と比べて空気抵抗が航続距離にシビアに影響すると聞く。空気抵抗を考えると、どうしてもテスラ的トンマナに収斂していくものなのかもしれない。それを考えると、記事冒頭で触れたフェラーリの新EVも、なるべくしてあのデザインだとも言える。



テスラ
中国最大のEVメーカー、BYD
次に、中国最大のEVメーカーで、日本にも正規ディーラーがあるBYD。どうやらBYDとは、BUILD YOUR DREAMSの略のようだ(写真2枚目の車体の文字参照)。原点は1995年に創業したバッテリーメーカーだという。面白いのが、中国の王朝名を採用した車種があること。写真1、2枚目はBYDのフラッグシップセダンの「漢」。日本車でいうところのトヨタ「クラウン」のようなモデルで、販売価格は400万〜600万円ほど。写真3、4枚目は「秦」。秦は漢に比べて、より大衆的な車種(200万〜350万円ほど)というが、始皇帝が聞いたら激怒しそうな話だ。




BYD
EV界のプレミアムブランド、NIO
続いて、中国EV界のプレミアムブランドであるNIO(上海蔚来汽車)。中国新興EVメーカーの一角といい、テスラが高級路線から大衆路線に軸足を移す中で、高級感を打ち出している。EVは充電が必要だが、NIOは充電ではなくバッテリーそのものを交換する方式を採っており、充電の時間がかからない点が売りだという。写真のSUVの価格はバッテリー買い取りで700万円弱、バッテリーを月額使用料によるサブスク形式にすると550万円ほど。NIOはNEVブームを追い風に急成長したが、中国EV激戦のなかで、株価は数年前に比べると低調に推移している。


NIO
大型SUVや高級ミニバンに強み、Li Auto
NIOと同じく、中国新興EVメーカーのLi Auto(理想汽車)。スポーティなセダンではなく、中国人好みのファミリー向け大型SUVや高級ミニバンに強みを持つメーカーだといい、中国EVの車種バリエーションの広さを示す存在と言える。写真1〜4枚目は同じ車種で、新車価格は700万円前後。






Li Auto
通信大手ファーウェイによるAITO、LUXEED
中国の通信大手、ファーウェイが主導し、自動車メーカーのセレス(SERES)が車両製造を担っているEVがAITO(問界)だ。写真1、2枚目のSUVは1000万円前後。ファーウェイは、自動車メーカーのチェリー(奇瑞汽車)との共同開発で、LUXEED(智界)というEV(写真3、4枚目、500万〜650万円前後)も手掛けている。車載OSや自動運転支援などはもちろんファーウェイ製。残念ながら写真はないが、ファーウェイだけではなく、スマホやIoT家電に強いシャオミもSU7というEVを作っており、これらは自動車産業の中でIT企業の存在感が増していることの例として挙げられる。




AITO
世界市場を目指すZEEKR
ZEEKR(ジーカー)は新興EVメーカーではなく、スウェーデン車ボルボの親会社でもある中国の大手自動車メーカー、吉利汽車(Geely)のEVブランド。対テスラだけではなく、対欧州メーカーも視野に、すでに欧州での販売も行っているという。写真1、2枚目のセダン(600万〜700万円前後)に加え、3枚目の高級ミニバン(1000万円前後)も目撃した。



ZEEKR
大手の上海汽車がアリババとタッグ、IM Motors
写真1、2枚目(650万〜950万円ほど)のIM Motors(智己汽車)は、長年中国を代表する自動車メーカーとして存在感を放ってきた上海汽車(SAIC)が、IT大手のアリババなどと共同で立ち上げたプレミアムEVブランド。上海汽車は独フォルクスワーゲンなどと合弁を組んでおり、約20年にわたって中国で自動車の販売台数1位を誇ってきたが、NEVブームを背景に2024年にBYDに抜かれたという経緯がある。上海汽車は独自ブランドのEVのRising Auto(写真3、4枚目、400万〜500万円ほど)も手掛けている。




IM Motors
中国メーカー同士の激戦時代に突入
数年前まではテスラの存在感が強かったとも聞くが、対テスラの時代を経て、今は中国メーカー同士のEV競争の時代に突入しているというのが上海を訪れての感想だ。ただし、これらの写真は高級マンション群が立ち並ぶエリアで撮影しており、下町や地方都市に行くと景色は大きく変わる可能性もある。日本メーカーも含めてEV開発競争の行方がどうなるか、市場が何を選択するかはまだまだ見通せないが、そもそもフェラーリのEVに対し、「中国のEVのよう」といった声が上がるくらいに、中国EVの存在感が増していることは間違いない。
最終更新日:
【連載:令和カーカルチャー】
vol.1 「車は一番大きなアウター」 若者が惹かれるヤングタイマー
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番外編 フェラーリ新車は「まるで中国EV」? 上海で見たEVのリアル
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