コレクション

　デザイナー長見佳祐が手掛ける「ハトラ（HATRA）」の2024年秋冬コレクション。テーマは「Orbs」。

HATRA

2024 Autumn Winter

ニュース

　コラボアイテムは、キルラキルの放送10周年を記念して製作。ハトラの人気シリーズのひとつである、釣り用グローブから着想を得た3オープンフィンガーグローブをベースに、キルラキルの主人公 纏流子が身につけている「赤手甲」をイメージした赤色に仕上げた。　キーヴィジュアルは、同作のキャラクターデザインと総作画監督を務めたすしおによる描き下ろし。ハトラとTRIGGERは、2015年に同社の別の作品でのコラボをきっかけに交流が始まり、長年同作でのコラボを検討してきたという。長見は「TRIGGERの作品はどれも、この世界に瑞々しい見方を与えてくれる表現に溢れていて、それ以前から大きな影響を受けていました。『キルラキル』は生命戦維とよばれる衣服を主題とした舞台設定が今見ても破天荒で、いつかご一緒できたらとお話していて、10周年を期に企画が実現しました」とコメントしている。

Fashion

ハトラがアニメ「キルラキル」とコラボ　人気のグローブを主人公カラーに

　「GO!!!」は、羊文学が12月6日に発売したニューアルバム「12 hugs （like butterflies）」に収録されている新曲で、ミュージックビデオ内で塩塚モエカがハトラの2023年春夏コレクションを、河西ゆりかが2021年春夏コレクションのアイテムを着用。衣装は寒色を基調とし、マーブルのような模様が全体的にデザインされている。

ハトラが「羊文学」に衣装提供　塩塚モエカと河西ゆりかが着用

　2010年に東京で設立したハトラは、衣服を境界状況的な空間と捉えた「リミナル・ウェア」をコンセプトに、ファッションとテクノロジーの関係性にいち早く着目し、3Dクロスシュミレーションや生成AIをはじめとするデジタルテクノロジーを用いたデザイン手法を確立。テクノロジーとリアリティの共鳴関係を模索するユニセックスコレクションを手掛けている。　ポップアップでは、人間と人工知能の関係性から着想を得た2023年秋冬シーズンの「WELDER」コレクションをフルラインで展開。同シーズンのテーマ「WELDER（溶接工）」にちなみ、液体化して流れる金属をAIを用いて視覚化し6色の原色糸によるジャカードで表現した「Weld Knit Sweater」（3万9600円）や、和装の意匠を現代的に再構成した不規則なプリーツが特徴のハイウエストワイドパンツ（6万2700円）などが並ぶほか、ストレッチ素材と人工スエードをドッキングしたグローブで完売していた「Study Gloves」（1万8700円）を再販売する。また、今回のポップアップ限定アイテムとして、今季の象徴的な素材と位置付ける透明のナイロン糸を織り込み、液体のような質感を表現した「リキッドツイル」を用いたスヌード「Liquid Shape Snood」（1万7600円／全て税込）を用意。ジュエリーブランド「シュンオオクボ（SHUN OKUBO）」とのコラボレーションからは、未来のイヤホンをイメージした曲線的フォルムのイヤーカフ（1万8700円）を発売する。　会場では2023年秋冬コレクションの新作販売に加えて、2024年春夏シーズンの「DIAPHANERA」コレクションの一部先行予約や、デザイナーの長見が収集する鉱石コレクションの展示も行う。会場デザインは、浅子佳英率いるPRINT
AND BUILD（協力スタジオキノコ）が設計を手掛ける。

「ハトラ」が渋谷パルコで初のポップアップ開催、限定スヌードや完売品グローブの展開も

デザイナー長見佳祐が手掛ける「ハトラ（HATRA）」の2024年春夏コレクション。テーマは「DIAPHANERA」。

2024 Spring Summer

　デザイナー長見佳祐が手掛ける「ハトラ（HATRA）」の2023年秋冬コレクション「WELDER」。

2023 Autumn Winter

　CDM Libraryは、長見の著書「CLO：DIGITAL MODELISM 3DCGではじめる新しいファッションデザイン」の関連企画として運営され、ページ上では型紙＆3Dモデルのデータを購入、改変することができる。フードの基本構造について学ぶことができるパーカやベーシックなテーラードジャケットの型紙＆3Dモデルデータなど、メンズ、ウィメンズ合わせて8種類を販売予定で、2月6日には4種をリリースする。

商用利用可能な服のパターンが登場、「ハトラ」長見佳祐が監修

　　同書では、3次元データの製図を行う「3DCAD」とアパレル製品向けの3Dモデリングソフト「CLO」のファッションデザインにおける使い方を長見佳祐が紹介。CLOは2Dの型紙編集と3Dのモデリングを行き来しながら衣服を形作るクロスシミュレーションを備えており、その機能を利用したアパレル製品の制作・演出方法をチュートリアル形式で解説する。加えて、バーチャルヒューマンのSayaを生み出した3DCG制作ユニットの夫婦「テルユカ（TELYUKA）」へのインタビューなども掲載されている。

Culture

「ハトラ」長見佳祐の著書が発売、CLOを使ったファッションデザインを解説

　デザイナー長見佳祐が手掛ける「ハトラ（HATRA）」の2023年春夏コレクション「ECHOKEEPER」。

2023 Spring Summer

　デザイナー長見佳祐が手掛ける「ハトラ（HATRA）」の2022年秋冬コレクション「YOI」。

2022 Autumn Winter

　デザイナー長見佳祐が手掛ける「ハトラ（HATRA）」の2022年春夏コレクション「Alias Alias」。

2022 Spring Summer

パーソン

―卒業校は？エスモード・パリのマスターを2009年に卒業しました。―尊敬している人は？谷脇かなえさん。フランス時代ヌーベルクチュール科の恩師で、服作りの考え方を芯から教わりました。―好きな色は？一見無機的なグレーが複数重なることで立ち現れる色空間が好きです。―本を一冊、無人島に持っていくとしたら何を選ぶ？L'INCAL / Alexandro Jodrowsky, Moebius。―デザイナーをやっていて嬉しかったことは？今も制作を続けられていること。―デザイナーとして大切にしていることは？フィジカル／デジタルに関わらず、自分の手を動かすことです。―人間として大切にしていることは？短期、長期ともに何かを覚えておくのが昔から苦手でしたが、最近は忘れる力も人間に欠かせないものだと開き直っています。―趣味は？数年前から時間を見つけては3Dモデリングとそのリサーチを進めています。―好きな場所は？ターミナル駅特有の少し浮足立った空気が混じり合う様子が好きで、東京駅にはよく足を運びます。もう一つはそのすぐ近くにある博物館 インターメディアテクです。―デザイナーにならなかったら何になっていると思う？大阪の国立民族学博物館に携われたらと訪ねるたびに思います。―デザイナーという仕事を一言で表すと？関係性の翻訳だと思っています。―デザインする時に気をつけていることは？並べて比べられるようにする。

「ハトラ」デザイナー長見佳祐に聞く12の質問

ブランド

＞＞最新コレクションのアイテムをF/STOREでチェックする- BRAND CONCEPT -コンセプトは「LIMINAL WEAR」　ハトラではデビュー時から「居心地の良い服」をキーワードに、柔らかな素材を用いて、パーカをはじめとする居心地の良い服作りを行ってきた。2021年秋冬シーズンからはブランドコンセプトを刷新し、分解人類学の領域で境界性という意味で用いられている"リミナリティ"に由来する「リミナル・ウェア（LIMINAL WEAR）」を提案している。同コンセプトはこれまで10年の活動を総括するものであり、今後の指標でもあるという。　また、近年はホームウェアレーベル「トワイ ハトラ（TWI HATRA）」やアイウェアレーベル「ハトラ オプティカル（HATRA Optical）」を立ち上げるなど、アイテムのカテゴリーを拡充している。 - CHARACTERISTIC ITEM -「ハトラ」を代表するアイテムはスウェットパーカ　ブランドを代表するアイテムは、吊編み裏毛のスウェットパーカ「Y Parka LP」。カジュアルウェアとして定着したパーカのイメージをリセットし、「裏毛本来のポテンシャルを引き出すことで、新たなベーシックを形作っている」のだという。吊編み裏毛の抱擁感や、芯を据えたフードのシルエット、立体的なステッチワーク、曲線による機能と仕様の一体化などが特徴。ファスナーはフードの上部まで閉じられる仕様となっている。＞＞商品詳細ページ- WHO TO WEAR -こんな人に着て欲しい　ブランドコンセプトとしてリミナル・ウェア（境界的な服）を掲げていることから、ブランドは「何らかの境界上に暮らす人」に着て欲しいと語る。「親指1本でなんでも表明できてしまう現代に、すべてに白黒をつけることに戸惑ってしまったり、揺れ動く人間関係の中にいることが不安になったり、誰にでもあるそうした（境界的な）状況に寄り添うための服を作っています」。- PERSON -TOKIが6シーズンにわたってヴィジュアルを撮影　ブランドと関係が深い人物としてデザイナーの長見が挙げたのは、6シーズンにわたってコレクションのルック制作を担当しているフォトグラファーユニットのトキ（TOKI）。トキは東京を拠点に活動する男女2人のユニットで、幻想的かつ透明感のある作風が特徴。アートやファッションシーンでもファンが多く国内から高評価を受けている。- COLLABORATION -コラボレーションで印象深いのはSynflux　ファッションとテクノロジーの関係性に着目し、3DやAI（人工知能）などの技術を服作りに取り入れることでも知られているハトラ。ブランドは印象深かったコラボレーションとして、生地の廃棄ロスを削減するためのパターンメイキングシステム「アルゴリズミッククチュール（Algorithmic Couture）」を擁するシンフラックス（Synflux）の共同プロジェクト「AUBIK」を挙げる。プロジェクトでは機械学習を応用してデザインする新しい衣服を製作しており、第1弾ではパーカを開発した。- MAIN SHOP -主な取り扱い店舗　主な取扱店舗は、「ハウス@ミキリハッシン」「デルタ（DELTA）」「ステュディオス（STUDIOUS）」原宿店、「ウォール（WALL）」など。国内デザイナーズブランドのバイイングにも注力するセレクトショップを中心に展開している。また、伊勢丹新宿店メンズ館などでも取り扱われている。主要年表【2022年】菊地成孔が主宰するバンド「ラディカルな意志のスタイルズ」の衣装を制作。【2021年】アイウェアレーベル「ハトラ オプティカル」を立ち上げ。【2020年】展覧会「Making FASHION Sense」でシンフラックスとの共同プロジェクト「AUBIK」によるパーカを公開。ホームウェアレーベル「トワイ ハトラ」を始動。「居心地のいい服」というコンセプトから派生したホームウェアを展開している。【2019年】「JFLF AWARD 2018」のファイナリストに選出。「2019年度 Tokyo 新人デザイナーファッション大賞」の最終審査に進出。日本橋馬喰町のホテル「ディーディーディーホテル（DDD HOTEL）」のルームウェアのデザインを担当。【2018年】2018年春夏シーズンからウィメンズラインを始動。VRを用いた発想支援ツール 「コモル（COMOLU）」のデザインを長見が担当。【2016年】長見とファッションデザイナー／アーティストのヌケメ（nukeme）によるブランド「オーケイ（Okay）」を始動。【2015年】山口壮大ディレクションによる企画展「雨護展」に参加。【2014年】パーカーを用いたこたつカバー「kotatsu parka」を制作し、"ネオこたつ"としてSNSで話題に。【2010年】長見が自身のブランド「ハトラ」を始動。

「ハトラ（HATRA）」とは？

　ハトラでは「目」のモチーフをグラフィックやテーマに用いることが多く、以前からアイウェアデザインの構想があったという。2021-22年秋冬コレクションのテーマ「Rapid Eye Movement」を追求するにあたり、メタルフレームのアイウェアが必要と考え、今回新レーベルの立ち上げに至った。　ハトラ オプティカルの第1弾として、丸型の「SOLA」とオーバル型の「LAKE」の全2型を製作。カラーはシルバーとブラックの2色展開で、福井県鯖江の職人により一本ずつ丁寧に仕上げられている。素材には、昭和初期に日本で開発された合金「サンプラチナ」を採用。長時間大気中に放置しても変色しずらく、耐食性にも優れているという。

ハトラからアイウェア・レーベル「HATRA Optical」がデビュー、昭和初期に日本で開発された合金使用

　デザイナー長見佳祐が手掛ける「ハトラ（HATRA）」の2021年秋冬コレクション「Rapid Eye Movement」。

2021 Autumn Winter

インサイド

HATRA2010年のブランドスタートから"居心地のいい服"をキーワードに、東京ブランドの中でいち早くファッションとテクノロジーの関係性に着目してきたユニセックスブランド。「3D」「AI」などの技術を取り入れたアイテムは、実験的なコンセプトを取り入れながらも、そんな難しいことを考えずに単純にファッションアイテムとしても楽しめるギャップを持っています。＞＞記事内の新作アイテムは予約購入サイト「TWO:REVERSE（ツーリバース）」でプレオーダー受付中HATRAの2021年春夏コレクションを知る　コロナ禍でも、自宅で作品撮りをしたり、物作りをしたり「手を動かさないと落ち着かないクリエイターの友人たちに感銘を受けた」という長見氏。今シーズンは、そんな「作り続けることの営み」を、羽ばたいて空を飛ぶ鳥型の飛行機"オーニソプター"に重ね合わせました。　加えて、印象的だったのが、コレクション制作期間の真っ只中、政府が掲げた「新しい生活様式」に「違和感を覚えた」という長見氏の言葉。人それぞれ、それまでの生活の延長線上にあるべき生活スタイルを無視して、一様にルールとして定めてしまうような提案に、インディペンデントなブランドのデザイナーとして「逆にガラっと変えてしまうことの無責任さを感じた」と加えます。　アイテムは、鮮やかなニットやシワになりにくいジャケット、タイパンツ風のデニムなど、柔らかく着やすそうなアイテムをラインナップしていますが、そこにハトラらしい"デジタル由来"の技術やディテールをミックスしています。男女ともにファンが多く、特に女性ならロジカル思考の人に支持されるというハトラのコレクション。気になった方は、もしかすると「理系」気質のファッションラバーかもしれません。#1 : 一点投入で手持ちアイテムが今年顔に　インパクトのあるジャカードのセーターは、一点投入するだけで手持ちのアイテムをフレッシュに甦らせてくれる便利なアイテム。AIに大量の「鳥」の画像を読み込ませて製作したという編地は、同じ6色の糸を使用しながらも、異なる4つの柄を作り出せるのがユニークです。ドライな肌ざわりのセーターは、ロングのベストタイプもラインナップ。ベーシックなシャツやパンツと併せて、トップスが主役のスタイリングを楽しんで下さい。＞＞アイテムの詳細・予約購入はこちら#2： 汎用性抜群！のほどよいミリタリー　 "エアポート ジャケット"と名付けられたこちらは、今季のテーマを最も象徴するアイテムのひとつ。ステッチやウエストの絞りなどのさりげないデザインは、どんなコーディネートともマッチします。襟元の防寒用ストラップや胸元に付けたD缶風の金具など、細部に散りばめられているミリタリーのディテールは、機能性だけでなくギア好き男女の好奇心までも満たしてくれそうです。＞＞アイテムの詳細・予約購入はこちら#3：涼しくても見た目スマートな“開襟” 　Tシャツやカットソーなどカジュアルになり過ぎる夏場、おすすめしたいのがハトラで初めてデザインしたという開襟シャツ。もともと襟が深く開いているので、スタンダードなシャツの胸元を大胆に開けたときのような、ダラしなさや変なセクシーさを出さずに、蒸し暑さを回避してくれます。＞＞アイテムの詳細・予約購入はこちら#4：これ一着でコーディネートが完成　胸元のドレープや裾の落ち感が綺麗なカフタンドレスは、これ1枚でコーディネートが完成する便利な1着です。レザータッチのポリエステルやウールなど、今シーズンさまざまなアイテムに取り入れている素材のハイブリッド。触れてこそ分かる質感の違いには「デジタルに傾倒するからこそ、より"リアル"が恋しくなる」という長見氏の想いも込められています。＞＞アイテムの詳細・予約購入はこちら#5：ストレスなしのデニムパンツ　タイパンツのようなデニムは、締め付け感のないウエスト周りのデザインがポイント。ハトラが9月に発表したホームウェアのボトムスと同じパターンを採用しており、ストレスのない気心地が魅力です。カジュアルだけどシュッと見えるパンツスタイルにぴったり。＞＞アイテムの詳細・予約購入はこちら

【連載】今決めたい、最新・最鋭アイテム -HATRA 2021SS-

　デザイナー長見佳祐が手掛ける「ハトラ（HATRA）」の2021年春夏コレクション「Ornithopter」。Photographer：TOKIHair：Eiji SatoMake-up：Yuka HiracModel：Aya Watanabe、Daichi YamadaGAN Graphic：Synflux