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若林恵に聞く、主観から離れて社会を見ること ファッション業界から政治のイシューまで

「週刊だえん問答 コロナの迷宮」

若林恵氏/「週刊だえん問答 コロナの迷宮」

IMAGE by: FASHIONSNAP

「週刊だえん問答 コロナの迷宮」

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ファーフェッチはファッション版Netflix?

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― ファッションが「何がイケてるか」に関する産業だとすると、若林さんが「イケてるな」と思うものは何なんでしょう?

 なんでしょう……。何かを見て「イケてるなあ」と思うことは確かにありますよね。なんでしょうね。おそらく、判断の大胆さ、見てる先の鋭さ、あとは一種の勇気、みたいなものに感心することが多いかもしれませんね。「これ普通ならなかなかOK出ないやつだよね」みたいなところに感銘を受けることは多いですね。サービスやプロダクトそのものではなくて、その決定にいたるプロセスにおける判断みたいなところを想像するのは好きですね。

判断の大胆さ......というところでいうと、近年「このビッグブランドも!?」と思うほど、コングロマリット化がファッション業界では進んでいます。

 それがファッション業界のなかでどう見られているのかよく知らないのですが、そうしたコングロマリット化は、ある意味では、LVMHやケリングといった企業が「プラットフォーム」であることを目指しているように見えなくもなくて、そういった観点からは、面白さもあるのかな、と思ったりはします。

 2019年にファーフェッチがニューガーズグループ(NGG)を買収しましたよね。ファーフェッチはもともと世界各地のセレクトショップと連携してローカルなブランドをグローバルなECプラットフォームに乗せることをやってきたわけですが、NGGの買収でファーフェッチが手に入れたかったのは生産ラインだったと理解しています。つまり、グローバルECでの販売に加えて、小さいローカルブランドの生産をもサポートできるようになることが、NGGを買った意義の一つ、とファーフェッチの方が確か話していたはずです。

― プロダクションからデリバリーまで一貫して行う、ファッション版ネットフリックスのようにも聞こえますね。

 まさに、そういうイメージですよね。LVMHやケリングといったコングロマリットもプラットフォームっぽい機能をもつことで、生産ラインなども合理化できるようになるはずで、リアーナがLVMHでブランドを立ち上げたようなことが(現在は休止中)、より速度感をもってできるようになるのではないかと想像します。LVMHがそういう構想を持っているかは定かではありませんが、それはそれで面白いことなのかなとも思ったりはします。近年はもはやコラボが完全に常態化しているわけで、そういう意味では生産プラットホームの上に、オープンなかたちでプロダクト開発が進んでいるわけですから、そうした流れはもっと加速するのではないかと感じます。そうした流れのなかで、ファッションとマーチャンダイズ(アーティストグッズ)の境界もどんどん曖昧になってきていますよね。

― 人気アーティストとコラボしたマーチ的なカプセルコレクションは、近年確かに増えていますね。

 ファッションの世界の面白いところって、基本「調子いい」ところだと思うんです。いい意味で「ミーハーである」ということなのですが、短期的なトレンドを追って正しく右往左往するじゃないですか。それって実はとても大事なことだと最近は強く感じます。世の中がこっちに向かうぞ、という風向きを誰よりも早く察知して、そこに向けてどかっと資本投下をして、そうした風向きを現実化してしまう力もあるわけですよね。かつ新しいものに貪欲なので、それらを臆せずどんどん取り込んで、それが社会を変えていく要因にもなったりしますよね。「これが今イケてるから」みたいな理由でお金を突っ込んで、実際そっちに社会を無理やりにでも向かわせるみたいなところはあるわけですよね。そうやって真っ先に新しいものに頭から突っ込んでいく業界の存在は社会にとっても重要ですから、そうした「調子の良さ」みたいなのはファッションの生命線のように思うんです。

― 今はそれこそ、サステナビリティに向かって皆が一気に走っていたり。ステラ・マッカートニーのようにずっと一貫して主張し続ける存在は稀有かもしれませんね。

 サステナビリティについては、どちらかというと出遅れていた領域だったように思いますし、かねてから真剣に取り組む必要のある課題ですよね。長らく取り組めていなかったのは、産業構造自体を変えてしまう可能性があるものだったからだと思いますが、いよいよ大規模な構造転換が迫られていますよね。これは例えば格差とかダイバーシティといった社会問題についての対応も、いよいよシビアに向き合わなくてはいけなくなっていますが、これについても、大きく転換を迫られています。これまでファッションは、政治に対しては中立であるというフィクショナルな立場を取ってきたと聞きますが、ファッションビジネスにおける「中立性」については、この数年で、ガラガラと崩壊しつつあるように見えます。それこそ「Vogue」が2016年の大統領選挙で歴史上初めて支持政党を表明したのが象徴的出来事だったと思いますが、以前「グッチ(GUCCI)」のマルコ・ビッザーリ(Marco Bizzari)CEOにインタビューした際にも、「2016年を境にファッションブランドの中立性はなくなった」と話されていました。自分がどっちの立場かを明言しないことは、明言することよりもリスクが高い、と強く断言されていました。今までは「政治にはコミットしないんで」というスタンスでも許されてきましたけど、それはできなくなりつつあるんですね。もっとも、これはファッションブランドに限った話ではないと思いますが。

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