スティーブ・ジョブズ I
米アップルの前最高責任経営者(CEO)Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)本人公認の伝記本が10月24日、全世界で発売された(日本語版は25日)。ジョブズが愛用した黒のタートルネックは、「ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)」のものと確認されている。一見するとシンプルなアイテムだが、そこにはジョブズらしいこだわりや逸話が多く残されている。
スティーブ・ジョブズへの貴重なインタビューを元に書かれた評伝「スティーブ・ジョブズ I 」には、ジョブズが黒のタートルネックを選んだ意外な理由が綴られている。ジョブズ本人が著者ウォルター・アイザクソンに語ったというその内容によると、80年代にジョブズが日本のソニーの工場を訪問した時に従業員が「ISSEY MIYAKE」デザインのジャケットを着ているのを見て、ジョブズはユニフォームこそ会社と従業員をつなぐものだと考えた。アップル社にもそれが必要だと思い、自社用にデザインを依頼したのがきっかけだという。結局アップルでユニフォームが採用される事はなかったが、それならばと自身のユニフォームとして黒いタートルネックを「ISSEY MIYAKE」にオーダーした。
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以来、すっかりトレードマークとして定着したこのタートルネックだが、実はジョブズらしくかなりの特別仕様が施されている。もともとこだわりの強いジョブズのため、「ISSEY MIYAKE」は特別なオーダーメイドを用意。当時の技術スタッフ総出でジョブズの身体のあらゆる部分を採寸し、両腕の長さの調整や肩幅などはもちろん、左右の重量も快適に着れるように調整が加えられるなど、少しの妥協も許さないスペシャルオーダー品となっていた。
最初のオーダー数は50枚とも100枚とも言われているが、いずれにしても膨大な数。最初のオーダーは無料で提供された。その後は有料で定期的にジョブズの元へ届けられており、直近までオーダーがあったという。ジョブズのタートルネックは非売品と思われるかもしれないが、実はオーダー品ではない市販バージョンは現在も「ISSEY MIYAKE」のメンズ売場で手に入れることが出来る。当時から廃盤になることなく売れ続けており「流行廃りが激しいこの業界で、長年売れ続けるこのアイテムを選んだジョブズはさすがだ」という話もこのエピソードを知る関係者の間で残っている。
一見すると何気ないアイテムだが、マイクロマネージャーと呼ばれたジョブズが細かいところまで目を光らせていたエピソードは「神は細部に宿る」という言葉を地で行くジョブズらしいこだわりを象徴している。このほかにもリーバイスやニューバランスをなどの定番品を愛用していたジョブズだが、もしかするとこれらも特別なエピソードが潜んでいるのかもしれない。
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