Masahiro Kubo

「和」が出ているかを探して

久保雅裕

アナログフィルターJournal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)編集長

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 前職のポジションの影響からパリでの仕事が多い。トレードショーへの出展サポートや日本ブランドの合同ポップアップストアの開催といった日本のブランドの海外進出を後押しする仕事がメインだが、外国人からよく聞かれるのが「日本ブランドの特徴って何ですか?」というもの。

 そのような時に良く話すのが、この話。日本人が世界中の人々の中で、特に多く持っていると言われる通称「不安遺伝子」のこと。アフリカ大陸で人類が生まれて、陸伝いにヨーロッパや中国へと広まっていったのに対し、日本人の先祖はインドネシア辺りから海を渡って辿り着いたことにより不安遺伝子を醸成したと考えられているそうだ。つまり海を渡るという作業は陸上を移動するよりも遥かに危険が伴い、その繰り返しによって、危険を避けるための意識を強める為に「不安を感じる」遺伝子が他の民族より強くなったという。その不安感の為に、相手を怒らせないように、人が望んでいる事を、先を見越して想像し、先回りして手を差し延べる、所謂「おもてなし」の習慣が育ったと考えられている。

 「和を以て貴しとなす」も、そんな起源によるものなのかもしれない。 さて、そんな日本らしさが、どのようにファッションに現れるのかというと、まずはあらゆる文化・カルチャーを一度は受け入れてみる。そして、それを自分流(日本流)にアレンジして表現してみせるという手法だ。クリスマスやバレンタインデー然り、最近はハロウィンなどもその類いかもしれない。ほとんど本場の意図とは違った催しになっている。 ファッションで言うなら、欧米で固定観念を打ち破れないエレガンスやTPOをカジュアルミックスという手法で簡単に崩して採り入れてしまうストリートファッションが典型例と言える。それこそが日本のファッションの強みになると思い、「和」というものの解釈と採り入れを、どんな風に行っているのかという視点で見てみた。

 「ラマルク(LAMARCK)」は毎回、小紋柄のようなモチーフが取り入れられつつ、純粋に欧米のエレガンスの王道を行っている気がする。

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>>LAMARCK 2016-17年秋冬コレクション

「ドレスアンドレスド(DRESSUNDRESSED)」は、丹前を思わせる肩から背にかけて落としたパターンに日本的なるものを見た。

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>>DRESSEDUNDRESSED 2016-17年秋冬コレクション

「モトヒロタンジ(Motohiro Tanji)」は、ジーンズにニットのサイドブレードという組み合わせがミクスチャーの妙だと感じる。ただスタイリングが複雑で、分かりづらくしていたルックも目立ったのが残念。

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>>Motohiro Tanji 2016-17年秋冬コレクション

ショーではなく展示会で見た「ミュベール(MUVAIL)」は、和を意識した表現方法として、着物のシルエットを落とし込んだコートを披露した。

kubosan_20160318_08.jpg「シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)」は、筒と立方体の組み合わせのような突拍子もないドレスが組み合わせることへの挑戦を感じさせる。久々に飛び抜けたコレクションだったので、大絶賛である。

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>>THEATRE PRODUCTS 2016-17年秋冬コレクション

「インプロセス(IN-PROCESS)」は、得意のプリント柄に儚げな和を感じさせる。

kubosan_20160318_06.jpg>>IN-PROCESS 2016-17年秋冬コレクション

「ヨシオクボ(yoshio kubo)」は、ネイティブアメリカン調のあまいジャカードとプレーンな無地を左右で切り替えたジャケットを披露した。この組み合わせもなかなか出来るものじゃない。

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>>yoshio kubo 2016-17年秋冬コレクション

そんな視点で回ってみたファッションウィーク4日目までのまとめである。


【「ジュルナル・クボッチ」編集長久保雅裕の東コレコラム】
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