Toru Ogawa

お隣さんからの越境は何を生むのか?「ファッション進化の芽を探せ!~東コレ取材日記②~」   

小川徹

放送局プロデューサー

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 今回のファッションウィークでは、初めてバッグブランドとランジェリーブランドが初めてショーを行った。

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 3月14日にショーを行った「ケイイチロウセンス(keiichirosense)」。バッグデザイナーとして、世界最高峰のデザイン賞IFデザイン賞など、数々の受賞に輝く由利佳一郎が、「バッグからイメージするトータルスタイリング」を掲げて、2012年に設立したのが、このブランドだ。

ショーでは、普通の「服とバッグ」の組み合わせというスタイリングもあったが、驚いたのは、服そのものではなく、「バッグが服になる」という発想だった。ネックウェアと一体となったバッグや、フードと一体となったバッグ、ブラジャーと一体となったバッグなどが展開された。

SF映画「エイリアン」のキャラクターデザインを行ったH・R・ギーガーが描く絵のような世界、だが、そこにあまりグロテスクさはない。ブランドの公式サイトを見ると、バッグが服になることについて、様々なトライアルを重ねてきたことがわかる。

ITの進歩で、近年ウェアラブルデバイスが再び注目を集めているが、バッグは、もともと身体に近いもの。「バッグが服になっても良いではないか」その発想の転換が、私には新鮮だった。

>>keiichirosense 2016-17年秋冬コレクション

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 3月15日にショーを行ったのが、ランジェリーブランドの「ピーチ・ジョン(PEACH JOHN)」。 このブランドは、アパレル部門も持ち、既に様々なアイテムを展開している。さらに2016春夏シーズンからは「ファッションの一部としてのランジェリー」を提唱し、よりファッション性を高めた展開を図っている。

今回のショーでは、「ヴィンテージ」というテーマに合わせて、海外ブランドのヴィンテージのガウンやローブなどをモデルに着せたスタイリングでショーを行った。ショー後の囲み取材で、同社の上野顕之社長は、「今後はランジェリーを中心にして、ファッションブランドとしてトータルな提案をしていきたい」と語った。

>>PEACH JOHN 2016-17年秋冬コレクション

 ファッション業界は、異分野からの参入に比較的寛容ではない。しかし、バッグとランジェリーは異分野ではなく、服と隣接した非常に近い分野だ。こうした業界が、トータルファッションを提案することで新たな発想が生まれるかもしれない。

その一方で、それは、本業の人々の厳しい評価を受けることでもあるし、必ずしも成功するとは限らない。正直、今回のケイイチロウセンスのショーには、ジャーナリスト仲間の間でも、参加ブランドの選定基準に疑問を投げかける声もあった。

ファッションウィークでこうしたチャレンジを受け入れるのか、それとも別の場を用意するのか、それはファッションウィーク自体の評価にも影響するだろう。

どんな場所であれ、異質なものの混ざり合いからイノベーションは生まれる。しかし、全く接点がないものを組み合わせるのは至難の業だ。おとなりさんからの越境は、もしかしたらファッション進化の一つの道なのかもしれない。

【放送局プロデューサー小川徹の東コレ取材日記】
ファッション×テクノロジーのうねりが始まった「ファッション進化の芽を探せ!~東コレ取材日記①~」
お隣さんからの越境は何を生むのか?「ファッション進化の芽を探せ!~東コレ取材日記②~」


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