Toru Ogawa

2017SS東コレ取材日記② エモーショナルな2つのショー「キディル」と「ティート」

小川徹

放送局プロデューサー

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ファッションウィーク2日目、普遍的な感情が伝わってくる2つのショーに立ち会うことができた。

「キディル(KIDLL)」は「現代の新しい精神を持った不良たちへ」というメッセージで力強いコレクションを見せた。会場は山の手線内でも最もディープな鶯谷駅近くの元キャバレーを改造したライブハウス。オールスタンディングの会場には、ブランドの若いファンもたくさん詰め掛けている。配られた資料には、1950~60年代のアメリカの若者に大きな影響を与えたギンズバーグの詩「吠える」の一説が掲げられている。

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ショーは、スリーピースロックバンドのライブで始まった。切りっぱなしのオーバーサイズのデニムのセットアップ、ブランドのシンボル的なオオカミの柄が敷き詰められたアウター、タトゥーの入ったモデルにヒョウ柄のセットアップ、そして怪物の顔が描かれたオーバーサイズニット・・・。怒り、焦り、悲しみ、など、誰しも感じる、感じてきたであろう感情が伝わってきた。まさに生のファッションショーでしか体験できない一夜の貴重な体験だった。

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>>KIDILL 2017年春夏コレクション

残念だったのは、渋谷ヒカリエで行われる「ウミット・ベナン」のショーのために、デザイナーの末安弘明のインタビューを聴かずに会場を出たこと。ショーが終わってダッシュで移動してもオンタイムの時間には間に合わない。できればショー直後のデザイナーの声を聴いて、ショーの取材は完結する。双方とも公式スケジュールなのに残念だった。

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新大久保にある淀橋教会でショーを行ったのは「ティート トウキョウ(tiit tokyo)」。自分らしく生きづらい世の中への違和感やその中での孤独を乗り越え、一歩を踏み出そうとする女性の一瞬の美しさを表現したという。

ショーで配られるプレスリリースを読んで、コレクションの内容とすぐに結びつかず、「そんなの後付けだろう」と思ったり、自分の理解力の不足を恥じたりすることは多々あるのだが、今回の「ティートトウキョウ」のショーは、表現したいことと、服が直接響きあった。

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ショーの前半には、服の袖や裾から垂れた紐、割れた鏡の破片を取り付けたように見えるカットジャガードなどが目立ち、後半は、独特の光の反射をするグラスオーガンジーによるシースルーのアイテムで彩りが加わった。

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ショーが終わるとシンガーソングライターCoccoの名曲「Rainnig」が流れた。

それはとても晴れた日で/未来なんていらないと想ってた/私は無力で/言葉を選べずに/帰り道のにおいだけ/優しかった/生きていける/そんな気がしていた。

デザイナーの岩田翔は、青春時代の不安定な心情を描いたこの曲を、スタッフに反対されたけれども、どうしても使いたかったという。

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>>tiit tokyo 2017年春夏コレクション

メンズとレディース、動と静という違いはあるが、多感な時代の心の動きに寄り添った2つのショー。2人のデザイナーはともにすでに20代ではないが、特に若い世代に普遍的な感情に寄り添いつつ、時代にマッチした表現を行っていたのが心に残った。

【放送局プロデューサー 小川徹の東コレ取材日記】
①新生ファッションウィークから01は起こるのか?

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