
今年のお買い物を振り返る「◯◯が2016年に買ったもの<全4回連載>」。2人目は今年再び「アンリアレイジ(ANREALAGE)」とタッグを組むなどファッション界からも注目されたサカナクションの山口一郎さん。2016年に購入した品々の中から愛着のある5点を教えてもらいました。
ニット / LOEWE
山口一郎(以下、山口):これは先月買ったばかり。J.W.アンダーソンが以前から好きで、クリエーティブ・ディレクターになってからはロエベもいい意味でぶっ飛んでいて気になっていたんです。2016年秋冬のキノコの絵が入ったブルゾンが欲しかったんですけど、ロゴがかなり大きく入っていて「初心者にはやらしすぎるかな?」と思ってたら、ふとこのニットが目に入って「これだ!」って。
FASHIONSNAP(以下、F):お店で見てるとそういうことありますよね。
山口:着てみると、このニットの秀逸さがより理解できるんですよ。それに、普通こんなデザインにしないですよ。真っ黒いニットの中にこれだけ白の糸の分量を割いて、ざっくりとした太めの毛糸だからこそ成立する。このバランスは一発なのか、何度もトライしたのか、気になっちゃいますよね。
F:大胆ですよね、シルエットも良さそうです。ウィンドウジャンパーというアイテム名だそうですよ。
山口:形も、落ち感もいいんですよ。すごくよく考えて作られていると思います。
F:J.W.アンダーソンになってからよくロエベを購入しているんですか?
山口:実は今回が初めてなんです。J.W.アンダーソンはよく買っていて、先日も片山さんがデザインされた六本木ヒルズ内のユナイテッドアローズで「ヤンキーみたいなパンツ探してる」って伝えたら店員さんが「あります」って言ってくれて。それがたまたま、J.W.アンダーソンだったんですよ。80年代にいたような本物のヤンキー感が漂う服が最近、気になっています。
※片山さん→インテリアデザイナーのワンダーウォール代表片山正通氏。今年開催された50歳&出版記念パーティーでライブも実施したことが話題になった。
バックパック - Maison Margiela
F:メゾン マルジェラのバックパックですね。白を買うのは勇気がいりそうですが。
山口:そうなんです。仕方ないですけど、汚れちゃうんですよ。でも汚れてもいいなって思って。元々黒のナイロンバックパックを持っていたんですけど、形が崩れて使いにくいなと思っていて。片山さんとご一緒したパリ旅行中にお店に行ったら、これを見つけて。僕は服や身につけるものは「黒」か「白」のどちらかと決めているんですが、白のバックパックで気に入ったものに出会ったことが無くて。これはレザーだし、フォルムもしっかりしているしいいなと思って。
F:一目惚れだったんですね。
山口:店員さんに聞いたら「あと2点ですよ」と言われて、僕は即決。片山さんも「せっかくだしね」とお揃いで購入されてました。でも、そのあとにアンリアレイジのショーのためにパリに行ったのでお店を覗いたら、たくさん置いてあったんですけどね(笑)。
※アンリアレイジのショーのためにパリに行った→2年前にバイノーラル音源が話題となったアンリアレジのショーで、今年も2度目の楽曲担当。テーマは「SILENCE」。
F:店員さん上手でしたね。マルジェラはいつ頃から買っているんですか?
山口:マルジェラは最初に好きなったブランドなんですよ。恵比寿の旗艦店に同郷の人がいて、仲良くなって行きやすくなって。
※同郷の人→山口さん含めサカナクションは全員北海道出身。
F:そうなんですね。お店に行くのは抵抗があったんですか?
山口:僕、ちょっと前までファッションに全然興味がなかったんです。買えるお金もなかったですし、オシャレをしていく場所にも行かなかったし。引きこもって音楽を聞いて曲を作る、"音楽変態"だったんで。まぁ、それは今も変わらないんですけど(笑)。でもデビューしたのがちょうどMVやyoutubeが浸透し始めた頃で、ヴィジュアルが音楽に与える影響を実感したんです。それもあって、ヘアメイクやスタイリストさんに少しずつファッションのことを教えてもらって、今に至るという感じです。
F:それにしても、知識はかなり豊富です。
山口:いえいえ。ただ、僕は一度研究し始めると止まらない性格なので、研究していく中でいろいろ知識が溜まってきてるのかもしれませんね。
Tシャツ - 3.1 Phillip Lim
F:2016年春夏コレクションのTシャツですね。イラストは浮世絵の"入浴美人"。