Shigeto Ichikawa

覚醒はあるか、デビュー組の実力を考察

市川重人

繊維ニュース 記者

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STAIRの2019年春夏コレクション
STAIRの2019年春夏コレクション
Image by: FASHIONSNAP.COM

 2019年春夏シーズンのファッションイベント「アマゾン ファッション ウィーク東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」(AFWT)が15日に開幕した。計51ブランドがファッションショー&インスタレーションを行うが、初参加が約20ブランド(フィリピンなど海外勢を含む)という、今までにない入れ替えが激しいシーズンになっている。ちなみに現在、AFWTと重なる形で上海、ソウルでもファッション・ウィークを開催しており、両都市も東京と同じく若手デザイナーの発掘・育成を強化している。既に東京の優位性は薄れており、若手デザイナーの底上げが急務になっているのが現状だ。AFWT初日は初のファッションショーを行うブランドがいくつかあり、その実力を考察したい。

 
AOI WANAKA 2019年春夏コレクション

 AFWTのオープニングを飾った「アオイ ワナカ(AOI WANAKA)」は、今年デビューしたウィメンズブランド。植物を想起させる装飾的なテキスタイルやフラワープリント、ジャカード織りを駆使し、躍動感のあるドレスやパンツルックを披露した。ドローコードやショートパンツを採用するなどスポーティーな仕様を絡ませ、スタイリッシュにまとめている。ともすればバランスが崩れてしまいそうな装飾テキスタイルを使用するが、シャープなカッティング技術で凛とした女性像を描く。創業間もないブランドということもあり、蝶の蛹(さなぎ)を自身のブランドに重ね、「いつか青空に羽ばたきたい」とデザイナーの和中碧。伝統工芸の絞り染めや人工素材のウルトラスエード、天然のシルクを使い、異素材のスタイリングにもチャレンジした。青虫から蛹、蝶へと続く、儚くも清々しいデビューコレクションになっている。

AKARI MIYAZU 2019年春夏コレクション

 同じくデビューコレクションとなった「アカリ ミヤヅ(AKARI MIYAZU)」は、輪廻をテーマにした立体的なアイテムを発表。シフォンやチュール素材をレイヤードし、アシンメトリーなフォルムでドレスを構成する。ペールトーンのピンクやグリーンを織り交ぜ、モデルの身体をふんわり包み込むようなトップスも特徴になった。迷いの世界をめぐる「輪廻」というチャレンジングなテーマを選んだが、筆者は女性がリアルに着用できる単品やショーピースも見たかった。独特のオリジナル性をどうリアルに落とし込むか、その実力も確かめたい。ただ、宮津明理デザイナーは意欲的で「国内で知名度を上げ、海外に進出したい」と明るい表情で語っている。ビジネスの本番である展示会や、次回のシーズンに期待したい。

STAIR 2019年春夏コレクション

 最後は、デザイナー支援事業「Tokyo新人デザイナーファッション大賞」のプロ部門を受賞するなど、近年はセレクトショップとの取引を増やしているウィメンズブランド「ステア(STAIR)」。前シーズンはファッション・ウィークと別時期に単独ショーを行っていた。現在、同ブランドの取引先は約25アカウントになっており、2019年プレスプリングではさらに取引先を拡大。国内で調達したレースやタフタをドレスへ落とし込む企画が人気で、20~30代女性に向けたMDとうまく合致している。今後の海外進出を見据え、展示会の早期化とAFWTへの参加を決めた。武笠綾子デザイナーが打ち出すロングシルエットのルックやレースを絡めたレイヤード、シアな素材感などが心地良い。優しい着心地とリアルクローズを融合させたアイテムも好印象で、セレクトショップとの取引が増えているのも頷ける。後は、海外で通用するアイデンティティーとオリジナル性をどう表現するか、この部分にかかっている。

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