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ファッションは抵抗の手段となり得るか?グッチ2020年春夏のテーマは「権力への抗い」

Image by: Images by Dan Lecca/ GUCCI/ FASHIONSNAP.COM

 「グッチ(GUCCI)」がミラノファッションウィーク最終日となる9月22日に、2020年春夏コレクションのショーを開催した。どの時代にも存在する権力への抵抗をテーマに、メッセージ性の強い演出とコレクション構成となった。

 ショー開始前、会場となった「GUCCI HUB」内は、あたり一面が赤いライトで照らされた。蛍光灯のように青白くまばゆい照明に切り替わり、ショーがスタート。3本の"動く歩道"がランウェイとなり、まずオールホワイトのモデルたちがコンベアの上を歩かずに移動した。その後暗転し、今度は逆方向からモデルたちが登場。"高速ウォーキング”で新作コレクションを披露した。

 事前に配布されたウェルカムノートには「NEW FORMS OF SUBJECTIFICATION(=主体化の新たな形)」というテーマが記された。本文では、かつて王制におけるトップダウン式の権力支配が、現代では「力のミクロ物理学」によって形成された個々の意識の中に芽生える行動規範に形を変え、自由な討論の流布や規律に縛られた社会を構成していると説いたフランスの哲学者ミシェル・フーコーの「生政治学」の概念を引用。監視下における抑制や封じ込め、押し付けなどに抵抗する手段として「ファッションは新たな主体化へのタスクを果たすことができるのだろうか?」と問いかけている。


 ファッションは新たな主体化ヘのタスクを果たすことができるのだろうか?抵抗の手段として名乗りをあげれるか?経験主義的な自由、限界を超えて反抗する力、解放を自発的決定力を触発することはできるか?それともファッションそのものが新自由主義政府の洗練されたデバイスとなって、自由を形あるものにし、そして解放を破られた約束に変化させて、新たな規範主義を押し付けて終わるというリスクを孕んでいるのか?

「生政治学」の規範的標準化の解毒剤を作ることは、反対の主張を押し通すことではない。それは別のルールを押し付けることになりルールを排除することにはなりえないのだ。ファッションにはその代わりとなる別の機能がある。人を可能性という新たな領域に導き、ヒントを与え寛容さを呼び覚まし、美の約束を磨き、照明と予言を程なんし、あらゆる形の多様性を神聖化し、欠くことのできない自発的決定力を与える。それが、ファッションが本質的な抵抗となり得る唯一の道だ。一方的に押し付けられたあらゆる正常性を超えて、すべての一人ひとりにどき独創的な自分の居場所を築かせてくれる。ファッションとは、個人の願望を輝かせることができる詩的な自己表現の空間である。(ウェルカムノート一部抜粋)

 コレクションは、ウィメンズはシースルー素材が多用されたほか、スリット入りのロングスカートやドレス、カットアウトで花びらのような模様が大きくデザインされたドレス、官能的なナイトドレス、襟ぐりが大きく空いたデザインなどセンシュアルなアイテムが多数登場。メンズはスリーピースのスタイルやダブルブレストのスーツ、シャツとネクタイにユニフォームのようなジャンパーを合わせたルックで、男女ともにスーツスタイルのボトムスのシルエットはフレア。

全ルックを見る>>GUCCI 2020年春夏コレクション

 序盤のオールホワイトとは対局でカラフルで大胆、自由なアイテムが披露された一方、巨大化したメガネのチェーンや首輪のような太いチョーカー、調教に使われる鞭など、身体の拘束や自由を奪うための道具がアクセサリーとして取り入れられたのも印象的だった。

 序盤の個性が排除された"静"の世界観と、本編で登場した躍動感のある世界観とを対比させ、クリエイティブディレクター アレッサンドロ・ミケーレの提起するステイトメントが色濃く打ち出されたコレクションとなった。

 会場には俳優のジャレッド・レトやシエナ・ミラー、エイサップ・ロッキー、"伝説の仕立て屋"としてブランドとコラボレーションもしたダッパー・ダンのほか、日本からは東京大学名誉教授でコメンテーターとしても知られるロバート・キャンベル、香取慎吾が姿を見せショーを観覧した。

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