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クリエイティブ×テクノロジー、フットウェアブランド「MAGARIMONO」に秘められたものづくりの可能性 -vol.2-

クリエイティブ×テクノロジー、フットウェアブランド「MAGARIMONO」に秘められたものづくりの可能性 -vol.2-

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2020年6月、クリエイティブとテクノロジーを掛け合わせたフットウェアブランド「MAGARIMONO」がローンチされた。ファーストコレクションである"MAGARIMONO ORIGINALS"では、3Dプリンタを使って生産した4型のフットウェアを販売。独自の生産・販売プロセスで生み出されたその独特なデザインからは、これからのものづくりへの可能性が感じられた。

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そこで、「MAGARIMONO」を立ち上げたフットウェアデザイナーの津曲文登さん、デジタルデザイナーの小野正晴さんのおふたりにインタビューを実施した。

後編では、これからのブランドの展開やテクノロジーを活用することで生まれるクリエイティブの可能性、これからのファッション業界と「MAGARIMONO」の展望について伺った。

テクノロジーもあくまで手段でしかない

ーーファーストコレクションは3Dプリンタを活用されていますが、今後レーザーカッターなどほかのテクノロジーを活用する予定はありますか?

津曲:ファーストコレクションは3Dプリンタの技術をベースにしていますが、素材などの限界も出てくるはずです。また、あらゆるテクノロジーは進化していきますし、扱える素材も自ずと増えていきます。なので、活用する手段を僕ら自身が制限する必要はないかなと。新しいテクノロジーが出てきたときに、それを扱っていく人がどんどん生まれて、プロダクトに落とし込んでいかないと生み出せるものの幅が狭まってしまうと思います。

小野:3Dプリンターを使ったから面白いのではありません。3Dプリンタをよく考えて使ったから面白いのであって、その使い方を考えないとだめなんです。全ては手段でしかないので、レーザーカッターを使おうが3Dプリンタを使おうが、何でもいいと思っています。

我々は、単にテクノロジーを使って表現することではなく、そのプロダクトが存在するまでの過程や存在する理由そのものを根本から変えることを目的に始めました。既存のやり方やルールをどれだけ壊せるかを判断基準にしているので、それに適しているのであればほかのテクノロジーだけでなく、もしかしたら既存の職人さんと組んでやるかもしれません。あくまでアイデア次第かなと。3Dプリンタなども根本からひっくり返すことができるという利点があるから使っているだけであって、デジタルテクノロジーオンリーというわけではありません。

プロセスから見直すものづくりが新しいプロダクトを生む

ーーたしかに、目的と手段が入れ替わってしまい、デジタルテクノロジーを使うことだけを優先してしまうことはあると思います。

津曲:我々の場合は、僕が靴づくりについて、小野がテクノロジーについてしっかりとした知見や技術をもっているから靴の耐久性や履き心地を担保できています。なので、なにかしらの手に職がある技術者同士がうまくマッチングできていれば問題はないのだと思います。

小野:表層の表現だけに囚われるのではなく、それをつくり出すまでのプロセス全てに関心を持っていないと新しいことはできないと思います。単にカッコいいものができたからいいのではなく、そのカッコいいものがどうやってできたのかを考える。つくり方がわかっていれば、工程の無駄を見直すこともできるはずです。方法が変わればアウトプットも変わるので、プロセスから見直すようなマインドがないと新しいものはつくれないんじゃないでしょうか。

ふたりの専門性を1人が実現することは可能か?

ーーものづくりの専門性とデジタルテクノロジーに関する専門性を同時に習得することは可能でしょうか?

小野:テクノロジー側に関してはどんどん使いやすくなっているので、さまざまなハードルは下がっていって、将来的に両方のノウハウを持つ人が出てくる可能性はあるかもしれません。しかし、ある程度の専門性は大事だと思います。ひとつの領域について掘り下げるには時間もかかるし経験も必要なので難しいかもしれません。もちろん、僕らのようなものづくりのあり方を僕らが広めていくことで、テクノロジー側に寄った靴職人のような存在が出てくる可能性もあるかもしれません。

津曲:手広くやろうとすると知識も経験も表面的になってしまいます。靴に関してもすでにあるデジタルテクノロジーを使えば一体成形のサンダルのようなものは簡単につくれるかもしれませんが、よりよいものをつくるためには、ある程度深掘りした専門性が求められるはずです。異なる専門を持つ個人個人がいることで超えられるものもあるのかなと思います。

小野:僕らは、知ってることとできることの間には大きな谷があるという話をよくします。ある物事についての知識と実際にできたという経験は全く別物ですよね。もちろん、知識がなければできないのですが、知っているからといってできるわけじゃない。やはりそのできたという経験の方が大事だと思います。

ファッション業界において、最も大切なのはものづくり

ーーテクノロジーを活用することで、クリエイティブ面でどのような強みがうまれるのでしょうか?

津曲:フィジカルの技術だけで靴づくりをしていたら見えてこなかった製法に出会えるのが楽しいですね。テクノロジー側は日々アップデートされていきますし、新しい素材も出てくるので、その度に新しい表現のあり方を考えることができます。テクノロジーとクリエイティブを混ぜ込むと限界が見えてこないので、そこが強みだと思います。

小野:ものづくりにライブ感があると思います。津曲からデザインがあがってきてからものが出来上がるまでの時間がとても短く、3Dプリンタですぐ出力できるので確認や検証もしやすいため、ファーストコレクションが出来上がるまでに半年もかかっていません。最初に完成形を決めてつくるよりも、つくりながら決めていく方がクリエイティブは進化していくと思います。

ーーファッション業界全体として、どのようにテクノロジーが活用されていくべきだとお考えですか?

津曲:ファッション業界において、最も大切なのはものづくりだと思っています。いまファッションテックと言われて盛り上がっている技術のほとんどはサービスや売り方に関するものばかりですが、新しものを生み出すところにもっとテクノロジーを組み込んでいくべきです。

ファッション業界自体は大きいですが、小さい組織が多く集まっている領域だと思います。個人のクリエイターや我々のようなブランドがそれらのテクノロジーを新しい解釈で使って、新しいものを生み出していけば面白い動きがどんどん出てくるのではないでしょうか。

これからを新しく切り開くためのプロダクト

ーー今後会社として、どのように事業を拡大していこうと考えているのですか?

津曲:近い将来個人が自身の足型や身体のデータを持つような生活様式が現れてくるはずなので、スキャンデータからオートでモデリングできるようなシステムづくりは早めに進めようと考えています。そのような状況に対応した新しいプロダクトの提供方法やコミュニケーションの取り方について模索しつつ、カスタマーと一緒にこのブランドを大きくしていければいいなと思いますね。

またブランドとしても、今後はバッグやサンダルなどのプロダクトの展開も検討しています。フィジカルな技術とデジタルな技術を組み合わせることは、フットウェアだけに止める必要はないかなと。

小野:我々は新しいプロダクトをつくる行為のなかで、ほかのどのメーカーも持っていないさまざまな知見や気づき、経験を蓄積していくと思います。それらの知見や経験をほかのプロダクトづくりやシステム開発などに広げていけると考えているので、そのなかで会社が大きくなればいいかなと。いずれにせよ、プロダクトを生むことから始まると思うので、今後もクラフトマンシップとテクノロジーを掛け合わせたエッジの効いたプロダクトを生み出していこうと思います。

ーー今後「MAGARIMONO」として、この領域のなかでどのような位置付けになりたいですか?

小野:デジタル×クリエイティブの範囲で唯一無二の存在になりたいですね。

津曲:トレンド視点でプロダクトを評価して欲しくないとは思っています。ファッション業界はトレンドを重視していますが、その流行り廃りでプロダクトがどんどん廃棄されるようなサイクルもあると思うので、その流れには乗りたくないですね。なので、これからを新しく切り開くためのプロダクトとして発信していきたいと考えています。

1つの要素としてデジタルテクノロジーを使っていますが、この領域のなかで、同じようなことをやっているところはあまりありません。少なくとも販売まで行なっているところは特に少ないので、我々がその先頭を走り切りたいですね。

力強い言葉でインタビューは締め括られた。前編で語られたように、異なる領域やこれまでになかったあり方に踏み込んでいくスタンスが新しいものづくりとプロダクトを生み出していくのだろう。

Text by Naruki Akiyoshi

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