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シューズブランド「オールバーズ」からアパレルラインが誕生 カニ殻を利用した新素材を開発

シューズブランド「オールバーズ」からアパレルラインが誕生 カニ殻を利用した新素材を開発

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以前当メディアでも取材をさせていただいた、サステナブルなテクノロジーと思想でシューズを展開しているAllbirds(オールバーズ)。2020年1月10日に日本第1号店が上陸し、その後オンラインストアのオープン、アンダーウェアの発売など様々な展開を見せていた。

そして10月、各製品のカーボンフットプリントが記載された世界初のアパレルライン「Allbirds Apparel(オールバーズアパレル)」がローンチされた。2016年の創業からシューズだけにとどまらない環境保護のビジョンを持ち、「right amount of nothing(ちょうど良い何も無さ)」のブランド理念を掲げてきたAllbirds。このアパレルラインはファッション業界が過剰なカーボンの排出、土壌の劣化、合成素材の廃棄物を増やすことに加担してきた事実を省み、サステナブルな側面からの評価を重要視しているという。

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アパレル展開を開始した「Allbirds 原宿(オールバーズ原宿)」の店舗内

今回はAllbirdsのサステナブルな思想を、素材、カーボンフットプリント、日本での受容といった側面から紹介していきたい。

カニ殻を利用した新素材「TrinoXO™」

ます紹介したいのは、「TrinoXO™ Tシャツ」で使用されている「TrinoXO™」というAllbirdsが開発した新素材だ。こちらはなんと海で役目を終えたカニ殻から作られた抗菌繊維。カニ殻は地球で2番目に多く存在するバイオポリマー(生体に含まれる物質で、合成されたものに比べ生物によって分解されやすい)で、キトサンという食物繊維が含まれている。キトサンは亜鉛や銀の代替となる抗菌性を持っていて、持続可能な手法で調達された再利用可能素材である。

つまり「TrinoXO™」は天然の抗菌・防臭効果のある素材なのだ。「TrinoXO™ Tシャツ」はレディースのみならずもちろんメンズでも展開している。

この「TrinoXO™」は、柔らかくて通気性のよいユーカリの木とメリノウールから作られた「Trino™」を進化させたもの。この繊維は、繊維メーカー、糸紡績業者と綿密な連携をとることで、高品質の生地の持続可能な調達を実現しているという。

持続可能な素材と製品のカーボンフットプリント

他にも、世界で最も環境に優しい製法でつくられた繊維と言われるテンセル™とリサイクルポリエステルを組み合わせた中綿を使用し、有害撥水加工剤を使わない撥水加工を施したダウンを使わないダウン「Trino™パファー」や、Allbirdsのシューズにも使われているメリノウールを使用したセーター・カーディガンなどを展開している。

これら全ての製品は、カーボンフットプリント(製品のライフサイクルを通したCO2の排出量)が確認できるようになっている。その実現の背景について、Allbirdsマーケティングディレクター、蓑輪光浩氏は次のように語る。

「カーボンフットプリントがはっきり数字になって見えると、自分のCO2削減目標を認識しやすくなります。食品を買うときにパッケージに記載されている栄養分を見てどちらがヘルシーか比べるように、洋服や靴のCFPも当たり前に可視化され、比較できるようになればと考えています。カーボンフットプリントが少ない商品は何か、私たちのTシャツと他ブランドのものは環境の観点でどう違うのか、といったようにです。私たちは製品を販売すること以上に、環境のこと、私たちが考えるストーリーを伝えることを大切にしています。」

Allbirdsウェブサイトのカーボンフットプリントを説明するページでは、「カーボンフットプリント排出量が分かれば、減らすことを考えることができ」るということが語られている。Allbirdsは素材、製造、洗濯、廃棄それぞれのカーボンフットプリントを計測、ウェブサイトの製品個別ページではその総量を記載している(輸送については顧客によって移動距離が異なるため、数値を全社的な排出量として個別に報告しているという)。

業界の中でもいち早くカーボンフットプリントを公開する取り組みをする先駆的企業が注目している、カーボンフットプリント削減のヒントを蓑輪氏に聞いてみた。

「地球環境への負荷を軽減するために、できる工夫は沢山あります。素材の生産背景、軽量化、輸送の効率化などです。そして、今注目していることとしては農業です。肥沃な土壌から生育する植物は、より効率的に二酸化炭素を吸収し、酸素を排出する光合成を促すことがわかりました。我々の使う天然素材の足元を見つめ直しています。」

日本のサステナビリティの現在

最後に、日本のサステナビリティへの意識の変容について蓑輪氏に伺った。

「日本が国際化へ飛躍的に前進する機会であった、オリンピックは延期されました。しかしながら、皮肉にもコロナウイルスの問題によって、より日本人は世界に、そして地球に対して敏感になったかと思います。教育の分野でもSDGsに対する認知と理解を深めています。ファッションブランドのみならず、皆さんの生活に関わる全てがサステナブルであるべきという認識が深まったと思います。特に将来を担う20代の若者には顕著に響いていると実感しております。Allbirdsに来店いただくお客様の年齢層が、以前より低年齢化しており、接客を通じてAllbirdsのストーリーや哲学に対して、以前に増して共感していただいることがわかってきております。Allbirdsを着用することが、快適性、汎用性、シンプルさというファッションの側面だけでなく、サステナブルなライフスタイルに対する精神的な自己表現の一つになっていると思います。」

サステナブルな思想は以前にも増して日本に広がっているようだ。そして、目に見えない素材の背景や機能、製品のカーボンフットプリントと特徴的で高級感のあるデザインが組み合わさったAllbirdsのアパレルラインは、「ちょうど良い何も無さ」を体現した思想そのものであるからこそ、多くの人の心に響いているのかもしれない。

Allbirds 原宿(オールバーズ原宿)
住所:東京都渋谷区神宮前1-14-34
営業時間:11:00 ~ 19:00 不定休
問合せ先:Allbirds(オールバーズ)

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