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ナイキは踊り場、アディダスに迫る中国陣営 世界スポーツメーカー売上高ランキング2025

五十君花実

決算資料をもとにFASHIONSNAPで制作

決算資料をもとにFASHIONSNAPで制作

決算資料をもとにFASHIONSNAPで制作

 スペイン優勝で幕を閉じたサッカーW杯。選手たちの熱戦の裏で、スパイクユニフォーム供給を巡るスポーツメーカーの戦いに目を向けた人も多いのでは? FASHIONSNAPでは、世界のスポーツメーカー17社の2025年度業績*をもとに売上高ランキングを作成。首位ナイキ(NIKE)、2位アディダス(adidas)のワンツーフィニッシュは1990年代以降変わらないが、背後では大きな変化が起きている。ナイキが踊り場を迎える中で、中国最大手のアンタ(ANTA)は3位の座を確固たるものにし、同時にオン(On)やアメアスポーツ(Amer Sports)、アシックス(ASICS)といった高価格帯市場で存在感を強めるメーカー群が急成長。かつて3位争いを演じたプーマ(PUMA)は主要メーカーで唯一の2ケタ減収となるなど、勢力図が大きく塗り替わっている。

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*2025年6月〜2026年5月内の決算期で比較

世界スポーツメーカー売上高ランキングの表

自社ブランドに加え、資本参加で存在感増すアンタ

 ナイキ、アディダスに続く世界3位の座は、この十数年で大きく顔ぶれを変えてきた。プーマ、アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)や、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ヴァンズ(Vans)」擁するVFコーポレーションなどがしのぎを削った時代を経て、2020年代にはスポーツ各社が不得手とするウィメンズ市場を開拓したルルレモン・アスレティカ(lululemon athletica)が3位に浮上。しかし、「アローヨガ(Alo Yoga)」や「スキムス(SKIMS)」の猛追の中でルルレモンは成熟局面に入りつつあり、ここにきてアンタの存在感が強まっている。

 アンタは今や単なる中国メーカーではない。同社は自社ブランド「アンタ」のほか、「フィラ(FILA)」や日本の「デサント(DESCENTE)」、韓国のアウトドアブランド「コーロンスポーツ(KOLON SPORT)」の中国やアジア地域でのビジネスを運営するマルチブランド企業に進化。加えて、「アークテリクス(ARC'TERYX)」「サロモン(SALOMON)」を擁するアメアスポーツの筆頭株主であり、2026年1月にはプーマの筆頭株主になると発表した。アンタ、プーマ、アメアスポーツの3社の売上高を単純合算すると約4兆3386億円となり、2位アディダスに迫る規模となる。

 もちろん3社は独立した企業であり、売上高は連結していない。しかし、アンタが自社運営ブランド群の成長に加え、欧州メーカーへの資本参加を通じて世界のスポーツ市場で影響力を強めていることは明白で、「アンタ陣営」とも呼べる勢力が形成されつつある。また、アンタだけでなくリーニン(LI-NING)やXtepといった中国の2番手、3番手メーカーも、日本のミズノ(MIZUNO)を超える規模に育っている点にも注目したい。

アンタの中国・杭州の店舗

アンタの中国・杭州の店舗

Image by: CFOTO/Future Publishing via Getty Images

高価格帯のプレミアムブランドが躍進

 高価格帯商品の比重を高めたメーカー群の躍進も目立った。オンは前期比30.0%増と、17社の中で最も高い伸び率を記録。売上総利益率62.8%はスポーツメーカーとしては異例の高さであり、ラグジュアリーブランドにも匹敵する収益性を実現した。売上高の伸び率では、アメアスポーツが同26.7%増、アシックスが同19.5%増、ニューバランスが同19%増でオンに続く。いずれもランニングやアウトドアカテゴリーを強みとし、世界的なランニング人口の拡大や健康志向を追い風に、「プレミアムスポーツ」と呼ばれる高価格帯のスポーツ市場を取り込んだ。

 このように中国メーカーやプレミアムブランド群が急成長する中で、絶対王者として長年君臨してきたナイキも、高成長企業との差が着実に縮まりつつある。ナイキの2026年5月期は卸売り事業やパフォーマンスカテゴリーの再強化が奏功し、前期比9.8%減だった2025年5月期からは大きく持ち直したものの、売上高は同0.2%増にとどまった。依然として2位以下を大きく引き離しているものの、2ケタ成長を続けるメーカーが珍しくないスポーツ市場の中で、競争環境は年々激しさを増している。

オンのパリ・シャンゼリゼ旗艦店

オンのパリ・シャンゼリゼ旗艦店

苦戦プーマは“リセットの年”

 一方、苦戦が際立ったのがプーマだ。売上高は1兆3497億円と前期比13.1%減で、純損益は1194億円の赤字に転落。ヒット商品の不足に加え、ブランド価値向上を目的とした量販店向け卸売りの縮小や在庫処分が重荷となった。2026年も赤字を見込んでおり、本格的な業績回復は2027年以降になる見通し。業績悪化を受けた再建局面で、アンタが筆頭株主になると発表した。

各社の概要や主要ブランドはこちら

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ナイキ店舗
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アンタ店舗
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ニューバランス店舗
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オン店舗
コロンビア店舗
Xtep店舗
サッカニー店舗
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1位 ナイキ【売上高】約7兆5164億円【展開ブランド】ナイキ、ジョーダン ブランド、コンバース【動向】卸売りやパフォーマンス領域の再強化で徐々に回復、中国で引き続き苦戦。

最終更新日:

文・五十君花実

Hanami Isogimi

FASHIONSNAP ディレクター

1983年愛知県出身、早稲田大学政治経済学部卒。繊研新聞記者、WWDJAPAN副編集長、編集委員を経て、25年10月から現職。山スキー、登山、ラン、SUPを愛するアウトドア派。ビジネスからクリエイション、ライフスタイルまで、多様な切り口でファッションを取材。音声、動画、コミュニティーなど、活字以外のアウトプットも模索中。

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