ここ数年、「編集者」の力が、経営・ビジネスにおいて注目されています。2018年に「POPEYE」元編集長・木下孝浩氏がユニクロの執行役員に転身したことは今も記憶に新しいですが、企業やブランドが商品、広告、SNSなどを通して生活者と密にコミュニケーションをとる必要がある時代において、これまで出版業界の中で育てられてきた「編集」のノウハウは、従来の領域から越境して、様々な形で活用されそうです。そんな中で、多様なジャンルの雑誌の編集長、エディター、様々な業界のプランナーたちとパートナーシップを提携し、「編集力」の応用に積極的に挑戦しているのが、編集エージェンシー・かくしごと。同社代表の黄孟志氏に、活動内容と展望を聞いてみました。
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※NESTBOWL読者に向けた特別プラン「1日編集長派遣」を、5社限定で提供決定。詳細は記事の最後に記載してあります。
黄孟志さん
1988年生まれ。早稲田大学理工学部建築学科在学中から集英社『MEN’S NON-NO』などファッション誌を中心にフリーランスで編集・執筆活動を開始。2015年に編集エージェンシーかくしごと設立。Forbes JAPAN オフィシャルコラムニストとして社会課題を都会的センスで解決するビジネス事例を紹介中。
★メンノンから週プレまで。「書く仕事」で世の中の「隠し事」を応援
—まずは御社の軸となる仕事内容を教えてください。
弊社は、編集者による言葉起点のクリエイティブエージェンシー(略して編集エージェンシー)。企業やメディアからのご依頼にあわせて、一流エディターによるディレクションのもと、フォトグラファーさん、デザイナーさん、イラストレーターさんなど様々なスタッフを集めて最適なクリエイティブチームを編成し、ニーズに対応しています。雑誌やパンフレットから、コーポレートサイト内コンテンツ、SNSアカウント運用など、紙・WEBを問わず企画・制作します。
—具体的にはどんな媒体、企業と仕事をしていますか?
媒体で言えば『MEN’S-NONNO』『UOMO』『GINZA』などファッションメディアや『Forbes JAPAN』『NewsPicks』などのビジネスメディアが多い傾向にありますが、他にも『週刊プレイボーイ』で恋やセックスの記事を制作をしていたりと、とても幅広いです(笑)。
クライアントワークも、ファッション・ライフスタイルブランドのコピーライティングや、大手広告代理店の社報制作、結婚相談所のプロフィール添削マニュアル制作など、様々。「かくしごと」という社名の通り、企業やメディアが世の中のために企んでいる「隠し事」を、「書く仕事」で応援しています。
—企業のオウンドメディアの立ち上げ・運用実績も。
表参道・原宿エリアを愛する不動産プロデュース会社CityLights Tokyoの構想に共感し、2016年に表参道&原宿のローカルメディア『OMOHARAREAL』の立ち上げに参加しました。僕自身が編集長として方針を考えながら「都会のローカルメディア」という新しいメディアの在り方に挑戦しています。街の人、店、施設を繋ぐコミュニティのハブとなるようなオフラインの活動も大切にしながら、Yahoo! JAPANさんやLINE NEWSさんといったメジャーポータルサイトとも連携し、オンラインで街の魅力を広く届けるような体制をつくれています。
★雑誌づくりの「編集力」を新領域に活用。チョコレートブランドも立ち上げ
—さらに、「編集力」を意外な領域に活用する取り組みもされています。
たとえば、読むチョコレート「Chocolate Library」ですね。マーケティング・ブランディング会社Kokuhakuからの依頼を受け、チョコレートブランドの立ち上げに参加しました。
本の形をしたパッケージを開くと、チョコレートでコーティングした本格ドライフルーツと、約600字のエッセイが書かれたカードが入っています。エッセイは、フルーツの魅力や農園の想いをインスピレーションの種に、東京のカルチャー界隈で影響力を持つ表現者が執筆したもの。チョコレートと詩的なエッセイをペアリングすることで、“心の頬が落ちる”ような新体験を提供しようという商品です。
これまでに『HIGH(er) magazine』編集長・haru.さん、フォトグラファー・シトウレイさん、モデル・小谷実由さん、イラストレーター・たなかみさきさん、女優・清水くるみさん、フローリスト・越智康貴さんといった素晴らしい表現者の皆さまが、実際に地方の農園を訪れたりもしながら、心と舌に染みるエッセイを執筆してくださっています。
—「編集力」は、具体的にはどのような部分で活用されましたか?
弊社にご依頼いただいた段階で決まっていたのは「特別なチョコレートブランドをつくりたい」という一点のみだったので、「読むチョコレート」というコンセプト、パッケージデザイン、起用するエッセイストの方向性などを、雑誌づくりの思考プロセスを取り入れながら、クライアントの社長、アートディレクターとともにディスカッションして形にしていきました。添えるエッセイが完成するまで書き手の表現者さんに併走するという部分は、普段通りの仕事ですね。
2019年11月に発売するとすぐに多数のメディアから取材していただき即SOLD OUT。2020年のバレンタインシーズンにはリニューアル直後で特に注目されていた渋谷PARCOのメインPOP-UPに抜擢されました。「編集力」が、雑誌以外の領域でも活用できると確信する出来事でした。
★人気メディアの大物編集長たちをパートナーに、圧倒的編集力を企業向けに提供
—パートナーシップを組んでいるメンバーが豪華なのも御社の特徴ですね。
今年から新たに、様々な雑誌・WEBメディアを率いる「編集長」たちがパートナーに加わってくださりました。今後も増えていく予定ですが、現在はストリートスナップ誌『STREET』『FRUiTS』の青木正一さん、ヘア&ファッション誌『CHOKiCHOKi』の三浦伸司さん、ギャル誌『egg』の赤荻瞳さん、次世代インタビューメディア『NEUT』の平山潤さん、東京発グローバルメディア『poweredby.tokyo』のChace Fedorさんの5名。
狙いは、これまで雑誌・WEBメディア業界の中に閉じがちだった「編集長」という職人のワザを、業界を超えて企業の課題解決に応用すること。世界に影響を与えてきたカリスマ誌から、新時代を担うWEBメディアまで、各誌の「編集長」が直々に監修することで、ターゲットとなる生活者に深く共感される広告、商品、イベントなどを企画できます。熱狂的ファンを味方に新たなカルチャーを世の中に定着させた経験の持ち主たちだからこそ、この時代の変わり目に、企業の新たな挑戦や、従来のカテゴライズにとらわれないファン層の確立・コミュニケーションをサポートできるはずなのです。
また、普段指揮するメディアをあえて切り離し、個人として参画していただくことで、たとえば『CHOKiCHOKi』編集長がD2CブランドのSNSをディレクションしてカリスマモデルを育て上げる、『egg』編集長が飲料メーカーの広告のコピーライティングをする、『poweredby.tokyo』クリエイティブディレクターが外国人向けに老舗和菓子店をリブランディングするなど、領域にとらわれない自由な活動が可能になり、話題化も狙いやすくなると考えています。
—他にもパートナー陣には第一線で活躍するエディターの方々が揃います。そして、異業界のプランナーの方々とも連携している点が新鮮です。
メディアでコンテンツ制作を行う際のメンバーに加えて、異業界のスタープレイヤーを混ぜることで、これまでにないクリエイティブチームでユニークな課題解決ができると期待しています。カンヌライオンズなど世界的広告賞を多数受賞しているクリエイティブディレクター・村石健太郎さん、目が見える人でも読める点字「Braille Neue」で知られる発明家・高橋鴻介さん、ハーバード大学院出身の建築家・各務太郎さん、人気アーティストの楽曲制作を多数手掛けるサウンドプロデューサー・クボナオキさん、花贈り男子・長井ジュンさん…などなど、様々な業界で注目されるプランナーさんとパートナーシップを組んでいます。「エディター×プランナー」の化学反応で、雑誌のような空間、雑誌のような音楽など、生活者を驚かせる新たな形でクライアントの力になれたら嬉しいです。
★5社限定!あのメディアの編集長が、あなたのチームの「1日編集長」に
—最後に、今回はNESTBOWL出演を記念して、特別プランを準備してくださったとのこと。
人気メディアの編集長たちの価値を社会に開放していくにあたり、まず必要なのは、まだまだ謎に包まれているだろう「編集長のワザ」を、幅広い業界の方々にライトに届け、触れていただくことだと思っています。なので、今回は弊社がパートナーシップを組んでいる編集長たちが、企業、チーム、商品、施設などの「1日編集長」に就任する取り組みを、5社限定で実施します。広告や社内報など制作物に対するアドバイスから、新商品・新サービスのアイデア出し、採用ブランディングへの協力などなど、あらゆる角度で「編集力」は活用できますので、お気軽にご相談ください。もちろん、1日の中で生まれたアイデアを形にするために、時間をかけた制作などが必要な場合は、弊社が引き続きサポートいたします。企業が「メディア化」している時代ですので、ぜひ我々編集者の力を頼っていただけたら幸いです。
<1日編集長派遣プロジェクトへのご応募方法>本プロジェクトに関するご応募やお問い合わせは、こちらまでご連絡ください。応募受付期間:2021年4月9日(金)〜2021年4月30日(金)
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