さいか屋の公式サイトより
百貨店を運営するさいか屋が、健康食品大手のAFC-HDアムスライフサイエンス(以下、AFC-HD)と資本業務提携を締結し、AFC-HDの連結子会社として傘下に入る。AFC-HDが第三者割当増資を引き受ける。さいか屋の筆頭株主でAFC-HD創業者の浅山忠彦代表取締役会長が保有する株式数と合わせると、株式保有比率は50%を超える見通し。
さいか屋は1872年10月に神奈川県横須賀市元町に創業した雑賀屋呉服店を母体とし、1956年から百貨店業を開始。現在は藤沢店、横須賀店(横須賀ショッピングプラザ)、川崎店の3店舗を運営している。消費嗜好の多様化に対応できず2016年2月期からは最終赤字が続いており、2021年2月期の通期連結業績は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって売上高150億200万円(前期比18.6%減)、営業損失6億3900万円(前期は1800万円)、純損失8億3700万円(同1億3000万円)を計上し赤字幅が拡大した。時価総額は2020年7月時点で上場廃止基準で定められている所要額10億円未満となり、今年6月30日までを上場廃止の猶予期間と指定されている。
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1969年に創業したAFC-HDは、健康食品・サプリメント・化粧品の受託製造・販売を手掛けている。コロナ禍において消費者の健康志向を取り込み業績は好調に推移しており、2021年8月期通期の連結業績は売上高180億円(前期比13.8%増)、営業利益18億円(同64.6%増)、純利益12億5000万円(同84.7%増)の増収増益を見込んでいる。
両社は2008年に取引を開始し、2015年には百貨店業界として初めて外商での健康食品の取り扱いを始めた。業務提携や出資の可能性については昨年11月から協議し、AFC-HDが再建支援に踏み切った。AFC-HDはさいか屋の新株式183万5000株を約5億円で取得予定。株式取得については5月24日開催予定のさいか屋株主総会での承認を前提としている。払込期日は5月26日。
AFC-HDは2007年当時民事再生中だった本草製薬を傘下に収め黒字転換させた実績を持ち、今年6月には外食事業を手掛けるなすびを完全子会社化する計画。さいか屋を連結子会社化した後は全国に広がるAFCのネットワークと店舗運営ノウハウ、新業態開発力を駆使し、グルメショップやペットショップ、プレイランド、高齢者が集う施設、医療モールなど、従来の百貨店像にとらわれない集客を仕掛け、魅力あふれる店舗作りをすることで新百貨店像を築いていくという。さいか屋としては、EC事業においてAFC-HDのノウハウとインフラを活用することで経営課題の解決につながるとしている。
また、さいか屋の代表取締役が創業者一族の岡本洋三氏から、松坂屋出身でAFC-HD専務取締役の井出陽一郎氏に交代する新人事を発表。岡本氏は取締役を退任し、会長職に就任する。
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