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「iPhoneはスタンダードになり過ぎてしまった」バルミューダがあえて小型スマートフォンを作る理由

 バルミューダが新ブランド「BALMUDA Technologies」を立ち上げ、第1弾商品として発表していた5Gスマートフォン「BALMUDA Phone」の全貌を公開した。新製品発表会に登壇した寺尾玄代表取締役社長は「今のスマートフォンはあまりにも画一的である」と現在のスマートフォン業界の現状に切り込む。日本ではアップルのiPhone一強とも言えるスマートフォン市場に、バルミューダが参入した理由とは?

BALMUDA Phone バルミューダ
BALMUDA Phone バルミューダ
BALMUDA Phone バルミューダ

Image by: バルミューダ

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 BALMUDA TechnologiesはIT機器やAV機器などを扱う新ブランドで、プロダクトに加えて、アプリケーションや関連サービスの提供を予定している。京セラを製造パートナーに迎えて開発したBALMUDA Phoneは、4.9インチのフルHDディスプレイと直線を含まない曲線のみで構成されたデザインが特徴。国内で販売開始後、来年以降は海外での展開も視野に入れているという。このほか、スマートフォンケースや保護ガラスなど関連アクセサリーの発売も予定している。

 寺尾社長が十数年ぶりにデザイナーに復帰し、ハードウェアおよびアプリケーションのデザインに自ら参加。約2年間かけてスマートフォンを完成させた。新規事業のため社内リソースだけではなく社外のエンジニアリングチームとも連携し、総勢100人程度がスマートフォンの開発に関わったという。持ちやすい最適な大きさやフォルムを追求し、4.5インチから5.5インチまで0.1インチ刻みでさまざまなデザインの試作品を製作。一番優れていると判断したのは4.8インチという結論に至ったものの、当初予定していた4Gから開発途中で5Gに規格を変更したことに伴い、ディスプレイサイズも4.8インチから4.9インチに仕様変更となったという。また、デザインの仕様等に影響があったため、当初今春を予定していた発売時期が11月にずれ込んだ。

バルミューダ BALMUDA Phone BALMUDA Technologies

記者会見に登壇した寺尾社長

Image by: FASHIONSNAP

 BALMUDA Technologies立ち上げの原体験となったのは、寺尾社長がロックミュージシャンを目指していた20代の頃に遡る。「インターネットやパーソナルコンピューターといったものが一気に花開いた時代、あの頃シリコンバレーにいた方達はとても楽しそうに、輝いているように見えて、心から羨ましいと感じていた」と、バルミューダ創業前からパーソナルコンピュータを作ることへの憧れがあったことを会見で明かした。

 加えて、寺尾社長はスマートフォンを開発する動機を2つ掲げる。1つ目はデザインの選択肢の少なさ。「今の世の中のスマートフォンは画一的。iPhoneやAndroid端末など種類は多種多様だが、私にはほとんど同じに見える。いくつもの選択肢の中からあらゆるものが選べる現代において、スマートフォンの世界では選択肢がほとんど用意されていない」と疑問を呈する。2つ目はスマートフォンの大型化。「画面のサイズが年々大きくなっている。どんどん機能が増えよりスマートに、便利になっているが、使っている私たちはどうか。こんなに大きな板を耳に近づけたり、画面ばかり覗き込んでいたり。そして、もはやポケットや小さなバッグにも入れることができないので手で持っている。使っている姿はスマートとは言えない」と話した。

BALMUDA Technologies バルミューダ BALMUDA Phone

記者会見に登壇した寺尾社長

Image by: FASHIONSNAP

 日本国内でのスマートフォンの利用機種はアップルのiPhoneが約50%以上と圧倒的なシェアを占める中、異業種からスマートフォン事業に参入したバルミューダ 。かつてiPhoneを購入するためにソフトバンクへと乗り換えた経験があるという寺尾社長自身もBALMUDA Phoneを作るまでは長年iPhoneユーザーだった。バルミューダ公式サイトに掲載された商品ストーリーの末尾には「彼に最大の敬意を表します。故・スティーブ・ジョブズ氏に。」と同氏の言葉で綴られている。アップルという"強敵"が立ちはだかるスマートフォン事業だが、寺尾社長は「当然ながら、チャンスがあると思っていなければこの事業に参入しない」と自信をのぞかせる。「我々にチャンスがあると感じているのは、アップルが世界の巨人となり、iPhoneがスタンダードになった点。彼らが生み出すプロダクトのクオリティが高いからこそ、他社メーカーも追随し同じようなスマートフォンを作る。結果、同じようなデザインのスマートフォンしか売られていない状況になった。そこが彼らのある意味で弱点ではないかと感じている。もちろんただサイズが小さいだけでは勝負できないので、アプリ含め良い使い心地、良い体験を提供していく」とコメントした。来年には独自開発した新作アプリの展開も予定しているという。

バルミューダ公式サイトより

 BALMUDA Technologiesでは現在、スマートフォンに続く第2、第3の新プロダクトのプロジェクトが始動している。「動画作品を鑑賞するにはBALMUDA Phoneでは小さい。スマートフォンとは呼ばないようなものを作っている」とし、具体的なカテゴリーの明言は避けたものの新作を開発中であることを明かした。

 バルミューダでは当初2021年度の売上予想を150億円としていたが、BALMUDA TechnologiesのローンチおよびBALMUDA Phoneの販売にあわせて180億円に上方修正。BALMUDA Phoneの販売では約30億円の売上を見込むという。

■バルミューダ:公式サイト

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