コロナ禍の影響もあり、アパレルECの市場が拡大傾向にあるアパレル業界では、新たなスタートアップ企業が続々と誕生しています。例えば最近では、GAPが米ニューヨークとイスラエルのテルアビブを拠点とするスタートアップ企業「CONTEXT-BASED 4 CASTING」を買収したことが話題となりました。そこで今回は、注目のスタートアップ企業を特集。EC化が加速する中で成長している企業の特徴や、アパレル業界の問題に取り組むアイデア満載のブランドを、いくつか紹介していきます。
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まずはおさらい「スタートアップ」と「ベンチャー」の違い
このふたつの一番の違いはビジネスモデルです。すでにあるビジネスモデルに工夫を加えてサービスを作り、中長的に課題に取り組んでいくのが「ベンチャー」。一方「スタートアップ」は、これまでにない革新的なアイデアで新しいサービスを作り出し、企業を急成長させて市場価値を高めることを目的としています。
越境ECに特化し、100億ドル企業の仲間入り
アパレルブランド「SHEIN」
店舗を持たない越境ECに特化した中国のアパレルブランド。オンラインでの売上げがZARAやH&M、ユニクロなどと肩を並べるほどに急成長している企業で、ここ1年で売上げが倍増。100億ドル企業の仲間入りを果たし、米Bloomberg誌で「ファストファッションの帝王」として紹介されたほど。KOLマーケティング、SNSなどを利用し、世界市場でデジタルマーケティングを行っています。また企画・デザインではAIを活用することで新商品を大量に生産し、売れ行きが良ければ在庫調整や生産指示が自動的に入る仕組みも実現しています。
越境ECとは? インターネットを活用して、自国以外の消費者に向けて商品を販売するEC(electronic commerce/電子商取引)のことを差し、急成長している市場のこと。
KOLマーケティングとは? 海外で発信力のあるKOL(Key Opinion Leader/中国の消費者の購買意志決定の際に強い影響力を持つインフルエンサー)を起用して、SNSなど特定のプラットフォームで自社の商品の紹介やサービスの訴求を行うマーケティング方法。
Z世代の特徴を捉えたブランディング戦略で急成長
ファッション通販「Cider」
中国発の格安ファッションブランド。Z世代をターゲットにした越境ECのプラットフォームで、レディースファッションが主力商品。急成長した理由として上げられるのは、ターゲットであるZ世代の特徴を捉え、SNSを通じてコンテンツを届けたブランディング戦略。そして、サプライチェーンをデジタル化することで、商品化までの日数を大幅に減らし、圧倒的な量の新着アイテムを発表していることが上げられます。また予約による限定生産を取り入れたり、SNSの反応を反映することで在庫ロスを減らしているのも特徴です。
Z世代とは? 世代分類を指す言葉としてアメリカで誕生した言葉で、1990年後半から2000年代に生まれた人の意味。幼い頃からスマートフォンやSNSに親しむ世代。
サプライチェーンとは? 商品が消費者の手元に届くまでのプロセス、仕入れから製造・在庫管理・配送・販売の一連の流れのことを指す言葉。
”10年着続けたいと思える服を”つくることがコンセプト
アパレルブランド「10YC」
アパレル業界における、大量生産大量廃棄・低賃金・工場の人材、後継者不足などの問題に取り組むアパレルブランド。常設店舗は持たず、製造委託先の工場と直接取引することで従来の中間マージンを省き、原価を上代の50%近くに設定することで、品質の良い=長く着続けられる製品を消費者に届けています。過去に購入した10YCの商品を下取りする「THANKYOU BACK」や、洋服を作る際に出る生地の切れ端や使われずに余った生地を使用して新商品を作る「JANAIHOU」、染め直して着続けることができる「IROHEN」など、様々なサービスを実施。作る側と着る側の想いを繋ぐことでお互いに影響し合い、豊かになることを目指しています。
ファッションAIで1,000万アイテムを解析
ウェブサービス事業「ニューロープ」
EC、販売員、スタイリストらがより一層パフォーマンスを発揮しやすい環境を作れるようにファッションAI(ファッション×人工知能)で足りない部分を埋め、アパレル業界をさらに一歩前に進めようと取り組む企業。ファッションコレクション、Instagram、ECなどから収集した画像を自社開発したファッション特化の画像認識AIで解析し、約600種類のタグと性別・年齢などの推定情報を掛け合わせて1,000万点以上のアイテムを分類。トレンド情報を時系列で分析することで、MDや在庫・受注管理などをサポートすることが可能です。いかに過剰在庫を減らし、必要とされる商品を取り揃えてニーズを満たすかを目指すアパレル業界にとって、新たな経営方針の一助にと期待されています。
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