ファッションライター・エディターの栗山愛以
Image by: FASHIONSNAP
今年のお買い物を振り返る「2021年ベストバイ」。7人目は、コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)の広報を経て、フリーランスのファッションエディター、ライターとして活動する栗山愛以さん。コロナ前まではパリコレに出向き取材を行い、雑誌「ギンザ(GINZA)」では“プロフェッサー栗山”の愛称で知られているファッション業界のご意見番。気鋭デザイナーからラグジュアリーブランドまでのパンチの効いたコレクションピースを幅広く着こなすスタイルが支持されています。業界でもファンを多く持つ栗山さんの2021年に買って良かったモノ9点。
目次
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MARINE SERRE スカーフ付きマスク
FASHIONSNAP(以下、F):マスクは現代の必需品ですが、これは大胆なデザインですね。
栗山愛以(以下、栗山):機能性のある布マスクに、ユーズドのスカーフが2枚縫い付けられているだけなんですけど(笑)。「マリーン・セル(MARINE SERRE)」らしいアップサイクルのアイテムです。着け心地は考慮されておらず、重たいですし、動きにくいんですが。
F:一点物ですね。スカーフの柄の種類は選べたんですか?
栗山: 選べませんでしたね。マリーン セルの公式オンラインストアで注文したら、「この柄でいいですか?」という写真付きのメールが送られてきて。「ノー」と答えたら買えない気がしたので、「イエス」と返しちゃいました。
F:栗山さんは他にもマリーン セルのマスクをお持ちですよね。
栗山:はい、三日月柄のものや、ガスマスクのようなデザインのものも持っています。マリーン セルが最初にファッションマスクをランウェイで提案したブランドで、どこよりも早かったと思います。他にもファッションマスクは「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のものも所有していて、従来の不織布マスクはあまり付けることはないですね。
VERSACEのスカーフを使ったJUNYA WATANABE Tシャツ
F:「ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)」2021-22年秋冬コレクションから、「ヴェルサーチェ(VERSACE)」のスカーフを使ったロックTシャツ。1点目のマリーン セルとスカーフつながりですね。
栗山:東京・豊洲の大型ライブハウス、豊洲PITでライブのような形式でショーを行ったシーズンで、コロナの暗い時期に生のショーのパワーを感じたコレクションでした。これは記念に買っておきたいと思いましたね。
F:力強いショーでしたよね。今、両ブランドともに注目度が上がっています。
栗山:これはジュンヤ ワタナベ側がヴェルサーチェのスカーフを買い取ってアレンジしたという形なので、ドナテラさんはデザインに関わっていないそうですが、ヴェルサーチェは2022年春夏に「フェンディ(FENDI)」とコラボを発表して話題になっていますね。
F:ジュンヤ ワタナベで言うと、カニエ・ウェストが最新アルバム「DONDA」でジュンヤ ワタナベについて歌った「JUNYA」という曲を出しましたね。
栗山:ラッパー界隈に関心を持たれていることに驚きましたね。他にもリアーナも「ジュンヤ ワタナベ」を着こなす写真を見て、海外セレブリティの着用が増えているのは、元広報としてもうれしいですね(笑)。
BALENCIAGA パゴダショルダーのデニムジャケット
F:肩が尖っていて、目立つジャケットですね。
栗山:日本で着ていたら絶対に驚かれますね。フォルムで衝撃を与えられるのはグッときました。これはパリでバレンシアガのショーを見た時にかっこいいなと思って、初めにタートルネックのニットを買ったんですけど、2着目のデニムジャケットもセールになっていたので購入しました。肩が視界に入ります(笑)。
F:どんな時に着用されるんですか?
栗山:誰とも真剣な話をしなくていいときに着ていきますね。ショーを見に行く時など受け身であるとき。驚かれてしまうので、取材や打ち合わせのときにはTPOを考えて控えています。
F:取材の場へはどのように服を選んでいますか?
栗山:ファッションの仕事をしているので、おしゃれには気を抜かないようにということは大前提にあります。もともと広報をやっていたこともあり、相手の服装を見て「この人に話して通用するのかな?」と思ったこともありました。選ぶ服でファッションを理解している人という説得力にもつながる。取材する側も気合をいれていかなければいけないと考えていますね。
BALENCIAGA “PARIS FASHION WEEK”パーカ
F:パリコレのロゴにモザイクがかかっているデザインですね。
栗山:私はパリコレが生き甲斐なのですが、これはコロナが広まり、パリコレ出張に行けなくなった最初のシーズンにデジタルで発表されたバレンシアガのコレクションのものです。ロゴがボカされているから恥ずかしくなく着られますが、これを着るのは私くらいしかいないんじゃないかなと思いますね。
F:どこで購入されたんですか?
栗山:オンラインストアです。パリに行ったらお店で買うんですけど、日本ではオンラインがほとんどですね。展示会でサンプルを見て雰囲気はわかっていますし、着心地はほぼ考慮しないので、お店に行って試着しなくても問題ないことが多いんです。服を選ぶ時は強さやユーモアがあるかどうかを最優先します。
F:どんな風にスタイリングしていますか?
栗山:これはメッセージに意味があって、シンプルなパーカなので、パンチの効いた服に合わせますね。
BALENCIAGA 折りたたみ傘
F:バレンシアガは3品目ですね。購入の決め手は?
栗山:前にパリにあったセレクトショップのコレットが閉店前に、バレンシアガのポップアップを開いていて、そのときに同じような折りたたみ傘を購入したんですけど、どこかで失くしてしまって。悔いを晴らすべく買いました。
F:そんな思いがあったのですね(笑)。前に持っていたものから、アップデートされている部分はありましたか?
栗山:前にパリで買ったのは1万円くらいだったんですけど、これは6万円くらいで。裏面もちゃんと文字が「BALENCIAGA」と読めるようになっているのが細かいこだわりがある部分くらいですかね。これでもか!ってくらいバレンシアガのロゴが敷き詰められていて(笑)。
F:機能性はいかがですか?
栗山:特に軽量でも、ワンタッチオープンでもないんです。しかもいつもバッグに入れられる大きさでもなく。ただ「無くしてもいいや」とか「出先で買えばいいや」と思うようなビニール傘はよくないと感じていて、モノを買うときはちゃんと使う覚悟を持って買うべきだと思うんです。なので、これを大事にしていきたいですね。
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