コロナショックを経て、アパレル・ファッション業界にも大きな変化がありました。企業に属することが安定ではない…ひと昔前から言われてきたことが現実のものとなり、フリーランスの道を選ぶ人が今、増加しています。今回は、複数アパレル企業での就業を経て、2021年7月よりフリーランスデザイナーとなった宮田さんにインタビュー。フリーランスになったきっかけや1年目の現実、フリーランスに必要な覚悟などについてお話いただきました。
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インタビュー(1)はこちら
― フリーランスデザイナーとして働く宮田さんのワークサイクルを聞かせてください。
1週間サイクルで動いています。
メインの業務委託案件を軸として、MTGのある曜日と翌日は、その案件に集中しています。その他、プロジェクトベースの仕事が数件あり、残りの曜日で回すようにしています。
― 今の業務状況の満足度はいかがでしょうか?
現時点では、理想とは程遠いですね…(苦笑)。
実際は週2日想定の仕事がおさまらず、バタバタの毎日です。契約時にしっかり業務計画を立てているつもりでも、実際は想定以上の作業がたくさんあり、時間も掛かります。たとえば週2日だと取引先企業のシステムになかなか慣れず、思ったより作業に時間が掛かってしまっています。
また、いくつかご相談やお声がけをいただく中で、相談と仕事の線引きがあいまいになることがあったり、仕事しやすいようにと、あえてファジー(あいまい)な条件で契約したことが裏目に出たりもしました。
― 実際に経験することで分かったことがたくさんあったのですね。
はい。事前にすり合わせることの重要性を実感しています。
実はさらに案件を受けようとしていて、もし受けていたら確実にパンクしていました…!
ただ、良い意味でこれも経験だと思っています。会社やブランドの看板がなく、デザイナーとしてやっていく上で必要なのは実績です。今は業務量に対する収入の厳しさが課題ですが、見合った報酬を得ていくためにも、今はしっかり実績を作りたいです。
― いくつかご相談をいただいている、とのことですが、お仕事はお声がけからスタートすることが多いのですか?
今は、これまでの人脈などからお声がけいただくケースがほとんどです。いくつか売り込みもしましたが、現状ではまだ取り組みにはなっていません。
― フリーランスは、人脈の重要性がさらに高まりますよね。ほかに、企業デザイナー時代のどんな経験やスキルが今に活かされていますか?
今も昔も変わらず、丁寧な仕事を心がけていることです。今こうやってお声がけをいただけるのも、若い頃から取引先の方々への敬意を忘れず、真摯に取り組んできたからではないかと感じています。
― 「宮田さんどう?」とお声がけいただける関係性を築いてこられたのは、宮田さんの財産ですね。
独立のためにやってきたことではないですが、結果的にそれが財産になっています!
― いくつか売り込みも行ったとのことですが、オールアイテムの経験がある宮田さんにとって、ご自身の強みはどこだとお考えですか?
まさに、SC向けから百貨店向け、ドレス、スポーツと、幅広く対応できるオールラウンダーであることが強みです。その幅広さからお声がけいただき、仕事に繋がるケースが多いので、色んな経験をしておいて本当に良かったです。
強みを自覚するにあたっては、過去に何度か行った転職活動が良い機会でした。職務経歴書やポートフォリオを作成し、企業にプレゼンすることで、強みを言語化できるようになりました。転職先を決めるだけでなく、デザイナーとしてどんな強みを持ち、どうありたいかを考える上でも、転職活動はとても有意義で大切なものでした。
― 過去の転職活動が今も活きているというのは素敵ですね!
幅広い経験に対し、「得意カテゴリーはない」とネガティブに捉える方もいらっしゃいます。宮田さんがポジティブに邁進されたことが、オールラウンダーという強みになったのかなと感じます。
僕もネガティブに感じていた時期はありましたが、実務で手ごたえを感じられているのが大きいですね。たとえば、ドレス商材にアウトドアテイストをミックスさせる、異素材を組み合わせた商品など、テイストの垣根を超えた商品が増えているのを感じます。オールラウンダーであることは、単にどんな商材でも対応できるというだけでなく、そういった「掛け合わせ」へのチャレンジもしやすいんです。
先ほど挙げた原研哉さんもそうですが、自身のバックボーンを表現するアーティスト寄りのデザイナーよりも、消費者やブランドなど、「何か」に寄り添って生み出すデザインの方が好きなので、その質を高めていくためにも、オールラウンダーであることは今後も強みにしていきたいです。
― フリーランスとして活動するにあたり、ポートフォリオなどを作成していますか?
基本のポートフォリオを用意していて、細かい部分やプラスアルファを企業や案件に合わせて都度変えています。どのような企業に対しても寄り添うプレゼンを行うには、普段からアイデアを創出できるよう、色んな情報や発想を蓄積していくことが大切です。
オールラウンダーは自分の強みが伝わりにくい、という難しさがあるので、ストーリーブックを作るなど、ビジュアルでプレゼンすることを重視しています。転職活動でも、ポートフォリオを見せてからの方が採用担当者の方の反応が良かったので、今もその経験を参考にしています。
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