ほとんどのブランドには理念やコンセプトが込められたロゴがあります。ブランド力を高めるものとして重要視されているため、中にはブランドイメージ刷新のために何十年もの間使用していたロゴを思い切って変更するブランドも。ブランド名は「文字」ですが、ロゴマークは「絵」なので、見た人の脳に映像として記憶されます。そのため、ブランド名の読み方がわからない、知らないといった場合でもロゴを見ればわかるという人も多いのです。特にアパレルブランドの場合はロゴがあることで他のブランドの差別化を明確に図ることができ、そのロゴがあることで価値を高め、購入者の所有欲を掻き立てる効果があります。今回は有名ブランドのロゴとその由来を紹介します。
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そもそもロゴって?
ロゴとは、企業や組織、個人が世間の認知向上のために使用するマークのこと。絵柄からなる「シンボル・アイコン」と文字デザインの「ロゴタイプ」という2つの種類があります。どれだけ良い製品やサービスを提供していたとしても、認知度が低いと顧客まで届けることができません。そのため多くのブランドは広告を打ち出すのですが、より効率的にブランディングを行うためにロゴが重要な役割を果たします。ロゴが印象的だったり好感度の高いデザインだったりすると、ブランドのイメージが右脳に長期にわたって記憶されるのです。
ロゴの歴史と現代のロゴデザインの始まり
ロゴの歴史は長く、始まりは紀元前2300年だと言われています。古代メソポタミアの円筒印章から始まり、硬貨になり、紋章として発展してきました。産業革命によって今では当たり前に使われている「フォント」や「タイポグラフィ」が生まれ、シンボルやアイコンと合わさった現代的なロゴが誕生します。しばらくはイラストとタイポグラフィを組み合わせたビジュアルアートが主流でしたが、1950年に「余計なものはない方が良い」というモダニズムの思想が根付いたことでよりシンプルになっていきました。
有名ブランドのロゴとその由来
GUCCI
創業者でありデザイナーのグッチオ・グッチが自らの名前を冠してつけたブランド名「GUCCI」。ブランドロゴはイニシャルである「G」が上下対になったデザインで、GGマークと呼ばれています。実はイニシャルを用いたロゴを採用したブランドはGUCCIが初めて。ロゴには、グッチオ・グッチの名前を冠することで製品の品質を保証するという意味が込められています。今ではブランドが品質保証を行うのは珍しくないですが、品質保証を行ったのもGUCCIが世界で初めてでした。
CHANEL
CHANELもデザイナーの名前を冠したブランド名。CHANELの創業者でありデザイナーの本名はガブリエル・ボヌール・シャネルですがキャバレーで「ココ」という愛称で呼ばれており、生涯「ココ・シャネル」と名乗っていました。そのため、2つのCを反転させて重ねたデザインのロゴになった説が一般的ですが、実はもうひとつの説があります。それは、フランスにあるシャトー・ド・クレマという古城をシャネルが訪れた際に、伝統的シンボルマークとして使用されていたマークを気に入り、古城のオーナーに許可を得て現在のロゴを作ったというもの。実際に古城のステンドグラスにはCHANELのロゴとほぼ同じマークが入っています。
LOUIS VUITTON
LOUIS VUITTONと言えばLとVを重ねたロゴが有名です。創業者でありデザイナーであるルイ・ヴィトンの頭文字をとったロゴです。LVのイニシャルロゴと、花と星のモチーフを丸で囲ったロゴを組み合わせたモノグラム柄がブランドの代名詞であり、モノグラムを柄ではなくロゴと捉える人も多いようです。実際にモノグラムは類似品が多く出現した1890年代に「一目見てヴィトンだと認知される必要がある」と生み出したデザインであり、ブランドの顔と言えるでしょう。諸説ありますが、モノグラムのロゴは日本の家紋からヒントを得たという説が有力です。
MARY QUANT
デザイナーのマリー・クヮントと後に夫となるアレキサンダー・プランケット・グリーンが友人と共に立ち上げたMARY QUANT。メイクもファッションの一部という考えからコスメラインを展開し、世界中、特に日本で大きな人気を集めました。ロゴである黒い花はそのままミラーとして販売され大ヒット。この花はデイジーであり、マリーの落書きから偶然生まれたものだと言われています。科学の力では咲かせることのできない黒いデイジーにすることで「自由」と既成概念を打ち破る「独創性」を表現しています。
BURBERRY
トレンチコートや、キャメルの生地に黒・白・赤のラインで構成された“バーバリーチェック”が有名なBURBERRY。「名誉・高潔・勇気」という意味が込められた、甲冑を着た騎士が馬に乗って勇ましく駆ける「馬上の騎士」をロゴとして採用しています。アイコニックなロゴでしたが、2018年に20年ぶりにロゴが変更され大きな話題を呼びました。創業者であるトーマス・バーバリーのイニシャル「T」と「B」を交差させた新しいロゴは創業者のスピリットを彷彿とさせます。イニシャルロゴを繰り返したモノグラムはブランドの伝統を守りつつモダンな視点を持った、未来に向けた新しいシンボルです。
HERMÈS
ケリー・バッグやバーキンなどのバッグで知られるHERMÈS。HERMÈSは元々馬具工房からスタートしたブランドのため、革素材の品質の高さにも定評のあるブランドです。制作においても1人の職人が仕上げまで行い、職人番号が記載されている徹底ぶり。そんなHERMÈSのブランドロゴには四輪馬車と従者が描かれています。実はこのロゴには「主人」の姿がありません。これにはHERMÈSの「エルメスは最高品質の馬車を用意しますが、それを卸すのはお客様ご自身です」という、主役はあくまでも消費者であるという哲学を感じることができます。
Vivienne Westwood
パンクの女王とも呼ばれるヴィヴィアン・ウエストウッドが手掛けるVivienne Westwoodのロゴは恐らくブランドの名前よりも有名ではないでしょうか。土星のような球体の上に十字のモニュメントが乗ったロゴは、エリザベス女王が公式な行事の際に携えるロッドに付いているオーブが元になっています。王位を象徴するオーブは「伝統」を表し、その周りを囲む輪は衛星(サテライト)であり「未来」を表していると言われています。2つが組み合わさったVivienne Westwoodのロゴには「伝統未来の融合、格式と斬新さの相反する二面性」という意味が込められているのです。パンクでアバンギャルドなだけでなくどこか上品で格式高いVivienne Westwoodに相応しいロゴだと言えるでしょう。
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