NESTBOWLを活用いただいている企業の方に聞く「採用事例インタビュー」第4弾。今回は、NESTBOWLを通じて編集エージェンシー「かくしごと」での執筆活動をスタートした「学生エディター」3名と「かくしごと」代表・黄孟志氏に取り組んでいる事業や採用の成功の秘訣について伺った。
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企業やメディアからの依頼に合わせ、最適なクリエイティブチームを編成してニーズに対応している編集エージェンシー・かくしごと。これまで編集という職人ワザを企業の課題解決に応用するため、人気メディアの大物編集長たちとパートナーシップを組むなど、領域にとらわれない自由な活動を行ってきた。
そんな「かくしごと」が2021年6月に行ったのが編集者・ライターを目指す学生による「学生エディター」チームの発足。学生エディターの半数以上がNESTBOWLを経由して応募、採用されている。現在は2021年12月に小学館よりリリースされた10代向けWEBメディア『Steenz』のコンテンツ制作を学生エディターチームが主軸となり行っている。他にも編集者から広告プランナー、写真家、デザイナー、モデル、学生まで幅広い人々が参加する“iPhone動画サークル”も学生エディターが主体となって運営中。学生エディターチームの活躍は注目を集め、各業界から「ぜひ協力してほしい」という要望も多い。
発足から1年足らずでここまで活躍するチームを創り上げたメンバーは、どんな人たちなのか。なぜ彼・彼女らを採用することができたのか。今回は「学生エディター」チームメンバーのうちの3人と、採用側の黄氏に話を聞いた。
守屋 あゆ佳(もりや あゆか)さん
東京外国語大学 国際社会学部4年
10代向けメディア『Steenz』の記事制作、渋谷スクランブルスクエア内の施設『渋谷QWS』のコミュニティマネジメント、SNS運用などで活躍。
加藤 由依(かとう ゆい)さん ※リモート参加
日本大学経済学部 経済学科4年
ファッション誌『mina』でアシスタントを務めたのち、現在は10代向けメディア『Steenz』のエディターとして活躍中。大学ではブラックカルチャーを研究する。
工藤 実柊(くどう みひ)さん
跡見学園女子大学 文学部現代文化表現学科4年
2000年生まれによる2000年生まれのためのマガジン『ヤングマンベイグ』など、Z世代のコミュニティに複数所属。同世代向けにSDGsをテーマにした動画を制作し、SNSで配信している。
プロフェッショナルにはない、学生ならではの視点が求められる
―「学生エディター」チームはいろいろなプロジェクトに携わっているそうですが、その1つとして小学館が立ち上げた10代向けWEBメディア『Steenz』の運営があります。まず、『Steenz』はどういった媒体なのでしょうか?
守屋 あゆ佳さん(以下、守屋):“多様性時代を駆け抜ける10代が、「自分」と「仲間」を見つけるメディア&コミュニティ”というコンセプトのメディアで2021年12月にスタートし、現在noteというメディアプラットフォームを軸に展開しています。多様なジャンルの10代に着目し、毎日新しいインタビュー記事をアップしていて。学生エディターチームは候補者をピックアップするところから取材、記事執筆まで行い、今は8人ほどのメンバーが関わっています。
―加藤さんも『Steenz』の制作メンバーなんですね。
加藤 由依さん(以下、加藤):私は、かくしごとから送り込まれる形で、小学館に通いながら、アルバイト編集部員として『Steenz』の運営に携わっています。
守屋:逆に私は、かくしごとサイドのフロントに立って、コンテンツ制作を行っています。『Steenz』では社会課題と向き合うティーンも多く紹介していますが、どうしてもとっつきにくさがあると思うんです。だから少しカジュアルさを意識し、取材対象者の10代らしさ、たとえば「実はあいみょんが好き」など親近感のわくポイントを引き出すような取り上げ方をしたいと考えていて。個人的には取材対象者に対して、近所のお姉さんに話してもらうような距離感、話しやすさをいつも意識しています。
黄 孟志さん(以下、黄):私が小学館さんから『Steenz』立ち上げの相談をいただいたとき、こだわりたいと思ったのは、コンテンツ制作を、10代と感覚の近いZ世代のメンバーたちを中心として行ってもらうことでした。弊社には、すばらしいプロフェッショナルなライター、フォトグラファーの伝手がありますが、大人たちだけで作っていては、たとえクオリティが非常に高くても、10代の気持ちを本当の意味で代弁できないのではないか、と思ったんです。今は“何をどう言うか”以前に、“誰が作っているのか”が見られる時代。そこにこだわろうと考え、いまも学生エディターたちに運営してもらっています。
結果的に文章のテイストやアウトプットがZ世代の人たちでよかったと思う部分もありますし、そもそも人選の時点で発見が多い。たとえばSNSでフォロワー数はあまりないのに、「この人が面白いと思って企画した」という、自分たちでは絶対にできないセレクトがあるんです。だからこそ毎回、バリエーション豊かな人たちが登場しています。そこが『Steenz』の魅力だと思っています。
―一方で工藤さんはかくしごと主宰の「iPhone動画サークル」の運営を行っていると伺いました。このサークル活動について教えていただけますか?
黄:かくしごと主宰で、iPhoneだけで動画の撮影・編集を行う練習をする朝活サークルを発足したんです。かくしごとのメンバーだけでなく、弊社と関わりのある編集者さん、フォトグラファーさん、デザイナーさん、広告関係の方といった、いろいろな人が自由に参加できる朝活です。具体的には、決められたテーマと制限時間の中で、それぞれがiPhoneを使って動画を撮影・編集して、最後にみんなで作品を褒めあうということをしています。
なぜこのサークルを始めたのかというと、最近、動画制作の依頼が増えているだけでなく、クライアントから、「プロテイストの動画もいいけど、SNSでは生活者の等身大のテイストでも発信してみたい」という意見が多く聞こえてきて。
それならいろいろな業界で「動画制作にチャレンジしてみたい」と思っている人が集まって、それぞれの視点を生かしながら“アマ以上プロ未満”の動画をさくっと作れるチームを築けたら、いずれ大きく発展するのではないか、と。そこで、まずは朝活サークルとしてスタートさせたんです。このサークルの運営を工藤さんにお任せしています。
工藤 実柊さん(以下、工藤):「朝活iPhone動画サークル」は仕事も年齢も違う人が集まっています。自分で動画を撮って投稿するのが当たり前な世の中になったからこそ、プラスアルファ編集のスキルが求められるので、向上心のある方は「もう少しいい動画を作ってみたい」と考えるようになっていると思うんです。そのスキルも上げつつ、人とも出会うという活動は、とても今の時代っぽいと感じますね。
実際に開催して気づいたのは、皆さん仕事と年齢がバラバラだからこそ、作り方からして違うんです。編集者さんなど企画する立場の人は、コンセプトからしっかりと考えて撮り始める方が多いですね。私は逆に、直感でとりあえず撮りだして、それを集めて作品にするタイプ。動画サークルのおかげで、職種によってまったく違うプロセスで作品を作っていることが、視覚的に分かりました。
かくしごとはミステリアスで“もっと知りたい”を刺激してくれる会社だった
―皆さんは「かくしごと」という会社になぜ興味を持ったのですか?
加藤:私はファッション、カルチャーが好きだったので、そういったことに携われる仕事がしたいと思い、WEBメディアやファッション誌の仕事を始めました。かくしごとは「ライター インターン ファッション」といったキーワードでGoogleの検索をした時、NESTBOWLに掲載されている黄さんのインタビュー記事に出会ったのがきっかけ。インタビューを読んで、黄さんがどんなことをしている人なのかを知って興味がわいたんです。さらに黄さんのnote記事のリンクが貼ってあったので見させていただいて。雑誌『UOMO』『EYESCREAM』といった携わっている媒体にも興味を持ち、「かくしごとに参加したい」と思いました。
ファッションやカルチャーに携わっているメディアはたくさんありますが、私は「ここがやっていることはすごく素敵だから、携わってみたいな」と思うか思わないかで会社を選びたいと考えていました。かくしごとは、まさに自分の思い描いていた会社だったんです。
守屋:昔からファッション雑誌が好きで、洋服を見るのが趣味なんです。だから広告代理店や出版などメディア業界に興味を持っていました。
私は一見、何をやっているのかよく分からないところに飛び込むタイプで。まず、“かくしごと”という会社の名前が面白いですよね。サイトには雑誌や編集というキーワードは書かれているけれども、ファッション誌に限らずビジネス誌にも関わっていたり、またチョコレートなどの商品プロデュースも手掛けていたりと、一見、どんな会社なのかよく分からない、でも何か面白そうだなと思いました。
私は今までなかった職業や肩書といったものを追い求めているところがあって。既存の働き方や職業にとらわれない働き方をしたいと思っているので、どうなるか分からないけれど、いつも冒険できる方に飛び込んでいます。
工藤:逆に私は何をやっている会社なのか分からなければ飛び込めないタイプですが、UIのデザイン性が高かったり、「もっと知りたい」と思うようなサイトを作っているとか、見せ方のうまい会社に惹かれます。
かくしごとというミステリアスな会社がNESTBOWLのようなメディアに出ることによって、私のように何をやっているのかを知ってから飛び込みたい人にもひっかかると思います。これまでに黄さんがやられていたことはSNSを見て分かっていましたが、インタビューという文章でまとめられることによって、さらに興味がわきました。
未来を見ているクライアントにこそ刺さる学生エディターチーム
―黄さんにお伺いしますが、NESTBOWLでチームメンバーを募集されてみていかがでしたか?
黄:かなりの人数の方に応募していただき、初めて掲載してから1年半経過していますが、今でも月に2、3人の方からご連絡をいただいています。ただ応募数が多ければいいというわけではなく、最初からしぼられている方が会社としてはありがたくて、NESTBOWLを経由して応募される方はヒット率が高いと思います。
弊社はファッションに対する感度が高く、さらにものごとを深く考えられ、社会課題意識もある人を求めていますが、NESTBOWL経由ではそういった方からの応募が多いと感じています。NESTBOWLが、素敵な世界観かつ、内容の濃い記事をつくってくださったからだと思います。
学生エディターチームに対する小学館さんからの評判は非常に高く、「どうやったらこんな優秀な人を集めることができるの?」とよく聞かれるんです。私としても、なぜ出版社に直接応募しないで、弊社に応募するのか不思議なのですが(笑)。
守屋:黄さんはnoteの「僕のかくしごと」というタイトルの記事で、ご自身の話を生い立ちから「かくしごと」で手掛けた媒体のことなど詳しく説明されています。それを読めばどういう人なのか読者にも分かりますし、「ちょっと話を聞いてみたい」と思った時に、連絡を取りやすい。おそらく、そういったハードルの低さも影響しているのではないかと思います。
黄:私はもう34歳ですが、マインドは昔からZ世代というか。学生時代からフリーランスで自由に働いてきたし、社会課題にも興味を持っていたし、グラデーションカラーとかエモい写真とかも好きだった気がします(笑)。だからついに時代が追いついたという気持ちがあって、そういった自分の生き方にどこか親しみを感じ取ってくれているのかな、それをNESTBOWLの記事で引き出してもらったことで、すばらしい学生エディターとつながったのかな、と考えているんです。
―今後の目標を教えてください。
加藤:私はメインで関わっているのが『Steenz』なので、このメディアの知名度をさらに上げ、見てくれる人を増やしながら、本質的な記事の価値も高めていかなくてはならないと思っています。その両立はとても難しいと思いますけれど、強化していきたいです。
守屋:『Steenz』はメディアとしての発信はもちろん、コミュニティという側面も大切にしています。今年の3月に、『Steenz』と外務省がコラボレーションして、気候変動について専門家とZ世代が共に学ぶ、というオンライン配信イベントを開催しました。4月からは、経営者とZ世代がビジネスや社会について話し合う『CLUB CEO』というラジオ番組もスタートしています。『Steenz』は、出演したら終わりではなく、そこからのさらなる発展があるコミュニティ。その部分も強化していきたいです。かくしごとは、「編集」を広義に捉えていて、コンテンツ制作以外のことにも取り組める会社なので、幅広く挑戦できたらと思っています。
工藤:動画サークルについては、すでにお仕事の依頼も来ているのですが、ビジネスライクな組織にせず、誰でも参加できるユルさを大切にしながら、「メンバー100人」を目標にして、いろいろな仕掛けをしていきたいと考えています。
黄:学生エディターチームを作って、いろいろな企業からお問い合わせをいただいています。新しい感性、視点を持っている人たちの意見を聞きたい。それを反映させて作ったものをCMではなく、SNSで流したいといった話をよく聞きます。そういった様子から、皆さん未来を見据えているんだな、と感じますね。
動画サークルに関しては、50代の有名編集者の方が大学生の作る動画を観て「どうやって作るんですか?」と質問して、生徒みたいになったりもしているんです。サークルだからこそ築ける世代を超えたフラットな関係性は、新しい感覚を知りたい先輩にとっても、先人の知恵を知りたい後輩にとっても、貴重な財産になるんじゃないかなと思ったりしています。
そんな活動の流れで、弊社も「レジェンド編集者×Z世代の学生エディター」というチーム編成で、超一流のクオリティと、新しいリアルな視点を掛け合わせた企画提案・コンテンツ提供ができるようになってきていたりもします。
今後も、NESTBOWL経由でどんな学生エディターと出会えるのか、そのメンバーが何を巻き起こしていくのか、とても楽しみです。
取材:キャベトンコ
撮影:Takuma Funaba
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