これはなかなか衝撃的な発表である。6月15日に発表された米国商務省の2022年5月の米国小売売上高が前月比0.3%減の6729億ドル(約9兆168億円、1ドル=134円換算)、5カ月ぶりの減少になったのだ。コロナ禍が一応の終焉を迎えて、今年になってから順調に経済が回復している中の大ブレーキと言えるだろう。ブルームバーグがまとめた市場予想の0.1%増を下回った。業種別では、自動車・同部品が前年比3.5%減の1262億ドル(約1兆6910億円)、無店舗小売りが1.0%減の1029億ドル(約1兆3788億円)、家具が0.9%減の122億ドル(約1634億円)、家電が1.3%減の77億ドル(約1031億円)と減少に寄与。一方ガソリンスタンドは4.0%増の660億ドル(約8844億円)と大幅増。
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全米小売業協会(NRF)のマシュー・シェイ会長兼CEOは「今回の減少は、インフレに対する米国人の懸念の高まりと、全てのコストへの影響を反映している」と話す。またNRFのチーフエコノミストのジャック・クラインヘンズは、「金利の上昇は今後の支出を抑制する」と予想している。
FRB(米連邦通貨準備理事会)の政策金利の上昇は、今後さらにスピードアップする。仮にインフレを抑えても、住宅ローン、クレジットカード、その他ローンの借り入れでの金利上昇のために消費が抑制され、景気が悪化し、失業率の悪化を招くという負のスパイラルに陥る可能性も出てきている。
また、米国ミシガン大学が6月10日に発表した6月の消費者信頼感指数(速報値)は、50.2と過去最低を記録した。現状指数は55.4と5月の63.3から大幅に下落し、期待指数も46.8と5月の55.2から下落した。消費者の46%がインフレを景況悪化の原因と捉えており、これは5月の38%から大幅に増加。FRBと米国政府は今後の経済運営の難しさに直面しているようだ。
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