シーズン通して売れ筋となった袖付き水着
水着・アスレジャーファッションSPA(製造小売業)のミューラーン(東京、三浦誠巳社長)は22年シーズン、8月末時点のプロパー消化率が86%、通期(22年9月期)では90%近くに達する見通しとなった。19年度比では夏のピーク時の店舗数は4割減の30店舗、生産も4割減らした結果、売り上げは19年度より7億円減の12億円となる見通しだが、「消化率が向上した分、収益性が高まった」(三浦社長)。19年度のプロパー消化率は約76%だった。
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「作ったら売り切る。目指すのは消化率100%」(三浦社長)と挑んだ22年シーズン。売れ筋が出ても深追いせず、欠品もいとわない姿勢で臨んだ。
22年春夏は旅行需要は本格回復には至らなかったが行動制限はなく、サウナブームやホテルステイを楽しむ〝ホカンス〟など新しい需要もつかんだ。基幹業態の「ピーク&パイン」は大人化し、出店も百貨店や大人向け商業施設にシフトした。原材料費の高騰などにより価格が10~15%上がったものの「価格ではなく価値で売れる富裕層」の顧客が増えた。商品では、たんす在庫にない袖付きタイプ水着がヒットし、シーズンを通じて売れ筋となる新作を出し続けた。22年度は水着の売り上げが約10億円、アスレジャーファッションやヨガウェアの「アルヴォーブ」は前年比の3倍近い2億円となった。
来期は年末年始の海外旅行や卒業旅行、新婚旅行などの回復を期待する。ただし店舗数は、「入れ替えや各店舗の奥行きは追求するが」、30店程度にとどめる。「これまで以上に価値ある商品やサービスを提供する」ことに注力し、売り上げ計画は約13億円、プロパー消化率向上による収益性の強化を重視する。
水着を主力とする同社にとってコロナ禍は大きく影響した。20年3月に生地発注が終わった直後、裁断を始める直前のコロナ直撃だった。三浦社長は、「春休み需要が飛び、ゴールデンウィーク商戦のみならず夏休み商戦も飛ぶだろうと判断し、水着の生産を止めた」。同時に、不足が社会問題になっていたマスクを水着生地で生産した。
東京にある本社ビルの1階で販売すると、マスクを求めて地域の人が行列を作った。その後も、開いている商業施設に場所を借りて〝屋台〟のような場所でマスクを売り、20年度は100万枚、10億円売り上げた。水着の販売は少量だったが、「マスクのおかげで生地もほぼ消化し、従業員の雇用確保もでき、工場に工賃を支払うこともできた」と三浦社長は振り返る。
21年度はマスク需要は減ったものの、アスレジャーファッションと水着で9億円まで回復した。20年度、21年度は市場のニーズに臨機応変に対応した商品展開により、「黒字を確保」した。
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