政府は、11月を大企業・親事業者による働き方改革に伴う下請け中小事業者への「しわ寄せ」を防止するキャンペーン月間とし、防止のための啓発活動に取り組んでいる。経済産業省では「しわ寄せ」防止策について、繊維・アパレル業界で「課題を残している」(田上博道製造産業局生活製品課長)とし、大手企業を中心に、親事業者の経営者の意識改革と対応改善を呼びかけている。
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同月間は厚生労働省、経産省・中小企業庁、公正取引委員会が19年6月に策定した「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者へのしわ寄せ防止のための総合対策」に基づき、取り組んでいる。厚労省所管の「労働時間等設定改善法」や、経産省・中企庁所管の「下請中小企業振興法」に基づく下請け取引適正化のための指針「振興基準」などに沿って、大企業・親事業者が働き方改革で自らの労働時間を短縮したことに伴い、下請け事業者の長時間労働につながり、適正なコスト負担も伴わない無理な短納期発注や発注内容の変更をしないことなどをウェブサイトやポスターを通じて呼びかけ、繊維・アパレル業界を含む各業界団体に周知している。
政府が振興基準に沿って各業界団体に要請している取引適正化に向けた「自主行動計画」の21年のフォローアップ調査結果によると、繊維業界では働き方改革に伴うしわ寄せ防止について、「特に影響がない」とした事業者が発注側で7割を占めた一方、受注側では5割にとどまった。受注側からは「急な対応の依頼や短納期での発注が増えた」などキャンペーンで防止を呼び掛ける内容とは逆の指摘が多かった。短納期発注や急な仕様変更が発生した際に適正なコストを負担したかどうかについては、発注側、受注側ともに「おおむねできた」「おおむねされた」の割合が減少した。
田上生活製品課長は「最近、ある染工場から、発注者が金曜日に来て、翌週の月曜日までに染め直して製品を持ってくるよう要請されたという話を聞いた。業界として課題は多い」と指摘。「衣料品の廃棄を防ぐため、大量発注を見直し、小ロット発注にシフトする流れがあるが、下請け事業者にとっては負担になる」とし、「特に大手企業は下請け事業者の声をしっかり聞き、無理な短納期・小ロット発注を防止し、やむを得ず発生する場合はコストを負担すべき。経営者はもっと問題意識を持ってほしい」と強調した。
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