近年、多様化やジェンダーレス化などを背景として、学校においてもさまざまなデザインの制服が広がりを見せている。
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その中で、「トンボ学生服」を中心に、学校制服・体育着を企画、製造、販売の事業を手掛ける株式会社トンボは、米国大手スポーツ用品ブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店「株式会社ドーム」とサブライセンス契約を結び、アンダーアーマーの「体育着」の販売を開始すると発表した。2023年の春には100校に対し、10万点の体育着の販売を予定している。
そこで今回、株式会社トンボのMD本部 井原長武さんに、学校における体育着の現状から、今回の体育着の特徴、同社の今後の展開まで聞いた。
トンボの思いと近年の制服文化の変化
トンボは創業147年を迎える、老舗ユニフォームメーカーとして知られている。「生徒の成長を見守る」ことを原点に、「制服文化」を守ってきた企業だ。
「『良い制服を正しく着る』という精神を世の中に伝えることで、社会の中でのアイデンティティを芽生えさせ、学生の明るい未来をつくるお手伝いをする。それこそが、TOMBOWブランドの存在意義だと考えています」
長年に渡り学生服を手掛けているトンボから見て、制服の製造方法や学校・生徒からのニーズの変化を強く感じているという。
「ジェンダーレスへの配慮もあり、詰襟・セーラー服からブレザースタイルへ変更する学校が増えていますね。
しかし、例えば『ジェンダーレスを目的とした制服』と表現してしまうと、女子生徒がスラックスを履きたいと思っても履きにくい環境になることがあります。当社としては『着用できる制服アイテムの選択肢を増やしたコーディネイト』として提案しています」
トンボとアンダーアーマーとのコラボレーション
その中で、同社はドームとのサブライセンス契約を経て、新たな体育着を展開していくことを発表した。制服にとどまらず、体育着もまた、おしゃれで機能的なアイテムが求められるようになったことで、両者の思惑が一致した格好だ。
「学校を取り巻く環境が変わり、学校や生徒のみなさまからの要望が多様化している中、お互いの持つ力でその対応範囲を広げることができると考えました」
今回の体育着は、トンボが企画を担当するとともに、素材などの調達を行い、国内の自社工場と中国の協力工場で生産が行われる。
デザインバリエーションとしては、アイコンであるカモフラージュ柄をあしらったフラッグシップモデルから、ブランドカラーのブラックを基調としたシンプルモデルまでの3タイプを展開。また軽量かつストレッチ性の高い素材に、動きを妨げないカッティングとシルエットを組み合わせることで高い機能性を実現。さらに、製品重量の50%以上をリサイクルポリエステル繊維にしており、昇華転写プリントによる水なし印刷を行うことで、環境にも配慮した製品となっている。
「今後の展開についてはまだ構想中ですが、トレンドとリアルなニーズを追求したデザインや関連アイテムを拡充することで、ブランドの世界観を高めていきたいと考えています」
トンボの学校制服・体育着のこれから
アパレル業界では近年、サステナビリティーの重視やそれに伴ったAI採寸や3Dデザインツールなど、IT技術の活用が進められている。アンダーアーマーとのコラボで注目を集める中で、テクノロジーの活用に対してはどのように取り組んでいくのだろうか。
「当社には、スマホで採寸から注文まで完了できるサービスがあります。またスマートフォンで制服・体育着の展示やバーチャルモデルによるファッションショー、工場見学や講演会が視聴できる先生対象に『バーチャル展示会』も開催しています。
今後は、コロナ禍で進めたデジタル化を、リアルとのハイブリッド活用によって更なる顧客満足を提供できるように取り組んでいきます」
トンボとアンダーアーマーの協業によって、新しい「制服文化」ならぬ「体育着文化」が生まれるのかも知れない。デジタル技術や他社のノウハウも取り入れ、文化を守りながらも挑戦を続けるトンボのこれからに注目したい。
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