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藤原ヒロシ×青田泰明が語るファッションと教育の今「制服は昭和で止まってる」

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藤原ヒロシ×青田泰明が語るファッションと教育の今「制服は昭和で止まってる」

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 これまで「ブルガリ(BVLGARI)」「モンクレール(MONCLER)」など数多くのブランドとコラボレーションしてきた藤原ヒロシが、新たにタッグを組んだのは都内の中高一貫校 青稜中学校・高等学校。自身初となる学校制服を監修し、「フラグメント(fragment design)」「ユニフォーム エクスペリメント(uniform experiment)」「ラミダス(RAMIDUS)」と共にアイテムを製作した。今回、プロジェクトの仕掛け人である青田泰明校長代行と藤原ヒロシによる対談が実現。プロジェクトの背景から、学生時代のエピソード、現代を生きる学生たちに向けた話題まで、教育とファッションが交差する話を繰り広げた。

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藤原ヒロシが試みる制服のアップデート

─今回、藤原さんが青稜中学校・高等学校の制服を手掛けた経緯を教えてください。

青田泰明校長代行(以下、青田):本校が25年ぶりに制服を刷新することになり、デザイナーの方を探していました。青稜は「挑戦」を掲げる学校なので、大前提としてありきたりなものは作りたくない。これまで学校制服を手掛けたことがない方に作ってもらい、挑戦のスピリットが込められた制服を子どもたちに着て過ごしてもらいたいなと。ヒロシさんとの交流は3、4年くらい前から元々ありましたが、どういう方にお願いしようかと考えていたタイミングで丁度お会いする機会があって。

藤原ヒロシ(以下、藤原):僕もラジオか何かで以前から「制服を作りたい」と言ってたんですよね。

青田:「藤原ヒロシが作る制服」って誰も想像できないだろうなと思ったんです。既存の考え方に捉われずに面白いものを作ってもらえるだろうと、ヒロシさんに白羽の矢を立てさせて頂きました(笑)。

藤原:あ、そうなんですか?「制服やりたい」と言い続けたからリクエストが来たのかと思ってた(笑)。

─青田さんは昔から藤原さんのファンだった?

青田:もちろん。

藤原:絶対そんなことないでしょう(笑)。

青田:いやいや、裏原カルチャーを通ってきた世代ですよ。当時、ヒロシさんやNIGO®さんが雑誌に出ているのを見て「かっこいいな」と感じていましたから、今こうして制服をお願いすることになるとは夢にも思わなかったです。人生って面白いですね。

─藤原さんはなぜ制服を作りたいと思ったのでしょうか。

藤原:制服のデザインって、なんだか昭和で時代が止まってませんか?学生服ってどれも重そうで、ブカブカしているから少しくらいはアップデートするべきなんじゃないかなって。それこそ、「ユニクロ(UNIQLO)」が制服を作れば良いのにと思ってた(笑)。

─制服をデザインするにあたり重視したことはありますか?

青田:僕からヒロシさんにお願いしたことは、キーカラーにブルーを使って欲しいと言ったくらいですね。あとは「ヒロシさんが作りたいものを作ってください」とお伝えしました。

藤原:制服って基本的に3年間着るので、1年生はみんな大きいものを買いますよね。1年生がブカブカな制服を着ている姿は可愛いらしいですが、もう少しちゃんとした見せ方は出来ないだろうかと考えたんですよね。いくつか選択肢があった方が面白いと思ったので、フーディーやブレザーなど色々な着こなしができるようにアイテムを作ってみたり。

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─ジャケットやダウンジャケットは、青と白の市松模様が印象的です。

藤原:海外の制服デザインを調べる中で、チェッカー柄がキャッチーで良さそうだなと思い、イギリスのスクールジャケットのようなテイストを落とし込むことにしました。タータンチェックも検討したんですが、アイビーテイストが強くなりそうだったのでやめました。あまり制服の枠からは出たくなかったので、裏地だけに取り入れることにしました。

─パンツにはDカンが取り付けられていましたね。

藤原:Dカンはユニフォーム エクスペリメントのパンツにいつも付けているものです。学校ではチェーンウォレットは使って良いんですか?

青田:大丈夫ですよ。そこまでジャラジャラさせてませんが、子どもたちは結構使ってくれるかもしれませんね。

藤原:Dカンにキーホルダー付けても良さそうですよね。

─フーディーやブルゾンなどカジュアルなアイテムはスニーカーとの相性も良さそうです。

青田:登校時の靴はローファーのみ認めているんです。学内ではローファーから学校指定の真っ白なスニーカーに履き替えても良いことになってます。

─新制服に合うスニーカーを作る計画はありましたか?

藤原:いや、全然無かったです。ローファーと合わせて着た方が可愛いと思ったので。

─エンブレムもシンプルな長方形のデザインに変わりました。

藤原:「シンプルなものがいい」ということで、いくつか作った中から今回のデザインを使うことになりました。特にインスピレーション源があったわけでは無いです。

─デザインは最終的に学校側で選んだ?

青田:本当に沢山のデザインをヒロシさんに考えてもらって、これが一番シンプルでしっくりときたんですよね。子どもたちは「スマホだ」と言って面白がってくれてます。言われてみれば、横に並んでいるフラグメントの稲妻モチーフがバッテリーのようにも見えて完全にスマホだなと。

─編集部でも同じ話で盛り上がりました。

青田:子どもたちの様子を見て「ヒロシさんは別に意味はないと言ってたけどこれを狙ってたんだ!」と思いましたが、いま改めて聞いてやっぱり考えてなかったんだなと(笑)。

藤原:これがオフィシャルのエンブレムになるわけではないですよね?

青田:今回のデザインが正式なエンブレムになりそうな雰囲気にはなってますね。最初、ヒロシさんから「エンブレムは使った方がいいですか?」と聞かれた時に、色々なことに挑戦して変わっていきたい学校としては、エンブレムも変えるべきなんじゃないかなと思って。ヒロシさんだったらどういう風に作るんだろうと思ってお願いしたら、すごく格好良いものを作ってくれました。

藤原:そんなことになってるんですね(笑)。

青田:こうして見ると刷新前と比べて制服の種類がかなり増えましたよね。

藤原:今のデザインをベースに、シーズンごと色とか形とか少しずつアップデートしていっても面白そう。正直、型数や価格などいまいち制服の定義がよく分かってないんです。僕は中学の時に制服がなかったし、高校もほとんど制服を着ていなかったので。

─私服で登校していたんですね。

藤原:学ラン着用の校則はなんとなくあったんですが、私服登校でも良かったんですよね。ジーンズにシャツを合わせて来る子もいましたし、僕自身も中学と高校では学ランは着ませんでした。

青田:そんな人が学校制服を作ることになるとは(笑)。自分でお願いしておきながらですが、すごく面白いことですよね。

─自由に着飾ることができる「ファッション」と、個を失くして画一化する「制服」は対極の存在のように思います。

藤原:そんな中でもスカートを短くしたり、「ラルフ ローレン(Ralph Lauren)」のカーディガンを取り入れてみたり、学生たちは縛られた状況の中でもアレンジしようとしますよね。だから、そういう遊べる要素は必要なのかなと思って、シャツを色や柄違いで作ったりチョイスできる選択肢を用意したんです。制服という限られたルールの中で、ギリギリのことをやるのは僕は好きですね。

青田:学校ってどうしても管理される目がありますけど、ヒロシさんが作った制服を自由に組み合わせて着こなしを楽しんでもらえたら。制限がある中でいかに自由を見つけられるかを子供たちに学んで欲しいです。

─先日のラジオ番組では、制服の製作には苦労したと仰っていましたね。

藤原:最初はジャケットだけあれば良いのかと思ってたんですが、こんなに作るものがあるのかと(笑)。カバンやネクタイ、靴下.....カプセルコレクションかって思うくらい量が多かったです。ポップアップストアできますよ。

青田:確かにできそうですね(笑)。ヒロシさんが制服の写真をインスタグラムに投稿した翌日から、在校生じゃない方からの購入希望の問い合わせが寄せられてるんですよ。子どもたちにはメルカリなどで転売しないよう呼びかけてます。

藤原:売っちゃダメなんですか?

青田:いや、在学中はさすがにダメです(笑)。

ストリートカルチャーの牽引役が送った学生時代

─お二人はどんな学生でしたか?

藤原:僕は学校が大嫌いだったなあ。担任の先生とは割と仲が良くて、出席日数を満たすために必要な授業を教えてくれたので、逆算して早退できる日を考えて(笑)。学校中で一番出席日数が少なかったけど、ギリギリで卒業しました。

青田:僕なんて高校3年間、無遅刻無欠席ですよ。

藤原:しかも僕、無期限停学になったんですよ。

青田:無期限停学ですか!?

藤原:姉の友達のタバコを買っているところを生活指導の先生に見られて。

青田:あらま(笑)。

藤原:僕は7つ上の姉とよく一緒に遊んでいたんですよ。小学生のときから姉が高校に連れて行ってくれたり、言われるままに姉が勧める服を着たりとか。当時は姉の友達と遊ぶことが一番多かったんです。

藤原:担任は僕がタバコを吸っていないことを知っていて、母も「うちの息子は本当にタバコは吸わないんです」って言っても、校長先生だけが怒っていて。先生が「未成年はタバコを手に持つだけでいけません」って言ったのに対して、僕が「先生は息子にタバコを取ってくれって言わないんですか」って聞き返したらすごく怒られた。人生の不条理を学びましたね(笑)。

青田:無期限停学の間は何してたんですか?

藤原:ちょっと早めの夏休みが来たと思って毎日遊んでましたよ。

青田:友達も学校に行ってなかったんですか?

藤原:そうですね、先輩や学校に行ってない友達と遊んでました。

青田:いい時代ですね。

藤原:でもやっぱり、みんなタバコを吸ってないって知ってるのに無期限停学はひどいなあ(笑)。一応、進学校だったんですけどね。

─得意科目はありましたか?

藤原:英語や数学が得意でしたね。15年くらい前なんですけど、高校受験の本を買ってきて、10人くらいで集まってテストをやってみたんですよ。僕は理数系には自信があったんですが、結果的には凡ミスや計算ミスばかりで全然ダメで。逆に絶対ダメだろうなと思っていた国語や社会がすごく良かったんです。理数系は高校卒業と共に終わっちゃうけど、国語や社会は知らず知らずの内にずっと勉強しているんですよね。今となっては、もっと勉強していたら面白かったかもしれないなと思う。

─進学や受験、不登校など教育現場は課題が多いですよね。

青田:最近では入試制度改革など業界の課題は山積みですが、こうした時代だからこそ学校が制服を変えるということは意義があると思っていて。子どもたちには、ヒロシさんのような常に新しいことに挑戦し、世界に目を向けられる人材になってもらいたい。

─藤原さんは高校教育には興味はありますか?

藤原:教育そのものにはあまり興味はありませんが、「もっと面白い教え方があるのでは?」と感じることはありますね。面白い話も混ぜて教えてくれたらいいのに。

多様化の時代を生きる学生に必要なこと

─藤原さんは京都精華大学ポピュラーカルチャー学部の客員教授を務めていますが、今の学生の印象はいかがですか?

藤原:遊びの延長というわけではないですが、大学に通っている子たちを見ると将来の事についてまだ迷っているような印象があります。クリエイティブなことを誰かに学ぼうとかもちょっと矛盾しているというか。

─確かに、クリエイティブって教えてもらうものでもないですしね。

青田:学生たちとはどういったコミュニケーションを取っているんですか?

藤原:カフェで授業していることもあり、ゼミという名の小さなオフィスのメンバーみたいな感覚。4年生にもなると外との繋がりも増えて、色々とリーダーシップを取ってやってくれていますね。

─学生から悩みを相談されることは?

藤原:全然ないです。

青田:子どもたちは知りたいこと色々ありそうですけどね。「こういうクリエイターになりたい」とか、「クリエイターとしてこれはどうなんですか」とか。

藤原:いや、そこまで気になってないと思う。そもそも18〜20歳くらいの子たちはあまり僕のことを知らないんですよ。逆にいいですけどね。

─お二人の学生時代と比べて教育環境は大きく変化していますよね。

藤原:たしか京都精華大のマンガ学部の学生が3分の1が留学生って言ってたかな。学校に行くと外国の人だらけなんですよ。去年は僕のゼミにも2人いました。

青田:アジア系ですか?

藤原:ヨーロッパ系も含め外国の学生を見かける機会が多くなりましたね。青稜には留学生とかはいないんですか?

青田:いますよ。アジア系の子や北米から来た生徒も。最近は特に外国からの学生が増えていると思います。

藤原:人種や宗教、文化の違いは面白い反面、色々と難しそう。先日ちょうど「イスラム2.0」を読んだんですけど、色んな人種が付き合っていかないといけない時代なんだと改めて考えさせられましたね。

─10代の頃は学校生活で上手くいかないことがあると、「人生終わった」と思えるほど学校の存在が大きかったです。

青田:その感覚は今の子どもたちも同じだと思います。外に居場所があることは大切ですよね。

藤原:そうですね。僕自身も学校以外の友達と遊ぶのは本当に楽しかった。

─テクノロジーの発達やSNSの普及により便利な時代になりましたが、今の子どもたちにとって生きやすい世の中になったと思いますか?

青田:子どもたちを取り巻く環境は、我々の頃とは全く違いますよね。ポケベルの時代は待ち合わせをするのも大変でしたし、学校にいる時間内で色々なコミュニケーションが完結していました。ある意味、家に帰ったら一旦コミュニティーから引き離される感覚。今の子たちは家にいても常にコミュニティーの中に居続けなければいけない。すごくそれは窮屈で、大変そうに感じます。

藤原:一方でSNSが普及したことで学校外の沢山の人とも繋がって、同じ趣味や学校では話せないことを他の人と共有できるようになった。悪い側面だけではないかなとも思いますね。

─コミュニケーションの取り方は大きく変化していますね。

藤原:そうですね。先日、20代後半くらいの友達とお茶する予定だったんですが、雨が降っていて行くのが面倒だから「"フェイスタイムティー"にしようか」って友達が提案してきたんです。お互い家でお茶を飲みながらフェイスタイムで話すんですよ。すごい発想だなと思った(笑)。

青田:それは新しい!

藤原:お互いスタバでドリンクを買ってきて、飲みながら何か作業しつつ話をしてた。まあ、たしかに会ってお茶をする状況とは同じだなと。

─多感な時期を過ごす学生たちは今、何をするべきなのでしょうか。

青田:これからの時代の子どもたちには、思考力や表現力、そして世界に目を向けて繋がっていくことが求められてくると思います。以前から言われてきたことですが、ようやく国も本腰を入れて動き始めています。

藤原:僕は学生時代、学校で学んだことはあまりない(笑)。でも、学校の外の友達と遊んでいたことはとても楽しかった。学生の時期に共通言語で話せる存在を作ることは大切なことかもしれないですね。

(聞き手:伊藤真帆、今井祐衣、長岡史織)

■青稜中学校・高等学校:公式サイト

■問い合わせ先
サティスワン:info@satis-one.jp

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