「YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)」のドラマーなどで活躍し、テクノポップの牽引者として世界のミュージックシーンに大きな影響を与えた高橋幸宏が1月11日に誤嚥性肺炎のため死去した。1月15日に所属事務所(ヒンツ・ミュージック)から発表があった。2020年に脳腫瘍の摘出手術を行うなど、最近は闘病が続き、昨年から容体が悪化していたという。昨年9月には高橋のプロ音楽50周年や生誕70周年を記念したライブが開催されたが、本人は出演できなかった。
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高橋は音楽以外にも俳優として、故人大林宣彦監督の『四月の魚』で主演を務めるなど多岐にわたる活動をしていたが、忘れてならないのがファッションデザイナーとしての活動。「Bricks」「Bricks-Mono」「YUKIHIRO TAKAHASHI COLLECTION」などといった自身のブランドを手掛けており、YMOが着ていたジャケットも高橋が手掛けた。
この高橋に幼少の頃から影響を与えたのが実姉の伊藤美恵(1944年生まれ)だ。1970年に弟の幸宏とブティックの「バズショップ」をオープンし、自らデザイナー兼経営者として直営、フランチャイズ19店舗まで展開したが、取引先の倒産に巻き込まれ1981年に解散。その後伊藤はデザイナーとして活動したが、1985年にPR会社のWAG(ワグ)を設立して「ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)」、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」、「マルニ(MARNI)」「ステファン ケリアン(Stephane Kelian)」、「バリー(BALLY)」、「ミミ・ソー ニューヨーク(MIMI SO NEW YORK)」などのPRを手掛けて来た。2003年にはアタッシェ・ドゥ・プレス養成学校の「ミエ・エファップ・ジャポン」を開校している。伊藤の実子の伊藤壮一郎(1977年生まれ)は2001〜2002年秋冬シーズンからブランド「ソーイ(soe)」をスタートし、さらに2013年にコンセプトショップ「M.I.U.」をオープンした。壮一郎は2018年に「ソーイ」のデザイナーを退任しディレクターになっている。2021年からは、伊藤を継いで前述したWAGの代表取締役社長に就任している。
まさにこのファミリーはファッション一家と言ってもいいだろう。付け加えれば高橋の妻はモデルの高橋喜代美(1955年生まれ)だ。19歳でモデルデビューを果たし70年代後半から80年代前半に「装苑」(文化出版局)、「non-no」(集英社)のモデルとして、しもいきよみの芸名で活躍したが、高橋との結婚を機に30歳で芸能界を引退している。2010年に24年ぶりに芸能活動を再開し、「奇跡の50代」として話題になった。現在68歳だがサントリー「リフタージュ」のCM出演などでは「奇跡の60代」と言われている。
高橋幸宏が大活躍した1970年後半から1980年代はファッションやミュージックがサブカルチャーの枠を超えて人々に大きな影響を与えた時代だった。今もその力を信じるファミリーにとって、その中心的存在だった高橋幸宏の死は大きな痛手と言えるかもしれない。後日お別れの会が執り行われる予定だ。合掌。
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