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TOKYO BASEが営業赤字でも1月度株価上昇率ダントツだった理由とは?

TOKYO BASEが営業赤字でも1月度株価上昇率ダントツだった理由とは?

ファッション&ビューティに特化したインターナショナルメディア
セブツー

 ウェブメディア「セブツー」では、毎月独自に選んだファッション&アパレル関連株83銘柄の株価上昇率ランキングを発表している。今回は1月4日の始値と1月31日の終値を比較した2023年1月度の株価上昇率を比較している。

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 この間、日経平均株価は2万5834円93銭(1月4日始値)から2万7327円11銭(1月31日終値)まで5.7%上昇した。2023年相場は上々の滑り出しだった。感染拡大第8波は終わっていないが、制限の緩和・撤廃が進んで収束が見えて来たというムードに乗った上昇だろう。沈潜化していないインフレに対しては目をつぶって、中国のゼロコロナ政策の終結および日本での入国制限が大幅に緩和によるインバウンド消費拡大に対する期待が、株価を押し上げたということだろう。しかし世界的インフレが「生活防衛意識」という新しいウイルスを発生させているのを忘れるべきではない。「節分天井、彼岸底」という有名な株に関する格言通りにならなければよいが。

 5.9%上昇した日経平均に対して、「セブツー」が選んだ83銘柄のこの間の単純平均は−0.5%とわずかだが下落しているのは注目される。前述した「生活防衛意識」がファッション&アパレル消費に重くのしかかるということだろうか。なお、83銘柄中で値上がりは50銘柄、変わらずは2銘柄、値下がりは31銘柄だった。

 株価上昇率第1位(+41.5%)はダントツでセレクトショップチェーンTOKYO BASEだった。株価は、昨年12月26日につけた235円というコロナ感染本格化のために2020年3月13日に記録した204円以来の2年9カ月ぶりの安値を底にして1カ月以上上昇を続けている。12月15日に発表した第3四半期決算(2022年2月1日〜2022年10月31日)も微減収で営業利益は赤字計上と低迷したままだったのに、これはどういうことか?どうも株式市場は、昨年12月8日を境にして終わりを告げた中国のゼロコロナ政策終結の恩恵を最も受けるファッション企業としてTOKYO BASEに注目しているようだ。同社が現在中国で展開する店舗は25店舗(2月3日現在)。これがゼロコロナ政策終結で大きく復活するという期待で買われているのだ。2月3日に発表された同社の1月度月次売上高速報が注目された。これは全社合計で前年比+8.2%、実店舗ベースで同+10.8%だった。海外(全28店舗のうち25店舗が中国)の売り上げの前年比は同−30.7%。まだ本格的な回復はしていないが、昨年2月以来の海外の既存店ベースの前年比を見てみると、−37.0%(2月)、−45.1%(3月)、−52.4%(4月)、−44.6%(5月)、−63.8%(6月)、−30.6%(7月)、−14.1%(8月)、−38.7%(9月)、−38.3%(10月)、−48.9%(11月)、−52.5%(12月)、−30.7%(2023年1月)となっている。

 1月の海外既存店の前年比は昨年7月、8月以来の「健闘」になっている。これが2月以降は大きく浮上するのではという期待になり「先物買い」として買い出動させているようだ。ユナイテッドアローズ、ベイクルーズ、ビームスといった既存のビッグセレクトチェーンに対抗する新興勢力としてTOKYO BASEもコロナ禍の3年間はもがき苦しんだが、2月1日からスタートした新年度には大きな期待がかけられていることになるが、それに応えられるだろうか。なお2023年1月通期決算の発表は3月15日の予定だが、現時点では業績予想(売上高189億円、営業利益-1億円、経常利益1億8000万円、親会社株主に帰属する当期純利益-7億円)の修正は発表されていない。

 上昇率第2位(+21.9%)は、婦人フォーマルウェアのナンバーワン企業の東京ソワールだ。同社株がなんとストップ高(前日の835円から値幅制限の150円高)したのは1月31日だ。1月30日の市場終了後に発表された2022年12月期通期決算の上方修正が発表されたのを受けてのストップ高だ。その内容は以下の通りだ。業績修正前の数字は2022年2月14日の2021年12月期通期決算発表示のものだ。

 ・売上高:140億円→142億4100万円(前年比+20.4%)
・営業利益:5000万円→3億3900万円(前年は−11億8500万円)
・経常利益:1億4000万円→4億4900万円(前年は−11億8500万円)
・当期純利益:2億4000万円→5億1900万円(前年比+73.5%)

 上方修正に関する同社の説明は「売り上げの計上を当社出荷時点から小売販売時点へ一部店舗で変更し減額になったが、小売事業を中心に店舗の集客が回復した。また売上原価において一部に製造コストの上昇はあったが、販売費及び一般管理費が想定を下回ったことにより、利益はいずれの段階でも予想を上回った」とある。ただし2月に入ってから株価は落ち着きを取り戻しており、800円台に戻っている。同社は2021年に、ラピーヌ社株買い占めで同社の乗っ取りに成功したフリージア・マクロス社(東証スタンダード上場)が同社株数の16.72%まで買い占める事態を招いて(現在もそのまま)株価が1500円台まで急騰していた。現在はその半分程度の水準だが、今回の株価急騰は業績好転による瞬間的な買い殺到が原因だった。

 上昇率第3位(+17.3%)は、TSIホールディングスだった。同社は2011年6月1日に東京スタイルとサンエー・インターナショナルが経営統合して誕生したが、すでに11年を経過したが、東京スタイルのブランド・事業はセレクトショップのナノユニバースと「ステューシー」以外はほぼ消滅している。さて今回の株価上昇は1月13日に発表された同社の第3四半期(2022年3月1日〜2022年11月30日)累計決算(売上高は前年比+11.1%の1154億600万円、営業利益は同−28.1%の37億2600万円、経常利益は同−18.9%の50億6100万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同−15.4%の46億2100万円)と同時に発表された自社株買い発表が原因だ。その規模は500万株・20億円を上限に、取得期間は1月16日〜9月29日。この上限株数を取得した場合の自己株式を除いた発行済株式総数に対する割合は5.8%だ。これはかなりのインパクトだ。当然市場はこれに鋭く反応して、翌営業日の1月16日には前日の終値の404円に比べて56円高の460円で引けた(高値は478円)。その後も買いが継続的に入り、株価はTSIホールディングスの思惑通り上昇を続けて500円台に突入している。業績好転の割に株価が上がらないもどかしさを見事に解消したということになる。

 ワースト組に目を向けると最下位は株価変化率−17.9%のイオン系(イオンの持株比率67.81%)のカジュアルウェアの専門店チェーンコックスだった。最近はマスク専門店のマスク・ドット・コムや雑貨ショップの「ikka」などの展開が注目を集めている。1月13日に発表された2023年2月期第3四半期(2022年3月1日〜2022年11月30日算では見事に増収(売上高110億8300万円で前年比+13.0%で営業利益(5億1100万円)、経常利益(5億1700万円)、親会社に帰属する四半期純利益(2億8100万円)で利益3部門は前年の赤字から黒字へ大転換している。通期決算も上方修正された。しかし、株価は全く反応せずというよりも、1月11日の199円を今年のピークにして以降下がり続けている。上方修正の数字が期待を下回ったということもあるが、業績上方修正も俗にいう「材料出尽くし」ということで無視され、格好の売り時と判断されたようだ。コックス株は低位株でまた浮動株が少ないので一般投資家が頻繁に売り買いしているようだ。ただし、いつか大化けしてくる可能性も秘めているので要注意株だ。

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