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ハイブランドも注目する伝統技術「藍染」の歴史と魅力

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“ジャパン・ブルー”と称される色、それが藍染の青です。明治の時代、日本を訪問した英国人科学者がそう呼んだのが由来だそうで、確かに藍染が織りなす独特のブルーは和の青であり、日本の情景ととてもしっくり来る色。そもそも藍は解毒や抗炎症作用を持つ薬用植物として重宝され、江戸時代には藍で染めた衣服が庶民の間で広く愛されました。そこから時が経ち、現代において藍染は伝統工芸であると同時に、世界のモード界からも熱視線を浴びる存在となったのです。

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藍染とは

藍染とは、植物染料「藍」を用いた染色技法で染め上げた布地や染色行為のことを指します。自然の植物を染料するため、化学染料では表現できない深みや風合い、独特の色彩が出るのが持ち味。2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムの色がジャパン・ブルーを象徴する藍染の青であったことも記憶に新しく、日本を象徴する色としても認識されています。元々、藍染に使うタデ科の藍は人類最古の染料ともいわれ、日本に伝わったのはおよそ1500年前の奈良時代だとの説も。東南アジア原産で、シルクロードを通りインドや中国、朝鮮を経て日本へと入ってきたそう。その後の平安時代には高貴な色として珍重され、正倉院の宝物には日本最古の藍染とされる「縹縷(はなだのる)」が保管されています。

藍染の歴史

奈良時代に伝来した藍ですが、藍染が広く庶民に浸透したのは江戸時代のこと。木綿の生産量が増えたのをきっかけに世間に広がりました。江戸時代は庶民が華美に装うことが禁止されていたこともあり、当時高貴だとされていた梅や紅、紫といった色は一部の人だけのもの。それもあって藍染の藍色が人気を集め、着物や仕事着といった衣類のみならず、暖簾などにも藍染が使われるようになりました。藍染が町を彩る様子を見て、冒頭で紹介した英国人科学者のロバート・ウィリアム・アトキンソンが「ジャパン・ブルー」と表現し、この表現が現代まで根付いています。なお、当時藍は日本各地で栽培されていましたが中でも徳島産の藍の品質が良く、「阿波藍」と呼ばれ愛されてきました。しかし明治後期に入ると安価なインド藍や合成染料が流通し、日本国内での生産量が著しく低下。さらに第二次世界大戦下では食糧増産や贅沢禁止の名の下で藍の栽培が禁止され、一時は国内の藍生産の歴史が途絶えかける危機にもあっています。

ハイブランド×藍染も話題に

時代を遡れば貴族を魅了し庶民に広がり、さらには消滅の危機をも乗り越えて現代では日本の伝統工芸となった藍染ですが、今やファッション界からも注目を浴びる存在となっています。そのきっかけは2022年の夏にローンチされた、高級シューズブランド「JIMMY CHOO(ジミーチュウ)」と徳島県に拠点を置く若き藍染師集団「BUAIOU(ブアイソウ)」とのコラボレーション。日本限定・数個限定で発売されたこのカプセルコレクションにはアイコニックなラブパンプスやボンボンバケットバッグが含まれ、使うほどに表情が変わる経年変化を楽しめると話題に。また、今年の2月にはセレクトショップの「RON HERMAN(ロンハーマン)」が「VISVIM(ビズビム)」とコラボし、藍染のスエットやデニム、スニーカーなどの8アイテムを発売しています。ちなみに徳島にある「BUAIOU(ブアイソウ)」の工房は、ファッション業界でも活躍するミュージシャンのリアーナやイェ(元カニエ・ウエスト)が訪れたことも有名。藍染の持つブルーは、日本の伝統色という枠を超えて世界のクリエイターを刺激する色となったのです。

藍の効果と魅力

歴史の中で藍染めが長きに渡り多くの人々に愛されてきた理由は多々ありますが、なかでも見逃せないのが藍が持つ効果でしょう。古くは薬草として用いられてきただけあり、藍には様々なメリットがあります。代表的なのが防虫効果に消臭効果、さらに抗菌や紫外線防止効果まであり、どの効果をとっても衣類や寝具として利用するのに非常に適しています。昔の商店はどの店も暖簾を下げていましたが、暖簾に藍染のものが多いのも消臭や虫除け効果があったため。色の魅力のみならず、実用的な品としても藍染が選ばれていたのです。また、使うほどに味わいが増し、洗濯を繰り返すたびに色馴染みが良くなるのも藍染の特徴。古くなり色褪せるのではなく、風合いが増し経年変化が楽しめる点がファッション界からも愛される所以だと言えます。

インディゴ染めとの違い

藍色と聞いて真っ先にノンウォッシュデニムの深い青を思い浮かべる方もいるでしょう。デニムといえばインディゴ染めが定番ですが、実は藍染とインディゴ染めはよく似た色合いでありながらも別のものです。先に正解を言うと藍染が天然素材の藍を使うのに対し、インディゴ染めは化学染料。しかし本来は藍の青い成分をインディゴ(天然)と呼んでおり、過去にはインド藍がインディゴ染めの原料となりインドからエジプト、ヨーロッパへと広がりました。そのため本来の意味ではインディゴ染めも天然染料ということになりますが、1900年頃に石油を用いた合成インディゴが誕生します。それまでの天然インディゴは染めムラが出たり不純物が多かったりと栽培に多くのコストがかかったため、合成染料であるインディゴが主流に置き換わりました。

藍染の洗い方と保管方法

美しい色合いと使い続けることで増す風合い。藍染の魅力を知ると自分でも手に入れたくなりますね。真新しい藍染の製品を時間をかけて自分色に馴染ませていくのは、ファッションを愛する人にとってこの上なく楽しい作業かもしれません。ただ、藍染製品は使い方や洗い方にコツがあります。まず、新品のものは最初に袖を通す前にぬるま湯で洗い色出しをする必要が。これは糸に藍が深く浸透しているため肌や他の衣類に色移りを避けるのが目的で、色出しをせずに着用すると触れる部分がジャパン・ブルーに染まる恐れがあるからです。そして洗い方ですが、基本は水かぬるま湯での手洗いや押し洗い。洗濯機を用いる場合は漂白剤(漂白剤入り洗剤も含む)は使わず、色移りを避けるため他の衣類とは分けて洗うこと。干す時は日焼けを防ぐため陰干をし、保管の際も直射日光が当たらない場所にしまうと良いでしょう。

藍染のブルー。浮世絵の富士や波を思わせる色合いは日本の美の象徴といっても過言ではありません。色が持つ奥行きや美しさのみならず、その風合いや効果にいたるまで、数多くの魅力にあふれているのが藍染です。手間暇をかけて職人が手染めするため決して手が届きやすい価格ではありませんが、時間を経て自分だけのオンリーワンの色合いとなる1枚を手にしてみてはいかがでしょうか。

TEXT:横田愛子

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