バッグを持つことでコーディネートを完成させる、これは多くの女性が意識している装いのポイントではないでしょうか。しかしバッグは身につける服飾品の中で唯一体から離れているもの。だからこそ選び方によってアクセントにも、逆にバランスを崩す要因にもなり得ます。そこでバッグについて深掘りする後編となる今回は、シーンに合わせてどのようにバッグを使い分けるか、さらには今季注目のバッグトレンド、スマートに決まるバッグの持ち方まで紹介します。
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活用シーンに合わせて素材を選ぶ
バッグは荷物を入れるという実用面以外に、コーデの完成度を左右するアクセサリー的な意味合いを持つアイテム。そのためその日の装いや目的に合わせたバッグ選びをするのが鉄則です。パーティードレスを着てキャンバス素材のトートバッグを持つ人はきっといないだろうけれど、バッグだけが浮いてしまうコーデは端から見るととても残念なもの。オケージョンによって洋服を着替えるように、バッグもシーンに合ったデザインや素材を選びましょう。
例えば雨の日は水に強いPVC素材のものを、夏のリゾート地にはラフィア素材やカゴバッグが似合いますし、寒い時期は温かみのあるファーや起毛素材と、服装のみならず気候や季節に合わせることも大切。バッグの素材は本革にフェイクレザー、布やナイロンと多彩ですが、仮にデザインが同じでも素材を変えるだけで印象が一転します。本革のバッグなら上質感やきちんと感を演出でき、ナイロンや帆布素材だとカジュアルな印象に。プラスチックなど個性的な素材を選ぶとよりアクセサリー的な要素が濃くなるなど、素材が放つイメージはとても強力です。それほど素材の印象が強いアイテムなので、デザインはもちろん素材選びが大きな鍵となるのです。
素材別のメリット・デメリット
多数あるバッグの素材ですが、代表的なのは本革、エナメルレザー、スエード、キャンバス、ナイロン、PVCとPU(共に本革に似せた人工素材)でしょうか。いわゆる高級や上質といわれるバッグの多くは本革やエナメルレザーが多いですが、実は高級バッグで知られるルイ・ヴィトンのモノグラムやダミエはPVC素材。同じヴィトンでもエピやタイガはレザー、ヴェルニはカーフスキンにエナメル加工を施した素材なので、同一デザインでも価格差があります。好みや価格帯はあるものの、PVCやPUといった人工皮革は水濡れに強く、本革は水濡れに弱いのが特徴。本革は長年使うことができますが、そのためには定期的なお手入れが必須です。一方で布やナイロンは使い続けるうちに摩耗が目立ちやすい素材ながらも軽くて丈夫、さらに比較的低価格で手に入るのが魅力でしょう。最近はナイロンとレザーを組み合わせて上質感と軽さを両立したバッグも多く、ビジネスシーンで人気のフェリージやオロビアンコもナイロンレザーが定番品となっていますね。
どの素材にもメリットとデメリットはありますが、バッグは基本的に手入れをしながら使うもの。そもそも洗うことを前提に作られていないものが大半ですが、床に置いたり洋服と擦れたりと、思っている以上に汚れています。そのため使用後はブラシをかけて埃を払う、帆布素材などの汚れは消しゴムで軽く擦り汚れを落とす、表革製品はクリームを塗るといったケアがマスト。どんな素材であれケア次第で長く愛用できるので、バッグを購入する際はお手入れ方法をスタッフに尋ねることをおすすめします。それゆえにバッグを扱うショップスタッフには、このバッグにはどんなケアが必要かを正しく伝えられる知識が求められるでしょう。
シーン別バッグの選び方
どのシーンでどんなバッグを持つか。これはファッションという枠を超え、マナーでもあります。シーンに相応しくないバッグを持つことは単に不恰好だと評される以前にマナー違反となるケースもあるため、TPOに応じたバッグ選びは大人の身だしなみ。そこでさまざまなシーン別のバッグ選びをまとめてみました。
ビジネス
ビジネスバッグの基本、それはA4サイズが入ること。ペーパーレス化が進んだとはいえ書類を持ち歩く機会も多く、折り皺が入ることなく書類を収納できるサイズが必須です。最近はタブレットやノートPCを持ち歩くことも多いためバッグ自体が軽量なのはもちろん、営業職などの場合は床に置いた際に自立するタイプが便利。デザインや色はベーシックなものを選び、黒、ブラウン、グレーなど季節や装いに合わせられるよう3バリエーション程度持つのが理想的です。
フォーマル
一般的にフォーマルは冠婚葬祭や入学式といった各種式典を指しますが、どの場面でも間違いないのが黒のコンパクトなハンドバッグ。牛革か布製が定番で、なるべく装飾の少ないものがベストです。というのも、慶事では気にならなくともお葬式などの際はゴールドのチェーンや留め具などが悪目立ちすることに。地域によっては牛革もNGで黒の布製バッグがマナーという場合も多々あるため、フォーマルバッグでも冠婚&式典用と葬儀用で持ち分けた方が無難です。この種のバッグは必要最低限のものが入るサイズなのでその際はサブバッグを併用しますが、サブバッグも黒や濃紺のシンプルなものを選ぶと失敗しません。
パーティー
パーティーバッグは華やかなシーンで持つため、バッグとしての機能以上にアクセサリーという役割が強め。大きいサイズだとフォーマル感に欠けるため、小ぶりなハンドバッグかクラッチバッグが適しています。よりアクセサリー的な役割を求める場合はシルクサテンなどの光沢のある素材やビジューをあしらったクラッチタイプがおすすめで、ドレスの色と合わせたり、あえて装いと反対色を選びアクセントにするのも素敵。普段使いしないバッグだからこそ、少し冒険して華やかなデザインを選んではいかがでしょうか。
カジュアル
日常的に使用する普段使いのバッグはカジュアルに分類されますが、カジュアルバッグの代表格がトートバッグ。帆布などの丈夫な布製や耐久性に優れたナイロン素材が中心で、秋冬ならスエード、夏ならカゴ素材など、多彩な素材が揃います。この手のバッグの定義はちょっとしたお出かけに気軽に持てるバッグですが、求めるサイズ感は人それぞれ。どのくらいの荷物を持ち歩くかでサイズを選び、どう持つかによってショルダー付きやバックパックなどのデザインを選びましょう。カジュアルバッグはバッグの中で一番自由度が高いので、選ぶ楽しみを満喫してください。
2023/SSのトレンドバッグ
コーデをアップデートするには旬のバッグを持つのが一番手っ取り早いですが、今季のバッグトレンドのキーワードはふたつ。ひとつ目は「ミニサイズ」、ふたつ目は「ショルダー」です。ランウェイでもシャネルがミニショルダーを多数発表していたのに対し、バーバリーやロエベは比較的大きなサイズをローンチ。手持ちもできるショルダーバッグが中心ですが、注目すべきはそのデザイン。どのブランドもメゾンを象徴するモチーフを生かしたアイコニックなバッグが多く、今シーズンはメタリックカラーなど輝きを持つ色や素材がトレンドに浮上。また、小さめのハンドバッグはハンドルに手首を通し手で抱えるクラッチ風の持ち方がトレンドになるなど、持ち方にもひと工夫するのが今季流です。
バッグの2個持ち、どうする?
ミニバッグの流行以来バッグの2個持ちは定番となりましたが、難しいのがそのバランス。同じサイズのバッグを2個持ちするとバランスが悪いので、2個持ちの際はミニショルダー&トートなどのように、異なるサイズを選ぶのが鍵。例えばブラウンのレザーハンドバッグに合わせるならブラウンレザーでトリミングされたトートを選ぶなど、色やテイスト、素材を合わせると統一感が出ます。両方の手にバッグを持つのも不恰好なので、2個持ちの際はひとつをショルダータイプにするといった工夫をお忘れなく。
2回に渡りバッグにスポットを当てましたが、女性にとってバッグはやはり特別な存在。だからこそ基本のルールやマナーを知り、お気に入りに出会ったら手入れをしながら長く愛用してください。
TEXT:横田愛子
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