大丸松坂屋百貨店が、新たにサブスクリプション型冷凍グルメ宅配サービス「ラクリッチ」を開始すると発表した。デジタルを活用した新規事業第3弾と位置付け、初めて食分野のサブスクリプション事業に参入する。
ラクリッチでは「“おまかせ”でおいしい出会いを」をコンセプトに掲げ、同社を代表する食通バイヤーが厳選したデパ地下クオリティの冷凍グルメをサブスクリプション形式で提供。スタート時は「RISTORANTE HONDA」「OGAWA」「西洋銀座」「おかず本舗 佃浅」「まつおか」「日本料理 鈴なり」「ポール・ボキューズ」「神戸コロッケ」など25ブランドから50数種類を用意し、そのうち7種類はオリジナル商品として開発した。
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提供コースは、6〜8品程度のセット「ちょいリッチBOX」(6500円)、7〜10品程度のセット「しっかリッチBOX」(9000円)と「すごリッチBOX」(1万2000円/いずれも送料・税込)の3種。それぞれメニューは毎月異なり、メニューの内容は一部商品のみを公開することで「届いた時の楽しみ(セレンディピティ)」を創出する狙いがある。5月16日正午から専用サイトで受注を開始する。
デジタルを活用した新規事業としては、ファッションサブスクリプション事業「アナザーアドレス(AnotherADdress)」、メディアとECを融合させた化粧品メディアコマース「デパコ(DEPACO)」に次ぐラクリッチは、準備に約1年の期間を費やした。「忙しい生活の中でも食を大切にしたい」「献立のマンネリを工夫したい」というニーズに応え、宅配サービスという形でコロナ禍で百貨店が苦しめられてきた「時間」と「場所」の制約の克服を具現化する。また、サブスクリプション形式にすることで「選ぶのが面倒」という選択支援にもつなげる。同サービスには準備段階から冷凍生活アドバイザーの西川剛史がアドバイザーとして参画している。
大丸松坂屋百貨店の澤田太郎社長は、コロナをきっかけにオンラインのタッチポイントを3年かけて整備し、アナザーアドレスもデパコも順調に進捗しているという。いずれも「サービスを利用することで人生が豊かになる」という視点と、「人」を軸としたタッチポイントにすることが「大丸松坂屋百貨店らしさ」を体現しているといい、ラクリッチにおいてもその2点を満たしていると評価した。澤田社長自身は昨年末に体調不良で絶食を強いられるなどの生活が一時期続き、「久しぶりに白米を食べたとき、涙がでるくらいおいしかった。おいしいはしあわせにする」と体感したといい、食の大切さを訴えた。
惣菜などの中食市場は10兆円以上あると言われる中、ラクリッチの初年度の目標は会員数3000人、5年後の2027年度までに売上50億円の規模を掲げる。2026年度以降は急成長フェーズとし、ブランドや名店の拡充に投資をしながら、最終的に日本を代表する食のプラットフォーマーを目指す。高級スーパーへの卸売や海外展開も見据える。
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