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“衣食住の無印良品”が衣服特化型店舗を出店するワケ

先行販売品から古着まで揃う新宿靖国通り店を取材

 良品計画が、初めて衣服に特化した店舗を新宿に出店する。同社は衣食住のカテゴリーを横断した商品展開を強みとしてきた。あえて一つのカテゴリーに絞り込む狙いとは。

 衣服特化型店舗は旧「MUJI新宿」をリニューアルする形で実現。「無印良品 新宿靖国通り」に名称を変更するとともに、同店から徒歩3分の新宿通り沿いに位置し、生活雑貨と食品の特化店として先月一新した「無印良品 新宿通り」と2店舗体制で専門性をより高めたサービスを提供していく。

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 両店舗はいずれもリニューアルする前は衣食住のカテゴリーを横断した商品ラインナップを揃えていたが、無印良品では同2店舗に限らず最近の来店客の購買傾向として、衣服のみ、食品のみ、といった買い物が目立っているという。1つのカテゴリーに特化することで店舗ごとの役割をわかりやすく発信することも目的の一つとしている。

外観

Image by: FASHIONSNAP

 無印良品 新宿靖国通りのテーマは「あらゆる人に選ばれる、本物で自由な、服と店」。「高額だから本物」といった押し付けに近い価値観から開放された自由な服選びができる店舗を目指したという。売場面積は約1216平方メートル。衣服の売場はリニューアル前から2.5倍近く拡大した。1アイテムあたりの売場面積も増やしたという。

フロア構成のマップ

Image by: FASHIONSNAP

 フロア構成はB1Fがメンズとトラベル用品、MBFがウィメンズのフロアで、1Fには季節に合わせた商品を陳列。伊勢丹新宿店に近接する入り口を設けている2Fには「MUJI Labo」や、前回のリニューアルから販売しているリメイク商品を中心とした「ReMUJI」を最大規模で揃え、ファッション感度が高く若い来店客を取り込む。無印良品のメインの来店客層は40〜50代の女性だが、同店舗では若い世代の来店増をにらみ、試着室は撮影OKにするなどカジュアルに来店できる店舗づくりを意識したという。また、「SDGsを体現する店舗」と「服にふさわしい売場環境」を目指し、内装にはホワイトオークやリサイクルアルミ、リサイクルタイルなどを用いたほか、リニューアルに伴い発生した産業廃棄物は可能な限りリユースするなどで削減した。2Fには衣服の回収ボックスを設置している。B1Fの「Cafe&Meal MUJI」は席数を増やして継続する。

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売場の様子
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売場の様子

Image by: FASHIONSNAP

 衣服特化型店舗ならではの取り組みとして、全国の無印良品スタッフから公募し選抜したVMD専属スタッフを5人配置し、マネキンを豊富に設置することで最新のスタイリング提案を強化。スタイリング相談会や1時間フィッティングルームを貸し切りできるフィッティング予約サービスも導入する。マーケットリサーチの目的も兼ねて先行販売品も充実させ、1ヶ月先に展開する新作を多数取り扱う。オープン時は22アイテムを販売。購入者から回収した衣類を再生する「ReMUJI」は年々売上が上がっているといい、同店舗では「染めなおした服」「洗いなおした服」を引き続き用意し、2枚以上の服をつなぎ合わせてアップサイクルした「つながる服」は同店舗のみで展開する。

売場の様子
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売場の様子
売場の様子
売場の様子
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ReMUJIの売り場

Image by: FASHIONSNAP

 新宿の街の面白さを発信する施策にも着手。1Fには無印良品の視点でセレクトした新宿エリアの約80店舗を紹介するカードを設置した「SHINJUKU to GO」や、新宿にゆかりのある若手アーティスト5人を起用しアイテムにプリントできる「新宿アート工房」(プリント代1000円)、「不揃いいちごマグネット」や「カレーテープシール」といった無印良品の商品をモチーフにしたカプセルトイ(300〜500円)を導入している。

カプセルトイ
カプセルトイ
アートコラボの例
カード

カプセルトイ

Image by: FASHIONSNAP

 旧MUJI新宿は、サステナブルな取り組みを強化することを狙いとして2年前にもリニューアルを行っている。短いスパンで再びの刷新となったが、良品計画の永原拓生執行役員は「一定の客層から支持を得ており、前回のリニューアルを引き継いでいる」としている。前回のリニューアルはコロナがまん延していた時期で客数も激減していたというが、この春先からは客足が戻ってきているという。インバウンドによる売上も伸びている状況で、同店舗では全体に対し30%をインバウンド売上にすることを目標に掲げる。オープン日は10月13日。

 衣服特化型店舗は今後の反響次第で、欧米など海外出店を視野に入れる。永原執行役員は衣服のカテゴリーについて「無印良品のものづくりの考え方を発信するには良い」とし、他店舗でも衣服の売場構成比を上げていく考えを明かした。

 無印良品では衣料品カテゴリーの不振が続いていたが、2022年秋冬シーズンから商品企画を見直し、「無印っぽい」という偏ったテイストからの脱却を図っている。2023年春夏シーズンでは展開期間を工夫したこともあって完売アイテムが出るなど、回復の兆しが見えているという。

◾️無印良品 新宿靖国通り
オープン日:2023年10月13日(金)
売場面積:1217.16平方メートル
所在地:東京都新宿区新宿3-15-15 新宿ピカデリー B1~2階
営業時間:11:00~21:00(※Cafe&Meal MUJIのラストオーダーは20:30)

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