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スターバックスがサンフランシスコの7店舗を閉鎖 ゴーストタウン化が加速

スターバックスがサンフランシスコの7店舗を閉鎖 ゴーストタウン化が加速

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

■コーヒーチェーン最大手のスターバックスがサンフランシスコ市内にある直営店7店舗を閉鎖することがわかった。

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多くの小売チェーンが撤退する集団脱出にスターバックスも加わり、サンフランシスコがいよいよ本格的なゴーストタウン化しそうだ。

ターゲットやセーフウェイ内にあるライセンス店を除く、スターバックスの直営店はサンフランシスコ市内に現在59店舗展開している。

10月22日にスクラップとなるスターバックス7店舗の多くがサンフランシスコの金融街で高層ビルが数多く立ち並んでいるフィナンシャル・ディストリクト。

スターバックスは閉鎖理由を明かしていないが、サンフランシスコ市内からビジネスマンを中心に客足が少なくなったことは否定できない。

小売・サービスの企業がこぞってサンフランシスコから撤退する理由は2020年3月の外出禁止令以降、サンフランシスコではオフィスの空室率の上昇が現在も続いていることがあるのだ。

コロナ後も空きオフィス数の増加は反転せず、不動産サービス大手CBREによると2023年3月時点でサンフランシスコ市内の空室率は過去最高となる29.5%を記録。

2022年から金利が急騰し株価は下落傾向で今年はツイッターやセールスフォース、メタ・プラットフォームズなどの大量解雇に銀行危機もあり、特にサンフランシスコでは人材の流出が顕著になっている。

さらに今年の第2四半期ではサンフランシスコ市内のオフィス空室率は31.6%を記録したのだ。

そしてCBREが先月発表した第3四半期では市内のオフィス空室率は33.9%とまた記録を更新した。

サンフランシスコ市内のオフィス空洞スペースは3,000万平方フィート(約280万平方メートル、約84万坪)近くにも及んでおり、全米の主要都市では最悪のレベルになっているのだ。

 オフィス空室率の上昇はコロナ以降、働き方が大きく変わってしまったのが原因となる。特にサンフランシスコ市内に本社等を構えたIT企業の影響は大きい。

IT企業の多くは、リモートワークができる商品やサービスを開発してきた当事者なのだ。

さらに多くの企業は完全出社に戻そうにも、リモートワークに味をしめた従業員により、自宅やシェアオフィスなどオフィスと離れた場所で働く「テレワーク」を組み合わせたハイブリッド型の勤務体制を続けようとする力学も働いている。

またサンフランシスコでもフィナンシャル・ディストリクトのスターバックスが閉店するのはAIの台頭も見逃せない。

AIに代替される職種は「決まったことをする定型業務が多い職務」だ。特に「経理・財務・会計系」などの金融関係にAIが積極的に導入されると予想されている。

フィナンシャル・ディストリクトからリモートワークでオフィスがなくなり、将来的に金融街で働く人がAIに代替されれば、カフェインを摂りに来るビジネスマンはいなくなるのだ。

したがってスターバックスは7店舗の閉鎖ということになる。また働きに来る人が少なくなっているサンフランシスコ市内では大手小売チェーンが相次いで撤退しており「小売店の集団脱出(The Mass Retail Exodus)」と呼ばれる事態が起きているのだ。

今年に入ってオープンしたばかりのホールフーズ・マーケットが閉店し、ウエストフィールド・サンフランシスコセンター内のノードストロームが店を閉めた。

この隣にあるノードストローム・ラックも閉鎖となった。ユニオンスクエア近くのマーケットストリート沿いにある73,000平方フィート(約2,000坪)のオールドネイビー旗艦店も同じ日に閉鎖だ。

 マーケットストリート沿いではアパレルチェーンのアンソロポロジーや高級デパートメントストアのサックス・フィフス・アベニューのアウトレット店であるサックス・オフ・フィフスも閉店。

直近ではウエストフィールド・サンフランシスコセンターからマーケット・ストリートを挟んで真向かいにあるAT&T旗艦店も閉鎖した。このAT&Tフラッグシップ・ストアは24,000平方フィート(670坪)もあり、ユニオン・スクエアに近いばかりか、観光客が集まるケーブルカーのパウエル駅に面していることでも有名だ。

直近の閉鎖店ではターゲットがある。ターゲットは先日、サンフランシスコ市内にある店舗1ヶ所(1690 Folsom St, San Francisco, CA 94103)を含む9店舗の閉鎖を発表している。

 ビジネスオフィスの空洞化に小売チェーンの集団脱出で残されたのはホームレスと組織的犯罪となっている。

治安の悪化という負のスパイラルに陥ってはお店がアル中や薬中と思われる路上生活者が入ってくる上に集団で小売店に押し入って商品を盗む「フラッシュロブ(flash rob)」の餌食になる。一般客も入りづらいため店をたたむしかないのだ。

 一方、スターバックスはサンフランシスコ市内ではピックアップ・オンリーを含む3店をオープンしている。空洞化等でサードプレイスが減っているということなのだ。

トップ画像:サンフランシスコ市内のスターバックス閉鎖店。フィナンシャル・ディストリクトを中心に10月22日、7ヶ所のスタバが閉鎖となる。サンフランシスコのオフィス空洞化に加えて金融街ではAI台頭もスタバ閉鎖理由になる。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。「万引き天国サンフランシスコ」「ホームレスに汚物の街サンフランシスコ」とどんどんとイメージが悪くなっています。街は発展して衰退し、さらに再生というサイクルを巡りますから、サンフランシスコがこのまま地獄絵図になるとは思いません。が、しばらくは大きなマイナスのイメージを背負うことになると思います。課題は記録を更新し続けるオフィス空室率です。これを止めない限りサンフランシスコ市内の衰退は続き、「小売店の集団脱出(The Mass Retail Exodus)」も継続です。一方で後藤は2年前からサンフランシスコには行くなと警鐘を鳴らしています。アル中、薬中のホームレスが巣食い、窃盗団の巣窟となるサンフランシスコ市内は、治安の良い日本から来る人にリスクが高すぎるのですよ。視察研修ではコスト安を理由に視察先を安易にサンフランシスコに向けるケースもあるようです。忙しい日本人ビジネスマン(特に流通系)は現地の事情をよく知りませんから、騙されやすいともいえます。知らぬが仏です。

 アマゾンゴーも全店閉鎖となったし、観光以外で見るべきところはほぼありません。それでも行きたいのなら止めはしません、ご自由に。

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