「ステュディオス(STUDIOUS)」などを運営するTOKYO BASEが、セレクトショップの新業態「コンズ(CONZ)」1号店を原宿にオープンした。ディレクターは、デイトナインターナショナル時代を含めて長年にわたりステュディオス事業に携わってきた熊沢俊哉氏。同社では谷正人 代表取締役CEOが自ら新規事業のブランディングに携わることが多いが、コンズでは熊沢氏に一任し、独自の感性で新規事業の立ち上げに漕ぎ着けたという。
谷代表は兼ねてより「ステュディオスよりも若い世代」をターゲットにした新規事業を構想。熊沢氏はステュディオスで経験を重ねる中でコンズの事業を計画し、谷代表へのプレゼンを経て発足に至った。
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ステュディオスではモードを軸としているのに対し、コンズではカジュアルとストリートに特化。この「カジュアル」はテイストのみを指しているのではなく、「自由」といったニュアンスが含まれる。
「ファッションを肩肘張らずに自由に、という意味でのカジュアルを採用している。テイストに関してもファッションを楽しまれる方はブランドで選んでいるわけではなく、ラグジュアリーも含めてミックスしている。そういった背景もあって、カジュアルの中でいろんなミックスした店をやってみたかった」(熊沢氏)
ターゲットは「ステュディオスよりも若い世代」を狙うが、「カジュアル」の言葉が示すように、一つのブランドをとっても年齢や性別を問わず着用するシーンが増えていることから、敢えて“若年層向け”を押し出さず、カジュアルとストリートを軸に提案した先に若年層も獲得できるといったマイルストーンを描いている。
原宿本店はステュディオスの路面店が数多く並ぶ神宮前エリアに位置。ニューヨーク発のメンズウェアブランド「ノア(NOAH)」の店舗「NOAH CLUBHOUSE」の向かいにあった「ADC STAR」跡を活用し、地上2階建てのガラス張りの外観デザインに仕上げた。内装はDAIKEI MILLSが担当。ステュディオスは白を基調としたクリーンなデザインが特徴だが、コンズでは大理石調やウッド調のデザインを取り入れたほか、螺旋階段を設置するなどでステュディオスとの差異化を図っている。
1階は別注アイテムやオリジナルなどを陳列
Image by FASHIONSNAP
商品構成はセレクト8割、オリジナル2割からスタート。セレクトでは「ミドリカワ(Midorikawa)」や「コウタグシケン(Kota Gushiken)」「カレンテージ(CURRENTAGE)」「アンセム エー(ANTHEM A)」「ノマット(Nomat)」「クーキー・ズー(KOOKY ZOO)」「シーシーユー(CCU)」「フィルム フィルド(FILME FILLED)」「カルネボレンテ(Carne Bollente)」など、日本ブランドを中心にラインナップ。全25ブランドのうちの7割が同社として新規で取り扱うブランドだという。これらのブランドは兼ねてより注目していたがステュディオスでは取り扱いが叶わなかったため、新業態を立ち上げることで取引が実現したことも同社にとって大きな収穫だ。このほか、オープンを記念した別注アイテムも充実させている。
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オリジナルでは「ネヴァーフォーゲット(NVRFRGT)」の⼭⽥拓治と、「ジェンイェ(JIAN YE)」のスゲノコウスケとタッグを組み、共同開発。オリジナルアイテムにも強みを持たせるために、いずれも若年層から支持されているブランドに声をかけたという。将来的にはオリジナルの比率を3割ほどに高めたい考えだ。
事業構想から店舗が完成するまでの準備期間は約半年。オープン日を迎え、熊沢氏は「店舗自体は想像通り、良いイメージのまま作り上げることができた」と安堵を示した。オープン初日は平日ということもあり、来店客の7割ほどが外国人観光客。このほか同社社員も来店し、男女を問わず商品を買い上げ、ミドリカワに関しては夕方時点で在庫が残り数点ほどに減るなど、少しずつ手応えを感じているという。初日売上は約300万円を見込む。
今後は来年秋までにかけて5店舗体制を目指す。9月7日に新宿ルミネエストに出店する予定で、2030年までに年商30億円規模の事業に育てたい考え。熊沢氏は「常に新鮮なことをやり続けることが一番大事。一つの物事や価値観に囚われず、新しいことを仕掛けていくお店にしていきたい」と語った。
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