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繊研plus「他社と同じ物を作っていては買いたたかれる。徹底的に差別化した物を開発しないと」――多くのテキスタイルメーカーで聞く話である。コモディティー(汎用)品は競争力がなく、逆に他社で手に入らない商品なら値段に関係なく買ってもらえる。
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その究極は世界でオンリーワンの素材だろう。旭化成のキュプラ「ベンベルグ」、三菱ケミカルのトリアセテート「ソアロン」はどちらも1社で世界シェア100%の繊維だ。ファッション用途を中心に欧米や中国など世界で支持される。
そのソアロンがGSIクレオスに売却されることが決まった。原糸は富山工場で生産され、糸加工、織り・編み、染色加工までテキスタイルのほとんどが北陸3県内で完結する稀有(けう)な素材でもある。
ソアロンはよく「デリケートな繊維」と言われる。各工程での取り扱いが難しく、生産にはノウハウや技術力が必要とされる。北陸産地にとっては、少し厄介だけれど大切に作り育ててきた思い入れのある素材だ。
オンリーワンと言えど、放っておいても客が買いに来てくれるような楽なビジネスはない。常に新しい開発が求められ、価値を認めてもらう努力を怠ればたちまちその存在を忘れられてしまう。新オーナーはソアロンに関わる設備や従業員に加え、産地、アパレルブランド、消費者の期待も継承することになる。
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