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資生堂が8ブランド強化に300億円投資で高収益構造の確立へ 中国事業立て直しは急務

資生堂が8ブランド強化に300億円投資で高収益構造の確立へ 中国事業立て直しは急務

 資生堂が中期経営戦略の「アクションプラン 2025-2026」を策定した。国内におけるプレゼンスの向上および欧米、アジアパシフィックでの成長拡大、不安定な中国市場の打開に向けた注力事項と施策を発表。変化の激しい市場でも安定的な利益拡大を実現するレジリエントな事業構造を目指す。売上1000億円を超える「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ(Clé de Peau Beauté)」「ナーズ(NARS)」をコア3に、「アネッサ(ANESSA)」、「ナルシソ ロドリゲス(narciso rodriguez)」、「イッセイ ミヤケ パルファム(ISSEY MIYAKE PARFUMS)」、「エリクシール(ELIXIR)」、「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」を1000億円ブランドへの成長を狙うネクスト5に据え、ここにアジアでの売り上げ拡大を見込むSHISEIDOのサンケアカテゴリーを加え、2025〜2026年の累積で300億円規模のマーケティング投資を増額する。

 同社の近年の動向は、日本事業が好調に推移し、欧米、アジアパシフィックで着実に成長を詰んでいる一方で、中国事業の回復が遅れ、トラベルテール事業で苦戦を強いられている。そうした中で、変化に対応しながら継続的な成長と利益拡大の実現を目指し、構造改革に着手。改革の軸には、「ブランド力の基盤強化」「高収益構造の確立」「事業マネジメントの高度化」の3つを最優先課題として設定し、2026年のコア営業利益率を2024年現在の3.5%の2倍となる7%の実現を見据える。

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 ブランドの基盤強化において藤原憲太郎社長最高執行責任者(COO)は、「技術力と研究開発力をダイレクトにブランド価値へと変換する」と意気込む。国内で堅調な拡大を見せるSHISEIDOはプレステージ性を強化して、ライン別の価値開発を先鋭化し、多様化および高度化するエイジングケアのニーズに対応。欧米とアジアパシフィックでも成長を加速させる。クレ・ド・ポー ボーテは高付加価値のスキンケアを継続的に強め、高収益性を向上させる。また、強みであるベースメイクカテゴリーにも改めて注力。同ブランドは他ブランドで苦戦を強いられている中国でも好調を維持しているため、引き続き同市場でのプレゼンス拡大を狙う。ナーズは既存の人気商品に加え、近年スキンケア効果を両立するベースメイクカテゴリーの売り上げが拡大。コアカテゴリーの継続育成で、米州・中国をはじめすべての地域で成長を加速させる。

 ネクスト5ブランドは、アネッサが環境共生の哲学をベースにした高機能・多機能製品を強化。日本、中国、アジアパシフィックで市場を上回る成長を狙い、SHISEIDOのサンケアはグローバルで注力する。エリクシールは最先端のコラーゲンサイエンスを基にしたヒーロー商品を軸に、日本市場での強固なポジショニングを図る。加えて海外では収益性を重視した展開と中国での回復に投資していく。回復を目指すドランクエレファントは愛用者基盤の拡大が急務とし、ヒーロー商品の店頭およびメディア投資を積極的に行う。

 中国市場での再起に向けては変化する市場へのスピーディーな対応のため今年4月にブランドのサテライトオフィスを新設。ローカルマーケティングを強化し、グローバル統一のマーケティングと連携して消費者・市場変化に応えられる組織能力を強化する。併せて、底堅い購買力を持つ富裕層から地方都市の中間所得層まで幅広いニーズをとらえたポートフォリオ戦略を整理。ブランド価値の最大化に向けたプロモーション時期や展開、価格戦略など、マーケティングの全体最適化を図る。中国市場について藤原社長は「売り上げの拡大よりもまずは立て直しを急ぐ。厳しい状況ではあるが一部ブランドやカテゴリーは好調を維持しているものもある。ただ、楽観視せずに売り上げはコンサバティブに見込みながら、ブランドの価値基盤の構築に着実に投資し、安定的な成長の実現に注力する」とした。地域別の売上構成比は、2026年までに中国・トラベルリテールを抑え日本および欧米、アジアパシフィックを拡大することで“脱中国依存”を狙う。

 加えて、グローバルでコスト構造改革を掲げ、2025年にかけて400億円超え、2026年は250億円規模のコスト削減を計画。原価率の最適化、マーケティングの運用効率化のほか、組織のスリム化など人件費・固定費の削減といった施策を積み上げていく。なお、不採算ブランド・事業の縮小および撤退については、「長期的な目線で成長・持続性について精査している段階」とし、見立てがつき次第、戦略的な縮小や撤退も辞さない考えを示した。最後に、「我々経営陣はこの2年でレジリエントな構造基盤を作っていくことに全力で取り組む」と意気込んだ。

 同社の取締役体制については、2025年1月1日付けで、廣藤綾子 執行役 チーフファイナンシャルオフィサー チーフ DE&I オフィサーが代表執行役 チーフファイナンシャルオフィサー チーフ DE&I オフィサーに就任。現会長CEOの魚谷雅彦氏が当初予定通り、任期満了で年内で代表執行役も退任する。藤原社長COOは社長CEOとなり、来年以降は廣藤氏と代表執行役2人体制で指揮を執る。

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