東コレ26年春夏はフィジカルショーに限定 参加ブランド数は前シーズンから14ブランド減

「Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 S/S」キーヴィジュアル
Image by: JFWO

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東コレ26年春夏はフィジカルショーに限定 参加ブランド数は前シーズンから14ブランド減

「Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 S/S」キーヴィジュアル
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日本ファッション・ウィーク推進機構(以下、JFWO)が、東京ファッションウィーク「Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 S/S」のスケジュールを発表した。開催期間は9月1日から6日まで。初参加の5ブランドおよび海外2ブランドを含む20ブランドによる「公式デザイナーショー」のほか、海外のファッション団体が率いる3つの「パートナーシップショー」を含む計23のショーを開催する。
「フィジカル形式限定」東コレの新方針
今シーズンのコンセプトは「突然、未来は生まれない」。キーヴィジュアルは、ファッションが生み出される原点であり、デザイナーの純粋なクリエイションが最初に表出される“デザインスケッチ”をモチーフに制作し、クリエイターやファッションウィークが積み重ねた歴史へのリスペクトと未来への希望を表現したという。
JFWOは、今回から東コレ公式スケジュールへの参加条件を「フィジカルショーを開催するブランド」に限定。JFWOの古茂田博事務局長は「世界的にフィジカル発表が主流へと戻っていること、また、デジタルでの表現が溢れる時代だからこそ、より一層フィジカルを尊重すべきだと考えた」とし、この姿勢は今後も継続していく予定だと説明した。全37ブランドが参加した先シーズンと比較すると、参加ブランド数は14ブランド減、そのうち単独でフィジカルショーを開催するブランドで比較すると12ブランド減と大幅に縮小した開催となる。
ブランドにとって金銭的にも負担の大きいフィジカル形式を東コレ公式スケジュールへの参加条件として定めることは、若手ブランドの機会損失に繋がるのではないかという会場からの指摘に対して古茂田事務局長は、規模を拡大している関連イベントでフォローしていく姿勢をアピール。その一例として、フランス・パリ発の国際的な合同展示会「トラノイ(TRANOÏ)」とのパートナーシップのもと今季も開催する第3回「TRANOÏ TOKYO」は、会場を先シーズンのベルサール渋谷ファーストから国立代々木競技場 第一体育館に移し、規模拡大を図る。出展ブランドは約250で、国外からもヨーロッパやアジア、中東、南米など約30ヶ国からの参加が決定。ユニバーサルミュージックが立ち上げた「ユーミュージック(umusic)」や、弓削匠がデザイナーを務める「アダルト オリエンテッド ローブス(Adult Oriented Robes)」、パリ・マレ地区のアートブックショップ「オーエフアール・パリ(Ofr. Paris)」も参加し、ファッションに限らない音楽やアートを含むさまざまなカルチャーを横断したコンテンツを提供する。
目玉は7年半ぶりショー開催のツモリ チサト、バイアールはフェティコに
初日のトップバッターは、2022年にJFWOが発足したサポートプログラム「JFW NEXT BRAND AWARD 2026」グランプリを受賞し、今回が東コレ初参加となる木村由佳の「ムッシャン(mukcyen)」。メディア向けに開催された2026年春夏東コレの説明会には、同アワードの受賞者と審査員も登壇した。グランプリを受賞した木村は「初めてのランウェイ形式での発表に向けては、ブランドとしての軸を大切にしながら、これからも新しい視点を提案できるよう、前向きに取り組んで参ります」とコメント。同アワードの審査員を務めた滝沢直己は、「デザイナーの熱意や想い、デザイナー像そのものが伝わる服作りをしている」と同ブランドを評価した。ムッシャンは同アワードの副賞として、パリで開催されるファッション素材見本市「プルミエール・ビジョン」に招聘され、作品を展示する。また、同アワードの特別賞は、デビューから2シーズン目となる山本淳による「ジュンワイ(Jun.y)」が受賞。開催直前の8月29日に関係者向けに実施される、東コレ2026年春夏の開幕とJFWOの20周年を記念したセレモニーイベントで展示を行う。ムッシャンと同様に初参加となる植田みずきによる「ナゴンスタンス(någonstans)」と山近和也の「アンセルム(ANCELLM)」も初日に、津吉学による「ファンダメンタル(FDMTL)」は9月4日、折見健太による「オリミ(ORIMI)」は最終日のトリにコレクションを発表する。

Jun.y 1stコレクション
Image by: Jun.y

mukcyen 2025年秋冬コレクション
Image by: mukcyen
楽天グループが2020年春夏コレクションからスタートした日本のファッションシーンをエンパワーメントするプロジェクト「バイアール(by R)」では、5周年を迎える舟山瑛美の「フェティコ(FETICO)」が、ビューティブランドの「スリー(THREE)」とのコラボレーションショーを行う。舟山は「フェティコの世界観をより純度高く表現し、私たち独自の美意識を込めた服を通して、女性が自由で自分らしくあることの美しさを伝えたいと思います」とコメントした。
このほか、近年の東京ファッションウィーク関連のアワード受賞などを通して注目を集める「チカキサダ(Chika Kisada)」「ピリングス(pillings)」「ヨシオクボ(yoshiokubo)」「ヴィヴィアーノ(VIVIANO)」「ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)」などの実力派ブランドが参加し、津森千里の「ツモリ チサト(TSUMORI CHISATO)」はブランド設立35周年を記念したショーを実施。ツモリ チサトがショーを開催するのは、2018年3月にパリファッションウィークで発表した2018年秋冬コレクション以来、約7年半ぶりとなる。期間中、渋谷ヒカリエ8階では一般参加可能な関連イベント「35周年 TSUMORI CHISATO♡♡♡感謝♡♡♡♡」も開催。9月3日には、日本の帽子業界をけん引した故・平田暁夫の生誕100周年を記念し、平田の娘・平田欧子や孫の平田早姫らが手掛ける三世代それぞれの帽子ブランドによる“帽子が主役のショー”を行うという。
対象をフィジカル形式での参加ブランドに限定したことに加え、今シーズンからショーのカテゴリーを明確化。単独ブランドによる「公式デザイナーショー」を核としつつ、団体や関連イベント内で発表されるデザイナーやブランドによるショーを「パートナーシップショー」とし、学生や学生団体を主体としたショーは、関連イベントとして「インキュベーションショー」の枠を設けて紹介する。
海外への発信・ビジネス強化の一環として、今回も海外からのプレスやバイヤーを誘致。米・ニューヨーク在住ジャーナリストのユージーン・ラブキン(Eugene Rabkin)をはじめ、ドイツ・ベルリンのセレクトショップオーナーのアンドレアス・ムルクディス(Andreas Murkudis)やスペイン・バルセロナを拠点に活動するファッションエディターのナタリア・アンドレア(Natalia Andrea)、韓国・ソウルを拠点とするストリートフォトグラファーのジミン・ジョン(Jeon Jimin)などが来日予定だという。
東コレ20周年を記念した年間施策を実施
JFWOの前身となる「ファッション戦略会議」は2005年に発足。同10月に初開催となる2006年春夏シーズンのファッションウィークを実施した。その後、現在までの20年間で累計1844のショーを開催。累計参加ブランド数は524ブランドで、海外からは32の国と地域から76ブランドが参加してきた。最多出場はコシノ ヒロコが手掛ける「ヒロコ コシノ(HIROKO KOSHINO)」の30回だという。
今季で20周年を迎えるJFWOは、今季から来季にかけ「世界の継ぎ目となれ - JFW 20 + 20 -」を年間テーマに設定。「創(デザイナー)」「匠(製造者)」「商(小売/アパレル)」に対する支援を通して、日本の繊維産業に貢献したいという創設当初からの理念に基づいたさまざまな取り組みを年間を通して展開していく。なお、JFWOの公式YouTubeチャンネルでは、20周年を記念したティザームービーを公開。今年40周年を迎える「ファッション通信」が所有する映像から、JFWOの20年間を共にしたデザイナーたちやショーの様子がまとめられている。
©︎INFAS.com ©︎JFWO
20周年記念の年間コンテンツとしては、音声カルチャーメディア「アーティストスポークン(Artistspoken)」とのオリジナルPodcast番組を始動する。お笑いコンビ「見取り図」のリリーがナビゲーターとなり、デザイナーや業界関係者、ランウェイを支える裏方プレイヤーをゲストに迎えたトーク番組で、初回は会期直前の8月25日週に配信、来年3月まで継続していく。
このほか、20周年スペシャルアンバサダーとして、俳優の宮沢氷魚を起用。今後年間を通してJFWOのさまざまな取り組みに参加することで、日本発ファッションの魅力を発信する。
最終更新日:
◾️「Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 S/S」スケジュール一覧(8月5日時点)全26ブランド
※★マークは初参加ブランド
【2025年9月1日(月)】
13:00「ムッシャン(mukcyen)」木村由佳(Yuka Kimura)★
17:00「ナゴンスタンス(någonstans)」植田みずき(Mizuki Ueda)★
20:30「アンセルム(ANCELLM)」山近和也(Kazuya Yamachika)★
【2025年9月2日(火)】
12:00「ベンチ デザインアワード フィリピン ファッション ナウ(Bench Design Awards: Phillppine Fashion Now)」ステフ・ヴェラノ(Steph Verano)/カール・ナダレス(Karl Nadales)/ピーチ・ガルデ(Peach Garde)※パートナーシップショー
13:00「グローバル ファッション コレクティブ(Global Fashion Collective)」オールフォーユー(ALL FOR YOU)/タンツォンチェン(TANG TSUNG CHIEN)/ゼロウェイストファッションストーリーウェア(Zero Waste Fashion Story Wear)/ノーネーム(N O N A M E)/ウーリーエックス(WooLeeX)※パートナーシップショー
15:30「グローバル ファッション コレクティブ(Global Fashion Collective)」エージェーン(A-JANE)/サリム(S A L I M)/アヤカ・オオシタ(AYAKA Oshita)/チャリンイェ(CHARINYEH)※パートナーシップショー
17:00 「ヒュンメル オー(HUMMEL 00)」森川マサノリ(Masanori Morikawa)
19:00「ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)」村田晴信(Harunobu Murata)
20:30「ヨシオクボ(yoshiokubo)」久保嘉(Yoshio Kubo)
【2025年9月3日(水)】
14:00「セイブソン(Seivson)」ヅゥチン・シン(Tzu Chin Shen)
15:00「オートモード平田(Haute Mode Hirata)」平田欧子(Ohko Hirata)/平田早姫(Saki Hirata)/平田翔(Show Hirata)
16:30「ピリングス(pillings)」村上亮太(Ryota Murakami)
19:00「フェティコ(FETICO『by R』)」舟山瑛美(Emi Funayama)
【2025年9月4日(木)】
13:30「ツモリ チサト(TSUMORI CHISATO)」津森千里(Chisato Tsumori)
15:30「マロニエファッションデザイン専門学校 2026S/Sコレクション(MARRONNIER COLLEGE OF FASHION DESIGN 2026S/S Collection)」※インキュベーションショー
19:00「エムエスエムエル(MSML)」コウジ(KOJI)/ツヨシ(TSUYOSHI)/カツマ(KATSUMA)
20:30「ファンダメンタル(FDMTL)」津吉学(Gaku Tsuyoshi)★
【2025年9月5日(金)】
13:00「ピーエッチ モード トーキョー バイ エムエフエフ(PH MODE × TYO by MFF『Manilla Fashion Forward』)」アロディア・セシリア(Alodia Cecillia)/エリス・コ&アヤ・レイカ(Ellis Co & Aya Reika)/エイドリアン・シャルエル(Adrienne Charuel)/山口葵(Aoi Yamaguchi)※パートナーシップショー
14:30「ミツル オカザキ(MITSURU OKAZAKI)」岡崎満(MItsuru Okazaki)
16:00「チカ キサダ(Chika Kisada)」畿左田千佳(Chika Kisada)
18:30「サポートサーフェス(support surface)」研壁宣男(Norio Surikabe)
20:00「ヴィヴィアーノ(VIVIANO)」ヴィヴィアーノ・スー(Viviano Sue)
【2025年9月6日(土)】
17:30「ユェチ・チ(YUEQI QI)」ユェチ・チ(Yueqi Qi)
19:00「ウィシャラウィッシュ(WISHHARAWISH)」アクラサンティスク・ウィシャラウィッシュ(Wisharawish Akarasantisook)
20:00「オリミ(ORIMI)」折見健太(Kenta Orimi)★
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