「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」銀座本店が2004年のオープン以来初のリモデルを実施し、9月17日に関係者向けに内部を公開した。テーマは「GINZA WONDERLAND」。米国に店舗があった当時を振り返り、「原点回帰」として、行くだけで高揚感を生むような感情価値に重きを置いた店づくりを体現したという。デザイナー 山縣良和による私塾「ここのがっこう(coconogacco)」のポップアップスペースをはじめ、バーニーズとしても新たな取り組みも行い、“新生バーニーズ”の姿を打ち出している。
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バーニーズ ニューヨークは1923年に米国にオープン。「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」や「クリスチャン ルブタン(Christian Louboutin)」「プロエンザ スクーラー(Proenza Schouler)」といった新たなデザイナーズ発掘および発信の場としても支持され、創業時からニューヨークのファッションシーンを牽引するなど、アイコン的存在だった。アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)はバーニーズを「フリースピーチ(=表現の自由)な店舗」と評し、顧客の一人だったという。しかし2019年にアメリカ合衆国連邦倒産法第11章の適用を申請。競売にかけられ、オーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group、以下ABG)が資産を買収した。現在は全店舗を閉店するなど紆余曲折を経て、バーニーズブランドは今年で102年を迎えた。
日本へは1990年に上陸し、新宿に1号店を出店(現在は閉店)。銀座本店のほか、横浜など5店舗を展開している。コロナ禍で低迷し、現在は回復傾向にあるものの、インバウンドの波に乗り切れなかったことなどを理由に売り上げが伸び悩んでいる。特に新規顧客の獲得に苦戦しているという。バーニーズ ジャパンのペニー・ルオ(Penny Luo)代表取締役社長はその要因として「商品差別化への対応不足」「競合の増加」「入店数減少」の3点を挙げ、「バーニーズが過去の存在になっている」と分析。今後はバーニーズの魅力として「感情価値」を積極的に打ち出すことで原点回帰を図る。これを「ワンダーランド戦略」と命名し、銀座本店のリモデルはそのモデルケースとなる重要な施策としている。ベンチマークはディズニーランドだ。
「アジアから世界へ」 新生バーニーズ銀座本店で発信
地下1階、地上2階構成の大型店である銀座本店は、実店舗が日本にしかないことからグローバルフラッグシップストアと位置付けられている。リモデルでは、妥協しない「編集力」、ニューヨークのダウンタウンから着想したコンセプトを落とし込んだ「世界観」、新鮮な気持ちで接客・サービス提供を行うことで深い関係性を構築する「顧客」の3つを軸に据えたという。
目玉の一つとなるのは、地上1階入り口に大々的に構えるポップアップスペース「UNION SQUARE」。感度の高いブランドやアーティストとのコラボレーション企画を期間限定で展開していくスペースで、オープン時はバーニーズとしては初めての取り組みとなるここのがっこうをコラボレーターに迎えた。
開催期間中はここのがっこうが輩出した注目ブランドを多数紹介。第1週は「ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)」「シュガーヒル(SUGARHILL)」「ワタルトミナガ(WATARU TOMINAGA)」の3ブランド、第2週は「第42回毎日ファッション大賞」で新⼈賞・資生堂奨励賞を獲得した「フェティコ(FETICO)」と、先日の「LVMH Young Fashion Designers Prize(以下、LVMHプライズ)」でグランプリに輝いた「ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)」の2ブランド、そして第3週は「リトゥン バイ(written by)」のアイテムを展示販売する。



Image by: FASHIONSNAP
グローバルなラグジュアリーストアとしての認知が強いバーニーズが日本のアートスクールであるここのがっこうをフィーチャーするのは異例。ペニー社長は、今後のバーニーズを「ニューヨークから世界へ」から「アジアから世界へ」発信するストアとしての存在感を高めたい考えがあり、ここのがっこうとのコラボはまさにそれを象徴する取り組みだ。
山縣は「オープニングに合わせてこれほど大々的にやっていただくというオファーは初めてだったのでとても嬉しかった。これからここのがっこうの歴史を作っていく上でも大事なポイントだと思った」とコメント。フェティコやソウシオオツキのアワードでの活躍のタイミングとも重なり、「洗練されたものが集まるところに若手が参加する。このコントラストが双方の良い刺激になることを期待したいですし、相乗効果で盛り上げていきたい」と続けた。コラボに合わせて、リニューアルオープン時のウィンドウディスプレイも山縣が手掛けている。


Image by: FASHIONSNAP
カフェ、数秘術、ギフトコンシェルジュ、ポップコーン......五感で楽しむ買い物体験を提供
このほか、地上1階にはカフェ「BARNEYS CAFE」やギフトコーナー「CHELSEA GIFT」、上質な嗜好品が並ぶ「SOHO COLLECTION」といった新設スペースを設置。いずれも「心を動かすコンテンツ」として導入した。リモデル前にあったスーツ売り場は地下1階のメンズフロアに移設し、ウィメンズのバッグは売り場を縮小した。






Image by: FASHIONSNAP
顧客との接点に関連する取り組みでは、コンシェルジュデスクを新設。買い物のサポートに加えて、アニバーサリーサプライズのサポート、近隣のスポット情報の提供、外国人観光客の言語対応などを行う。また、パーソナルスタイリストやギフトコンシェルジュといったサービスも開始するなどライフスタイルの全面的なサポートを充実させる。なお、ウィメンズフロアには数秘術が楽しめるコーナーを設け、数秘術の結果をもとにスタッフとのコミュニケーションが生まれるような施策も取り入れた。
入り口ではニューヨーク発祥のステーキハウス「ウルフギャング・ステーキハウス by ウルフギャング・ズウィナー(Wolfgang’s Steakhouse by Wolfgang Zwiener)」とコラボしたポップコーンを販売。香りからワンダーランドの世界観を創出するなど、五感で楽しめる店づくりを目指したという。これらの施策から、店舗の滞在時間や来店頻度、SNSでの拡散の増加を狙う。

店舗入り口に設置されているポップコーンのキッチンカー
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将来的には他の4店舗でもそれぞれの特長を生かし、“大人のワンダーランド”を作っていきたい考えだ。

ペニー・ルオ社長
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