バーニーズ ニューヨークのロゴ
Image by: FASHIONSNAP
ラオックスホールディングスが、高級セレクトショップ「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」を日本で展開するバーニーズジャパンの全株式をセブン&アイ・ホールディングスから取得し、子会社化すると発表した。取得額は非開示としている。
バーニーズジャパンは現在、国内に旗艦店6店舗、アウトレット店4店舗のほか、国内ECサイトを運営(2023年2月末時点)。2023年2月期の通期実績は、売上高127億1100万円で前期から減収し、営業損益、経常損益、純損益は直近3年ですべて赤字となるなど苦戦が続いている。
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ラオックスホールディングスは、バーニーズジャパンの子会社化の目的として「コロナ禍を経た新たな時代における国内外の富裕層の消費ニーズに応えるべく、新しいスタイルのリテール事業を展開していく」ことを掲げており、バーニーズジャパンの高いブランド力とラオックスのインバウンド事業のノウハウなどを掛け合わせることで、バーニーズジャパンの売上拡大および海外向けECや貿易輸出等の事業領域の拡大が可能となり、持続的な成長と企業価値向上が見込めるとしている。株式譲渡は5月1日に予定されている。
◆伊勢丹から歴史がはじまったバーニーズジャパン
バーニーズジャパンは、1989年に伊勢丹(現 三越伊勢丹ホールディングス)が米国バーニーズからマスターライセンスを受け、完全子会社として設立。翌年に日本1号店を新宿にオープンした(※2021年2月末に営業を終了)。伊勢丹は事業再編に伴い、2006年6月に住友商事と東京海上キャピタルに株式を譲渡。その後、バーニーズ ニューヨークは神戸や福岡に店舗を拡大した。クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン出身の上田谷真一氏が代表取締役社長に就任後は、新宿店の全館リモデルなどの施策を通じてさらなる国内店舗の客層拡大を図った。セブン&アイ・ホールディングスは、2014年1月にバーニーズジャパンの株式を東京海上グループのファンドから約60億円で取得し、住友商事に次ぐ第2位の株主に浮上。2015年2月に住友商事から全株式を取得し、完全子会社化した。
セブン&アイ・ホールディングスはコンビニエンスストア事業のほかに、バーニーズジャパンや百貨店のそごう・西武、都市型スポーツライフスタイルセレクトショップ「オッシュマンズ(OSHMAN'S)」など多様な業態を展開してきたが、「物言う株主」と呼ばれる米アクティビストのバリューアクト・キャピタルからはグループの経営体制の見直しを求められてきた。そごう・西武に関しては売却が決まったが、当初の予定から2度延期されるなど交渉が難航している。また、2025年までの中期経営計画の内容を修正し、イトーヨーカ堂が展開するアパレルのうち、肌着を除く紳士、婦人、子どもの衣料品から撤退することを発表。バーニーズ ニューヨーク事業については発表当時、継続する方針だと明かしていたが、一転してラオックスHDに手渡す。
◆コロナ禍の不振から再起を図るラオックスHD
ラオックスHDはインバウンド事業に力を入れてきたが、2018年12月期から赤字を計上。さらに新型コロナウイルス感染拡大が大打撃となり、同事業の店舗大量閉店や人員削減を余儀なくされるなど苦しい状況が続いていた。3期連続で赤字決算となったが、構造改革が奏功し2022年12月期は黒字に転換。今期(2023年12月期)は、回復傾向にあるインバウンド事業のビジネスモデルの再構築や、日本客に向けた新事業の開発に取り組むとともに収益構造改革を推進し、確実に利益が創出できる事業体質へと変革を進めていくという。
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