イタリア・ウンブリア州ソロメオを本拠地とするファッションブランド「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」が10月21日、ブルネロ・クチネリ会長の9年ぶりとなる来日を記念し、イタリア大使館官邸で「真善美」と題したレセプションを開催した。日本庭園で2026年春夏コレクションのプレゼンテーションが行われ、イタリアと日本の美が融合。クチネリ会長は日本への敬意を示すとともに自身の信念と希望についてスピーチし、縁のあるゲストらが集う会場を温かいムードに包んだ。また、この日に合わせて東京タワーがイタリア国旗カラーにライトアップされた。
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ジャンルイジ・ベネデッティ駐日イタリア大使とともにステージに上がったクチネリ会長は、「日本に魅了されています」と話し、「日本の尊厳、日本人が持つその相互尊重の精神は、他に類を見ません」と、日本の精神文化への深い敬意を示した。そしてゲストとして来場した渡辺謙をステージに招き、自身の人生を変えた2本の映画について、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の「ニュー・シネマ・パラダイス」と、渡辺謙が出演する「ラストサムライ」であることを告げた。
自身の生い立ちについても触れ、農家の出身であり、父や兄弟が過去に蔑まれる経験をしたことを明かすとともに、工場を立ち上げた際の信念は「人間の尊厳のために仕事をしよう」というものだったと語る。そして、紀元後6世紀の聖ベネディクトゥスの「Ora et labora et lege(祈り、働け、そして読書せよ)」の精神を引用し、精神的な修練と肉体的な労働、そして学びのバランスこそが、人生において不可欠であると説いた。
とくに若者に向けて訴えかけたのは「希望」について。「若い人たちに、人生における希望というものを伝える必要があります。何も恐れることはありません。明日からその恐れを希望に変えてください」とエールを送るとともに、「今、人類において精神的あるいは文化的な改革が起ころうとしています。そういったものは若い人たちから生まれるのです。ですから教える立場にある、敬意を払われるべき人たちが傲慢であってはなりません」とメッセージを送った。
最後に、来場者に向けて「みなさん上を見て、夜空の星を見てください」と語りかけ、「今、多くの人々は下を向いて歩いています。それが今の人間が抱える問題です。空こそが、我々の人生を輝かせてくれるはず」と、見上げた先に希望が見出せることを伝えた。
スピーチの途中、クチネリ会長や渡辺謙らが薄手のドレスをまとった女性モデルらを気遣い、上着を着せるといったジェントルマン精神が体現された一幕も。また、当日が渡辺謙の誕生日だったことから、会場から祝福の拍手が贈られた。
Video by FASHIONSNAP
ランウェイ形式で披露された2026年春夏コレクションにも、クチネリ会長の哲学が色濃く反映されていた。ウィメンズコレクションは「ELEMENTS RESONANCE(要素の共鳴)」、メンズコレクションは「The Shape of Light(光の形)」をテーマに掲げ、エレガントで知的に、輝きをまとうような洗練されたスタイルを提案。モデルとして森星がファーストとラストルックを飾り、ゲストの石田ゆり子、小雪、杏、玉森裕太、大政絢らも来場者とともにプレゼンテーションを楽しむなど、イタリアと日本の文化が融合する華やかな一夜となった。
最終更新日:

ジャンルイジ・ベネデッティ駐日イタリア大使と創業者兼会長ブルネロ・クチネリ(中央)
Image by: Brunello Cucinelli

来場したゲストとブルネロ・クチネリ
Image by: Brunello Cucinelli

森星
Image by: Brunello Cucinelli

森星
Image by: Brunello Cucinelli

ブルネロ・クチネリと渡辺謙
Image by: Brunello Cucinelli

石田ゆり子
Image by: Brunello Cucinelli

小雪
Image by: Brunello Cucinelli

玉森裕太
Image by: Brunello Cucinelli

杏
Image by: Brunello Cucinelli

大政絢
Image by: Brunello Cucinelli

イタリア国旗カラーにライトアップされた東京タワー
Image by: FASHIONSNAP
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