大丸松坂屋のファッションサブスク「アナザーアドレス」がリアル進出　来年2月から約4ヶ月限定オープン

Image by: 大丸松坂屋百貨店

　大丸松坂屋百貨店が運営するファッションサブスクリプションサービス「アナザーアドレス（AnotherADdress）」が、初のリアルストアを出店すると発表した。オンラインとオフラインを連動させたOMOストア「AnotherADdress TOKYO」を、コレド日本橋3階に2026年2月6日から中期ポップアップとしてオープンする。

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　アナザーアドレスは2021年3月にサービスを開始。百貨店業界初のファッションサブスクリプションサービスとして注目を集めた。当初はウィメンズのみのラインナップだったが、2023年にメンズ、2024年にはアートの取り扱いを開始し、カテゴリーを拡充。ブランド数は460を超え、インポートでは「メゾンマルジェラ（Maison Margiela）」や「マルニ（MARNI）」、ドメスティックでは「メゾンミハラヤスヒロ（Maison MIHARA YASUHIRO）」や「ビューティフルピープル（beautiful people）」「アドーア（ADORE）」のほか、「フレイアイディー（FRAY I.D）」といったマッシュグループのブランドを揃えている。これらのブランドは立ち上げ時から回転率が高く、人気ブランドの常連となっている。アイテム別では、これまでは通年で着られる商品を中心に仕入れていたためワンピースに偏重していたが、近年はウールコートなど季節に応じた商品を投入し、好調に推移しているという。

　今年12月1日時点で会員数は約37万人。売上高および有料会員数ともに直近の2025年度第3四半期（2025年3月〜11月）においては前年同期比20％増程度で動いている。主な利用者層は都心で働く40代前後の女性がボリュームゾーン。港区に加え、豊洲や晴海、月島といったエリアからの需要が高い。

　サステナビリティにも力を入れており、「服は1着も捨てていない」（事業責任者の田端竜也氏）のも特筆すべき点。シミや汚れは修繕加工し、着られなくなったものはパターンを引き直してアップサイクルしているほか、端切れをアートや什器に活用することにより、持続可能な循環型ビジネスモデルを実現している。年間CO2排出削減量は利用者一人当たり250kgに相当するという。

◆仮説検証期を経て顧客拡大期に突入　リアルストアは有料会員獲得の施策の要に

　2024年までの「仮説検証期」を経て、事業としての土台は整ったが、10％以下というサービス認知度と、有料会員化率に課題があるという。5年目を迎えた2025年からは「顧客拡大期」と位置付け、有料会員数の増加を目指すとともに、2027年度までに営業黒字化を目指している。リアルストアの出店はその重要な施策の一つ。百貨店発のサービスとして、プロのスタイリストの力による接客の強みを活かしていくという。

　出店先は「東京駅周辺」を第一条件に設定。「60坪以上のスペース」にこだわり、中長期出店を前提としていたため、自社店舗での展開は叶わなかったという。コレド日本橋でのリアルストアでは、スマートフォンからの取り寄せアイテムを含め、常時800〜1000点を揃える予定。アート作品も並べる。会員数が伸びる時期として、2月から6月までの4ヶ月強の期間で運営する。店内はクローゼットをイメージした、プライベートのような落ち着きのある空間を演出。カフェのようなラウンジスペースも備える。

　田端氏は、アナザーアドレス立ち上げの段階からリアルストアの出店を構想。百貨店にとってはオリジナリティの高いコンテンツになるとし、将来的には連携していきたい考えだ。サービスの着想源となった米国の「レント・ザ・ランウェイ（Rent The Runway）」はコロナ禍を機にリアル店舗を全店閉店しているが、田端氏は独立系であるレント・ザ・ランウェイに対し、アナザーアドレスは大丸松坂屋百貨店のほか、パルコも擁するJ. フロントグループの店舗網を活用できる点が強みとし、常設店舗の出店も視野に入れている。アナザーアドレスに参画するブランド側もリアルストアの出店には好意的で、もともと「リアル店舗をやらないのか」という声も届いていたという。田端氏はリアル店舗出店を機に「価格・所有・服迷子の3つからの解放を目指したい」と改めて意欲を示した。