
ビューティ業界は2025年も目まぐるしい変化と進歩を遂げた一年となりました。振り返り前編では、続々参入するファッションブランドのビューティ展開や、もやは主流となったメンズアンバサダーの起用など4つのトピックを取り上げました。後編では、「メンズビューティの拡大」「最先端技術の活用」「大手3社決算」の3つのトピックから振り返りと、2026年の戦略について。
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目次
メンズビューティの拡大
「2025年のビューティ業界の振り返り・上」で取り上げた「メンズアイドルのアンバサダー起用」は、“推し活”ブームの後押しもあるとお伝えしました。この「推し活」は、女性だけでなく男性が男性アイドルに憧れ、メイクを真似する動きにもつながります。かつてはファッションやヘアスタイルへの憧れが主流でしたが、今やK-POPや日本の男性アイドルがメイクやスキンケアを超えた肌管理をSNSで公開するのは、性別を問わずスターの日常です。このトレンドは一般男性にも広がり、「好きなK-POPアイドルに憧れて」メイクを始める男性は少なくありません。
インテージによると、男性化粧品市場は2024年に前年比14.8%増の497億円に達し、2025年も拡大傾向です。男性が専用品以外も使う実態を考慮すると、実際の使用規模はさらに大きいと見られます。フレグランスを含めれば市場は一層拡大します。また広告モデルの男女併用も、マーケティングの“通常モード”となりそうで、もはやジェンダーレスという言葉さえも、使われない時が来そうです。
・ロエベ パルファムが新作フレグランス発売 マドリードにインスパイアされたジェンダーレスな香り
・YSLのラグジュアリー香水「ル ヴェスティエール デ パルファム」から新たな香り
・ロアリブが新ライン発売 米や発酵の力に着目した3アイテムをラインナップ
・韓国発「ラカ」が20色展開の新作ティントを発売 デザイン性のあるクリアボトル
・シーボンが本社1階に初のジェンダーレスサロンをオープン 来年の60周年に向け戦略推進
最先端技術の活用
ビューティ業界でもAI・テクノロジーの活用が進化しています。これにより、より効果効能へのアプローチが高まったり、これまで差別化のひとつとして言われてきた“パーソナライズ化”が加速したりしています。
資生堂ジャパンが、店頭で応対・接客で活用する端末機器「ビューティ・タブレット」に、生成AIを活用した独自のチャットボットを導入し、顧客ニーズに寄り添う満足度の高い対応を可能にしたのをはじめ、日本におけるパーソナライズの先駆けであるポーラ「アペックス(APEX)」では、2019年にすでに動画とAI技術を用いた業界初の肌分析技術を導入していて、2025年のリニューアルでは、同技術の優位性を市場に伝えやすくし、肌状態をスコア化し、今の肌状態を分析するだけでなく、今後表れやすい肌の変化の“兆し”をより多角的に可視化しています。
また製品においても、コーセーが手掛ける「コスメデコルテ(DECORTÉ)」の最上級シリーズ「AQ」が、量子コンピュータを用いて計算した化粧品処方のクレンジング美容液「毛穴美容液オイル」を発売して大きな話題を集めるなど、各社の最先端技術の導入が進んでいます。
大手3社決算からみる今後の戦略
日本の主要化粧品メーカーである資生堂、花王、コーセーの2025年上半期(2025年1〜6月)の連結決算を見ると、事業環境の変化に対応しつつ、国内市場の堅調さや構造改革の成果が見られる一方で、海外市場、中国や欧米での課題が浮き彫になる結果でした。
花王の2025年上半期は増収増益で着地。化粧品事業において、DX推進や高付加価値戦略が奏功し、「キュレル(Curél)」「ケイト(KATE)」などが、ヘルスケア事業では「メルト(melt)」「エッセンシャル(Essential)」などが貢献。ASEANや欧州での伸長も収益改善に寄与しています。コーセーは増収減益となり、国内市場では「コスメデコルテ」「アルビオン」が牽引し好調に推移しましたが、中国を含むアジア事業や、北米での「タルト(tarte)」が苦戦。のれん償却や物流費増加に伴う販管費増が利益を圧迫したことが、減益の要因となりました。
資生堂は上半期業績で、日本事業の構造改革で増益を達成するも、中国・海外事業の不振で減収となりました。特に米州・欧州での傘下ブランド「ドランクエレファント」の苦戦が響きました。通期では回復傾向にある中国市場の挽回に注力していましたが、11月に2025年12月期の見通しの下方修正を発表し、連結最終損益(国際会計基準)が520億円の赤字になるとしました。これは、主に米州事業における、のれんの減損損失468億円を計上したことに起因。ドランクエレファントの不振が続き、米国事業の収益性が低下したことにあります。同ブランドは現在、ポジショニング再構築と在庫適正化を最優先で進めています。長期の業績低迷と構造改革を経て策定した2030年へ向けた中期経営戦略では、「ブランド力向上」「グローバルオペレーション進化」「サステナブルな価値創造」を柱とし、R&Dを核に「スキンケア」「サンケア」を中心とする領域へ経営資源を集中投下することで、再成長を目指します。
資生堂がR&Dを核にスキンケア・サンケアに注力しつつ海外市場の巻き返しを図る一方、花王はグローバル展開を加速させ2027年までに海外営業利益比率7割を目指し、コーセーは2026年1月1日に持株会社に移行。グローバルサウス市場を強化するなど、新中長期ビジョン「Milestone 2030」で海外売上高比率50%以上を掲げています。国内大手化粧品3社はそれぞれ異なるアプローチで新たな成長戦略を推進。国内の堅調さを基盤としつつも、変動する海外市場での成長確保と事業構造の最適化が、日本の化粧品業界の持続的成長に向けた共通の課題と戦略になりそうです。
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