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「普通のことが喜びに」元マリメッコデザイナー 石本藤雄の感性に触れる美術館が誕生

文・河合華子

デザイナー・アーティストの石本藤雄、建築家の伊東豊雄

(左から)デザイナー・アーティストの石本藤雄、建築家の伊東豊雄

Image by: FASHIONSNAP

デザイナー・アーティストの石本藤雄、建築家の伊東豊雄

(左から)デザイナー・アーティストの石本藤雄、建築家の伊東豊雄

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デザイナー・アーティストの石本藤雄、建築家の伊東豊雄

(左から)デザイナー・アーティストの石本藤雄、建築家の伊東豊雄

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 デザイナー・アーティストの石本藤雄のコレクションを軸にした「石本藤雄デザインミュージアム」が、同氏の故郷である愛媛・松山市で誕生する。同施設は愛媛の地域資源を基盤に事業を展開するYES LOCALが運営。12月19日のオープンに先駆けて開催した発表会では、石本とミュージアムの設計を手掛けた建築家の伊東豊雄が登壇した。

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 石本は、1941年愛媛県砥部町出身。1964年東京藝術大学美術学部工芸科卒業。1970年にフィンランドに移り、フィンランドを代表する「マリメッコ(Marimekko)」では30年以上にわたりテキスタイルデザイナーを務め、400種類以上のデザインを手掛けた。同国の老舗陶磁器ブランド「アラビア(ARABIA)」のアート部門にも属し、陶芸制作に取り組むなど、フィンランドを拠点にグローバルに活躍してきた。

 ミュージアム設立の出発点となったのは、石本がデザインをプロデュースするライフスタイルブランド「ムスタキビ(Mustakivi)」だ。同ブランドは、YES LOCALのグループ会社であるFLOWERSの代表取締役であり、同ミュージアムの初代館長を務める黒川栄作氏がフィンランドで見つけたヴィンテージ品や石本の作品を多数収集しており、石本との交流を深めたことから始動した。2024年には、直営店「ムスタキビ ハウス(Mustakivi house)」を愛媛・松山市の松山城付近にオープン。石本がデザインしたアイテムだけでなく、ヴィンテージアイテムやフィンランドのセレクト家具も揃えている。黒川氏の「石本藤雄さんのコレクションを未来に残したい」「愛媛県に石本さんの創作を通じて新たな文化の拠点を作りたい」という思いから、より多くの人に作品を見てもらうための次なる展開として、今回のミュージアム設立に至ったという。

 建築設計は、日本を代表する建築家・伊東豊雄が担当。50年にわたりフィンランドで暮らした石本の生き方に敬意を表し、来館者をまるで森へと招き入れるかのようなデザインに仕上げる。建物は地上3階建てで、1階は誰でも訪れることのできるミュージアムストア、2階と3階が作品の展示スペースとなる予定。空間デザインの最大の特徴は、1階から3階までを貫くように並ぶ木柱だ。石本の作品に通ずる「自然へのまなざし」から、木材を意匠としてだけでなく構造としても採用。ランダムに配置することで、木立の中にいながら作品を鑑賞できるような空間を目指したという。入り口には半屋外のスロープを設置し、初めて伊東が土地を訪れた際に構想した「街から自然に引き込まれていくようなアプローチ」を計画。曲線を描くスロープの中央には中庭も設け、屋外にも作品を展示する。

「石本藤雄デザインミュージアム」の建築模型

「石本藤雄デザインミュージアム」の建築模型

Image by: FASHIONSNAP

 ミュージアムコンセプトは、「ilo(フィンランド語でよろこびの意味)を、見つけなおそう」。館内では、石本の作品の魅力を展示を通して紹介するとともに、ミュージアムグッズをはじめとする商品やサービスを提供することで、訪れた来館者一人ひとりが自らの「ilo」を見出すことを目指す。発表会では、同じ年に生まれたという石本と伊東の2人が登壇し、「特別なilo(喜び)に出会えるミュージアムを目指して」をテーマにトークセッションを実施した。

 伊東は、「自然物を立体にしたりテキスタイルにする石本さんの姿に感銘を受けている」と話し、幾何学の上に成り立つ建築と自然とのギャップについて説明した上で、今回の設計では「石本さんの原風景に近づけるため、コンクリートの中に“内なる自然”として再現した」と語った。また、自身がアルヴァ・アアルトの建築を見るためにフィンランドを訪れた際、「森の情景が印象的だった」と振り返り、「建物の中で木が林立したような風景を再現できたらと思った」と説明。さらに、“内なる自然”とともに大切にしている「安らぎ」について触れ、「人が安らげるような居場所を作ることを常に心がけている。石本さんの作品からはホッとする印象を受けることが多く、学ぶことが多い」と話した。

 一方石本は、初めて設計モデルを見た際に「元の地形が生かされた、美術館に誘導する坂道に感激した」と振り返った。「木柱が並ぶ空間では、木の上に枝が茂っているようにテキスタイルを展示するアイデアをもらった」とプロジェクトチームとのエピソードを明かし、「中庭にちょっとした木が茂っていて、なんとなくある小さな野の花もいいなと思う」と完成への期待を寄せた。 

 フィンランド語で“喜び”や“楽しい”を意味する「ilo」について、石本は「作り上げた喜びではなく、ちょっとした日常の喜び」だと説明。自身が手がけたマリメッコのデザインも、日常のそばにあるものに着想を得ていたと話す。日々の散歩の中で植物の写真をたくさん撮っているという石本は、「些細なことだが、日々にいろんな喜びがある。突然起こるものではなく、いつもある普通のことが喜びだと思う」と自身の考えを語った。

デザイナー・アーティストの石本藤雄

デザイナー・アーティストの石本藤雄

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建築家の伊東豊雄

建築家の伊東豊雄

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 発表会では、ミュージアムストアで販売するオリジナルアイテムの一部も披露された。石本の作品に度々登場する四弁の花「Kukkia(フィンランド語で花の意味)」をモチーフにした半磁器製のマグカップや、石本の作品からトレースされた形のブローチ、オーガニックコットンのエコバッグなどを揃える。石本作品の魅力である、わずかに不揃いな形や自然にゆらぐ曲線なども再現し、細部にもこだわったという。そのほか、オリジナルのテキスタイルを用いたトートバッグやポーチの販売も予定している。

ミュージアムストアで販売するオリジナルアイテム
ミュージアムストアで販売するオリジナルアイテム
ミュージアムストアで販売するオリジナルアイテム

ミュージアムストアで販売するオリジナルアイテム

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最終更新日:

◾️石本藤雄デザインミュージアム
開館日:2026年12月19日(土)
所在地:愛媛県松山市大街道 3-2-40

文・河合華子

Hanako Kawai

FASHIONSNAP 編集記者

大阪府出身。同志社大学卒業後、メーカーの商品企画&PR、編集プロダクションを経てレコオーランドに入社。学生時代、交換留学で滞在したパリでファッションウィークに出会い、ファッションエディターの仕事に関心を持つ。フランスのエスプリが息づくライフスタイルが理想。

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