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2026年秋冬ウィメンズ #05 ロンドンの注目株──アップカミングブランド4選

ザ ヴァリー、ペトラ、ゴヤゴマ、エー レター

 若手デザイナーのゆりかごとして知られるロンドン。ファッションの名門校が揃うこの都市からは、毎シーズン新たな才能が羽ばたいていく。ロンドン・ファッション・ウィークで出合った、アップカミングなブランドを紹介。LVMHプライズのセミファイナリストにも選出された新星「ザ ヴァリー(THEVXLLEY)」と「ペトラ ファーゲルストロム(PETRA FAGERSTRÖM)」をはじめ、フィービー・ファイロのもとで経験を積んだ「ゴヤゴマ(GOYAGOMA)」、独自のクラフトが際立つ「エー レター(A LETTER)」をピックアップ。

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ザ ヴァリー THEVXLLEY

Image by: THEVXLLEY

Image by: THEVXLLEY

Image by: THEVXLLEY

 今季のロンドン・ファッション・ウィークで話題を呼んだのが、スペイン・アンダルシア出身でロンドンを拠点とするダニエル・デル・ヴァレによる「ザ ヴァリー(THEVXLLEY)」の鮮烈なデビューショーだ。2026年度LVMHプライズのセミファイナリストにも選出された新星で、アートと花、クラフトを融合した造形的な世界観で喝采を浴びた。

Image by: THEVXLLEY

Image by: THEVXLLEY

 スペインで芸術を学んだ後、正規のファッション教育を経ずに、独学で表現を磨いたというヴァレ。祖母から受け継いだ刺繍、母から学んだ陶芸、父のパン作り(実家はパン屋)といった三世代の手仕事に、自身の実践を重ねることで昇華した独自のクラフトアプローチが、ブランドの核となっている。

Image by: THEVXLLEY

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 今季披露したデビューコレクション「The Narcissist」は、3年をかけて制作。故郷アンダルシアの伝統陶器や実家のパンを用いたピース、母のウェディングドレスを再解釈したルックなど、自身のルーツと素材実験を結びつけた。フローリストとしての経験も色濃く反映され、生花を取り入れたり、100年前の型で制作されたワックスフラワーを用いたスタイルが印象的。リアルクローズの枠を超えた"ウェアラブルアート"として、新たな可能性を切り拓いている。

ペトラ ファーゲルストロム PETRA FAGERSTRÖM

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

 スウェーデン出身でロンドン在住のペトラ・ファーゲルストロム(Petra Fagerström)は、今季のロンドン・ファッション・ウィークに初参加し、プレゼンテーションを開催。2026年度LVMHプライズのセミファイナリストにも選ばれた注目株だ。

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

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 デザインを始めたきっかけは、かつてフィギュアスケートの競技選手として自身の衣装を制作したこと。舞台で求められる華やかさとプレッシャーの共存を体感した記憶が、創作の原点にある。パーソンズ・パリで学んだ後、「アクネ ストゥディオズ(Acne Studios)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」で経験を積み、セントラル・セント・マーティンズでMAを修了した。

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

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 ブランドを象徴するデザインは、独自の立体プリーツ"レンチキュラープリーツ"だ。二方向にプリントされた生地を手縫いで折り畳み、アイロンで形作ることで、角度によって色や柄が変化し、ユニークな視覚効果を生み出す。静止画では魅力が伝わりにくいため、ぜひ動画や実物で確認してほしい。

 2026年秋冬シーズンは「After Everything I Did for You」と題し、ルーツであるフィギュアスケートの世界から着想を得た。選手を陰から支えるコーチや母親たちに着目し、規律と献身、支配と愛情が交錯する女性の複雑な内面をデザインに落とし込んでいる。

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

 特に印象的なのがフェイクレイヤードの手法。ダウンアウターと花柄ジャケットを重ね着しているように見えるルックは、実はアウターとジャケットが一体化したピース。花柄のビジューをあしらったドレスにボアジャケットを合わせたスタイリングは、スケーターのリンクサイドの着こなしにヒントを得た。グラマラスな要素を用いながらも退廃的でダークなムードが漂う独自の世界観は、華やかさの裏に潜む過酷さを映し出しているようだ。

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

ゴヤゴマ GOYAGOMA

Image by: FASHION EAST

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 ジョナサン・アンダーソンやキム・ジョーンズ、シモーン・ロシャらを多くの著名デザイナーを輩出してきた、若手支援の合同ショープラットフォーム「ファッション・イースト(FASHION EAST)」。今季、新たに参加したのが、トライセリン・プラット(Traiceline Pratt)による「ゴヤゴマ(GOYAGOMA)」だ。

Image by: FASHION EAST

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 バハマ出身・ロンドン在住のプラットは、米国の大学で陸上競技と並行してファインアートを学んだ後、ファッションへと転向した経歴を持つ。セントラル・セント・マーチンズのMAウィメンズウェア・コースを卒業後、2025年にブランドを設立。「フィービー ファイロ(Phoebe Philo)」で経験を積んだ。エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)がテレビ番組の出演時にゴヤゴマを着用したことも話題に。

Image by: FASHION EAST

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 今季は、二部構成のコレクション「SOMETHING TO WEAR」の後編を披露。インスピレーション源は、故郷バハマの女性たちの日常や伝統的な白の着こなし、90年代のストリート映画に見られるテーラリング、そして自身のルーツであるスポーツ要素だ。デイリーウェアとコンセプチュアルなピースが共存する、実験的なワードローブ。また、「ナイキ(NIKE)」のエア マックス 97を再解釈したフットウェアも制作しており、デザイナー本人が挨拶時に着用して登場した。

トライセリン・プラット

Image by: FASHION EAST

エー レター A LETTER

Image by: A LETTER

Image by: A LETTER

Image by: A LETTER

 2024年に設立した「アレッタ(ALLETTA)」が、今季「エー レター(A LETTER)」へと改称し、ロンドン・ファッション・ウィークに初参加。会期中に一般入場可能なプレゼンテーションを開催した。

Image by: A LETTER / India Morgan

 イギリス出身のデザイナーデュオ、フレディ・クームス(Freddy Coomes)とマット・エンプリンガム(Matt Empringham)は、セントラル・セント・マーチンズのBAウィメンズウェア・コースの同級生。フレディは「ロエベ(LOEWE)」、マットは「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」にて、それぞれジョナサン・アンダーソンの下でインターンを経験した。コレオグラファーの母のもとで育ったマットと、大工の祖父から物づくりへの関心を培ったフレディ。異なるバックグラウンドを持つ2人が、パターンから縫製までをスタジオで一貫して手がける。

Image by: A LETTER

Image by: A LETTER

 今季は、イギリスの日常着や伝統的な服飾文化を独自に再解釈した。シグネチャーは紙で制作した服で、造花用の繊細なものから極厚のものまで幅広く使用し、素材そのものの可能性から発想するアプローチが際立つ。ドットのトップスやスカートは柄を一つひとつ手作業で穴を開けて表現するなど、手仕事ならではのテクニックが特徴。ラガーシャツに着想を得たAラインシルエットのミニドレスなど、遊び心と女性らしさを両立したワードローブを提案する。

Image by: A LETTER

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 すでに「ドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)」での取り扱いがあり、今春には東京でインスタレーションを実施。国内でも感度の高いファッション好きの間で、じわじわと存在感を増している。

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最終更新日:

ファッションジャーナリスト

大杉真心

Mami Osugi

文化女子大学(現文化学園大学)でファッションジャーナリズムを専攻、ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)でファッションデザインを学ぶ。「WWD JAPAN」記者として海外コレクション、デザイナーズブランド、バッグ&シューズの取材を担当。2019年、フェムテック分野を開拓し、ブランドや起業家を取材。2021年8月に独立後、ファッションとフェムテックを軸に執筆、編集、企画に携わる。2022年4月より文化学園大学非常勤講師。

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